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平家の歴史(1)
もう少し、お話しよう。
余裕があればお付き合い願いたい、わが平家の歴史の話だ。
戦争のせいもあってか、早婚と若死を繰り返し、代の数としては意外に重なっている。
記録で確認できる一番古いご先祖が、平家鍼灸術『中興の祖』と呼ばれた、喜兵衛である。この爺さんが当時、すでに毛抜きの術を使っていたことが、記録に残されている。だけど、その術を自分が発明したのか、それともより前のご先祖様から受け継いだのかは、はっきりしない。
話の便宜上、この喜兵衛を毛抜き師初代とすると。
初代 喜兵衛 『中興の祖』
二代 小吉郎
三代 一吉
四代 吉太郎
五代 裕吉
六代 平吉
七代 和吉 『父』
八代 中吉 『俺』
となる。
中でも注目なのが、二代目と三代目だ。
二代目煙丸、小吉郎。いったいどんな手管を弄したんだか。なんと――
三島、十五代目銭右衛門、始が長女、佐恵を、籠絡しちまったんだから、やぁ、もう笑うしかないハッハッハッ……。
……ふふん。
おわかりか。
つまりだ。
俺と瑛は、すごく遠いけど。
親戚の間柄、というわけなのさ。