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ひめてん〜姫と天使と悪魔と猫〜  作者: こーちゃ
第四章 某国の姫君
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第15話 さて、どういう意味でしょう?

 リーゼル軍1万に対し、ヴェルン軍1万5千。

 そして沖合に控えるパラス軍本隊の兵数は3万。

 リーゼルにとって、圧倒的に不利な戦いであった。

 そして遂に、リーゼル軍とヴェルン軍の戦いの火蓋が切られる。


「何としても我がリーゼルを! 姫様を守り抜けー‼︎」

「パラスの好きにさせてたまるかー‼︎」

「ウオオオオオ‼︎」



「始まった……ついに始まった……みんな、死なないで……」


 リーゼル城に居るユーキが兵達の身を案ずる。

 



 一進一退の攻防が続く中、セラの率いる一団がリーゼル軍の前線を崩しつつあった。

 あらゆる攻撃を受け流すセラに怯むリーゼル軍。


「くっ! 我らの攻撃が通用しない⁉︎ さ、さすがはセラ様だ!」

「ならばこそ、ここで止める‼︎」

「ンフフ〜! あなた方に止められますかぁ?」


「ファイアー‼︎」

「ウインドカッター‼︎」

「無駄ですよぉ! リフレクション‼︎」


 リーゼル兵が放った魔法攻撃は、セラの反射魔法により全て跳ね返され、魔装具による近接攻撃はマジックイレーズの結界により、魔装を解除されてしまう。


「ダ、ダメだ‼︎ 通じない⁉︎」

「ンフフ〜! では行かせてもらいますねぇ」



「ミーティアストリーム‼︎」


 セラがリーゼル軍の前線を突破しようとした時、上空から無数の岩がヴェルン軍目掛けて降ってくる。


「そ、空から岩がー‼︎」

「ぐうっ‼︎」

「ぐわぁ‼︎」

「くっ! マテリアルシールド‼︎」


 上空に向けて、巨大な魔力の盾を張るセラ。



「王女様自ら最前線に来るなんて……ユーキに知られたら嫌味言われそうだわ」

「パティちゃん……」

「まさか、あんたと戦う羽目になるなんてね……セラ!」


 地上に降り立つパティ。


「何だ貴様は⁉︎ セラ様に仇なすと言うなら、我らが相手になるぞ‼︎」

「へえ、あたしとやろうっての? いいわよ、かかって来なさい!」

「ぐっ……」


 ニヤリと笑うパティに怯むヴェルン兵。


「あなた達のかなう相手じゃ無いですぅ、ここは私に任せてあなた達は先に行ってくださいぃ」

「し、しかしセラ様‼︎」

「忘れたんですか? 私達の真の目的を……」

「そ、そうでした……申し訳ありません……では、我々は先に行かせていただきます! ご武運を!」


 パティの横を抜けて行くヴェルン兵。


「任せて、か……いくらレベル7とはいえ、ヒーラーが魔道士であるあたしに勝てると思ってるの?」

「戦いには相性という物がありますぅ、まあ私の一番の天敵は力押しで来るロロちゃんですけどねぇ」

「ロロならユーキの護衛に付いてるわ……並の兵士じゃ歯が立たないわよ」


「なるほどぉ……じゃあパティちゃんだけなら何とかなりそうですぅ」

「言ってくれるじゃないの! 何を根拠に言ってるのか知らないけどね」

「忘れたんですかぁ? 私の属性は光! 闇属性のパティちゃんの、一番の天敵ですぅ!」


「え⁉︎ 闇属性……? だ、誰が闇属性よ‼︎ あたしは風属性よ‼︎」

「ええ〜‼︎ そうだったんですかぁ⁉︎ パティちゃんって怒ったら真っ黒いオーラを出すから、てっきり闇属性だと思ってましたぁ‼︎」


「あれはギャグパートの演出よ演出‼︎ 大体あたしが闇魔法使ったとこなんて、見た事無いでしょ?」

「やっぱり強力な魔法だからぁ、奥の手として隠してるんだろうなーって……」

「隠して無いわよ! そもそもあたしは闇魔法は使えないんだから!」

(って言うより、何故か師匠は闇魔法だけは教えてくれなかったし……)


「そうなんですかぁ? パティちゃんは絶対闇属性にジョブチェンジするべきですぅ。風属性って言う割に、滅多に風魔法使わないしぃ」

「そ、それは色々混ぜて使ってるから……ってそんな事はどうでもいいからかかって来なさっ⁉︎」


(ハッ⁉︎ いけないいけない! 相手を怒らせて冷静さを失わせるのは、セラの得意な戦法じゃないの! 落ち着けー! 落ち着けー!)


 フゥッと深呼吸するパティ。


「身内に魔族でも居るんですかぁ?」

「うるさいわねーっ‼︎」





 その頃リーゼル城には、負傷した兵士が続々と担ぎ込まれていた。


「ぐううっ! 痛え! 痛えよー‼︎」

「すぐに治療するから! もう少し我慢してね!」

「ぐうっ……うう……ふうっ……ああ、痛みが楽になったよ、ありが……ああああっ! ひ、姫様⁉︎」


 治癒魔法をかけられた兵士が、自分を治療してくれたのがマナ王女だと分かり驚愕する。


「うん、もう大丈夫! よく我慢したね……偉いぞ! 男の子!」

「そ、そんな! 姫様に治療していただいたなんて、なんと勿体無い‼︎」


 城専属の看護長がユーキを見つけて慌てる。


「ひ、姫様⁉︎ な、何をなさってるんですか⁉︎ 兵の治療は私達に任せて、お休みになっていてください‼︎」

「いや、休めって言われても、僕何にもしてないし……戦場にも出ちゃダメって言われてるし……」

「姫様はそんな事しなくても……いえ、マナ様は昔からそういう方でしたね……分かりました! では兵の治療、手伝っていただけますか?」

「うん‼︎ 専門のヒーラーじゃないけど、頑張るよ‼︎」


 それを聞いた負傷兵達が、ユーキに治療してもらおうと騒ぎ出す。


「姫様! 俺の怪我も治してください‼︎」

「ぼ、僕もお願いします!」

「私も怪我しました!」


「うん! すぐ行くから待っててねー‼︎」

「ユーキさん、大人気なのです!」



「あんたら! 調子に乗るなー! て言うか、そんなに大声出せる元気があるなら、帰ってくんなー‼︎」

「看護長酷ぇ‼︎」


 調子に乗った兵達を怒鳴りつける看護長。






 そして、セラと対峙していたパティは。



「このペテン師!」

「同性愛推進委員会ぃ‼︎」


「大飯食らい!」

「非論理的筋力実行者ぁ‼︎」


「計算女!」

「現実逃避二次元愛好者ぁ‼︎」



「あんたの言い回し、独特過ぎるのよ‼︎」




 何だか奇妙な悪口合戦に発展していた。




最後のセラの独特な言い回し、書いてて凄く楽しかったです。

さて、どういう意味でしょうか?

シンキングタ〜イム‼︎

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