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煙丸 中吉の一日  作者: やおたかき
18/33

昼食時間

 昼食は教室で頂く。頂くってのは、恵んで頂くって意味だ。転入してきた当初こそ自前の弁当、あるいは学食だったが、そんな自由が剥ぎ取られるのに一週間もかからなかった。つくづく、男女比率1:10以上、つーのは恐ろしい。“山出し”のこんな俺なのに、今では教室約40人の女の子に、毎度毎回あれこれと、世話を焼いてもらえているのだから。おかげで昼飯代が浮いて、罪悪感さえ感じるこのごろである。

 さて、気になる隣、三島銭右衛門瑛みしませんえもんあきらの昼食はというと、これは完全にプロの手によるものだった。机の上に並べられる限度での、三島に相応しいセンスあふれるメニューだ。こんなご時世に、松阪のA5等級のサーロインなんて生まれて初めて見たものです。で、当初そちらからもまた、盛んに同卓を勧められたものだったが、さすがに、クラスの連中を切るという、そんな白けるマネできねぇし。かといって、クラス女子が瑛にお弁当を貢ぐなんてのもできねえことだろうし。

 なぜって。

 毒物を仕込む、とまではいわぬまでも、ただの食あたりていどでも、もしやらかしてしまったら。庶民にとってはそれこそ命取りだもんな……。

「おいしい?」

「おお、うまい!」

 モグモグ……。

 クラス女子に囲まれて、お互いに弁当は別で、隣に並んで食事するってのが、とりあえずの妥協案だ。


 午後からは、古史の授業、そして体育――今日の内容は、シューティングと護身術――と続いて、無事に終了した。

 さぁ、部活の時間だ。

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