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煙丸 中吉の一日  作者: やおたかき
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メイド2択

 もう少し、車内でのバカ話のことを続けねばなるまい。

 テーマはずばり、メイドさんである。“萌道”と書いて、“メイド”と読む。その、メイドさんだ。いつの間にか、そちらに話題が移っていたのだ。


“究極の2択”問題である。


『ここに、双子のメイドがいる。なんなら、景気よく、絶世の巨乳美女と設定してもいい。さて。

 一人は、ミニスカ・コスチュームである。

 一人は、ロングスカート、いわゆるクラシカルスタイルのコスチュームである。

 ただし、ロンスカの方だけは、ノーパンである。


 さぁ、貴方だったら、どちらを選ぶ?』


 なんともバカバカしいの一言に尽きるのだが、男子諸兄、俺も含めて大いに盛り上がった。

 俺も今日という日を振り返って妄想してみる。クラス委員の陽菜だったら、ロンスカノーパンの方だろう。彼女が俺を人気のないところに手を引っ張っていって、そこでスカートをたくし上げて見せてくれようものなら、俺はその場で結婚を申し入れるかもしれない。担任の久美だったら、ミニスカパンティの方だろう。彼女がもしそんな格好で群論の講義をしはじめようものなら、俺は観衆のまん前で襲いかかる自信がある。保険医の翔子なら、ロンスカだろうな。ていうか、彼女の場合は、もう自前でハダカ白衣ができるからそのままでいいかもしれぬ、うんうん。生徒会役員の三人の場合は、亜理絵がロンスカ。あとの菜伊都と由生香がミニスカ、としたい。あの密室で四人だけになったら、俺は再び自制できるか自信がない。

 そんなこんなをバカ連中とまじめに議論してたのだが、最終的には、俺一人だけがロンスカ。残りがミニスカという結果になったのだった。

 トーマのやつ、ふだんから『ハダカ袴こそ至高』なんてほざいとったから、てっきりロンスカノーパン派だと思ってたのに。この裏切り者めが!

 なんにしろ、俺らはスカートめくりの小坊のメンタルから、ちっとも成長してなかったことが、あらためて露呈されたってわけだった。

 というわけで。

 下車駅、刷毛山駅到着である。


 ふいに、思った。瑛は、どっちだろうと……?


 瑛は、ミニスカパンティメイドだろうか。

 瑛は、ロンスカノーパンメイドだろうか。

「……」

 首を振る。なんとも度し難し……。

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