キング三島
三島本邸玄関口に横付けし、俺を降ろしたあと、立花警視はそのままパトカーで帰って行ったが、ホントウに帰ったのか? もはや目に見える具象なに事も、信じることができない思いだった。
でも、玄関口で出迎えてくれたのは、巨乳美女のミニスカメイドだった。落ち込んでいた意識が、もう否応なしに、底辺から天上界まで振り上げられる。もう精神的にタフでないと、三島とは付き合ってられない。
なんというか、電車内で議論があったばかり。偶然で済ましていいものなのか、コメントに困るところだ。とにかく、三島家は、……少なくともご主人、優さんは、ミニスカパンティ派だということがわかっただけでも収穫だ。
だがそれにしても、すごかった。メイドさんの後姿、背中ガラ開き。そしてその下、歩くたびに、白いものがチラチラ見えている……。
またしても意識が振り回される。この娘の年齢は、俺とさほど変わらないように見える。お姉さんメイドだ。どうしたら、こんなことになるのだろう。この人に、どんな人生があったのか。ここにこの場所に、そのハレンチ姿なメイドの身分に、どのようにして至りついたのか。
いったいなぜ、このような存在が生まれるのか。なぜこれほどまでの、貧富の格差があるのだろう。
この場で答が出るものではなかったが、考えさせられたのだった。
ある部屋の前に到着した。
ここから先は、お一人で入ってほしい。メイドはそう告げ、深い胸の谷間を見せつつ一礼して、歩み去った。
「……」
俺は万感の思いの、ため息一つだ。
部屋のドアをノッキングする。すぐにいらえがあった。俺は緊張感を高めつつ、入室した。
そこに待ち構えていたのは、今までの、すべての思惑、感情を吹き飛ばす、ある一つのショッキングな状況だった。
現、三島家当主、優。御年51歳。二十代目銭右衛門が、全裸でつっ立っていたのだ。
もし、そばに、盛大に脱ぎ散らかしたお召し物を甲斐甲斐しく片している、執事、白川蔵之介さん御年61歳のお姿がなかったら、俺は正直、悲鳴を上げて逃げ出していただろう。ともかく──
呆然自失の俺だった。
銭右衛門優が、こちらを見とめて、重々しく言葉を吐いた。
「わが生殖器が、反応しなくなった。いわゆる、勃起不全である」
「……」
「なんとかせよ」
「……」




