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ひめてん〜姫と天使と悪魔と猫〜  作者: こーちゃ
第一章 アイバーンとワイバーン
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第4話 関西では、ぼんさんが屁をこいた

 椅子の両サイドに居た男達に両手を押さえつけられるユーキ。

 だが慌てずに、現在の状況を冷静に分析する。



(見た所、魔装具を持ってる奴は居ないみたいだ。それは良いとしても、この人数を相手に戦えるのか? 実際この体の身体能力はどのくらいだ? もし普通の女の子と変わらないなら、とても勝ち目はないぞ⁉︎ いや、サイクロプスの一撃を喰らっても平気だったんだ、力だってめちゃくちゃ強くなってるかもしれないじゃないか……)



 手を振りほどいた後の行動を考えるユーキ。


(まずは魔装具を発動させて……)


 頭の中でシミュレーションする。



(よし、試してみるか)


 すうっと息を吸い込み、両手に力を入れる。


「ふんっ‼︎ うん! んーーーーーーっ‼︎」


 顔を真っ赤にして両足をバタバタさせるがーービクともしない。


「ん? ハハ、どうしたお嬢ちゃん⁉︎ 頑張れ頑張れ!」


 ニヤニヤしながら言う男達。


「んーーーーーーーっ‼︎ フゥッ!」


 フッと急に全身の力を抜き、うなだれるユーキ。


(……無理!)


「どうしたお嬢ちゃん⁉︎ もう諦めたのか? ハハハハ!」


 あざ笑う男達。



 現実を受け止めるユーキ。


(何だよ⁉︎ 全然強くないじゃん! 普通のか弱い女の子じゃん! どうすんだよこれ⁉︎ 色々シミュレーションしたのに全部パーじゃん! いや、余計な力使った分むしろさっきより体力落ちてるよ!)


 また少し考えて。


(よし、作戦変更!)


「なあ、あんたら!」

「ん? 何だ? 大人しく渡す気になったか?」

「僕は昨日サイクロプスを倒したんだぞ! いいのか? こんな事して……大人しく解放した方が身の為だぞ? じゃないと……燃やしちゃうよ?」


 ニヤリと笑うユーキ。

 勿論ハッタリである。


 それを聞いてビビって動きを止める男達。

 だが先程の兄貴風の男が。


「心配すんな! 両手を押さえてる限り魔装具は発動しねえ‼︎」

(ぐっ、ばれた……)

「さあ、早く奪っちまえ‼︎」


 ユーキの魔装具に手を伸ばす男。


「ぐっ! やめろ!」


 ピシャ‼︎‼︎

 男が魔装具に触れた瞬間、男の体にイカズチが走った。


「ぎゃあ‼︎」

「な、何だ⁉︎ 何が起きた⁉︎」


 男達が驚いている。


「ええええええ‼︎」


 ユーキも驚いている。


「おい、どうした⁉︎ しっかりしろ‼︎」


 ユーキの手を掴んでいた力が緩んだその隙を逃さず、床を思い切り踏み込んで、椅子ごと後ろに倒れ込み、クルリと後方回転して着地した。


 すかさず魔装具を具現化して魔法を放つユーキ。


「ウインドウォール‼︎」


 昨日パティが使った風魔法で、自分の周りに空気の壁を作った。


「くそ! このガキ‼︎」


 ユーキに向かって来るが、風の壁に阻まれて近づけない。


「くそ! 何だこの風‼︎」

「ああ、ムリムリ! この壁はサイクロプスさえ通れなかったんだから」


 全員ぶっ飛ばそうかとも思ったが、予備のカートリッジを持っていない事を思い出し。


(戦ってもいいけど、もし途中で魔力切れでぶったおれたら、今度こそアウトだしなー……)


 ロッドを男達の方に向け。


「今日の所はお腹が空いたから見逃してやる‼︎ だから追いかけてくるなよ‼︎」

「くそ、待てこらガキー‼︎」

「やだよー!」


 振り返りドアのロックを外し、外に出ようとした時、フッとウインドウォールが消滅する。


「え?」


 後ろを振り返り、ヤバイ状況に冷や汗がユーキの頬を伝う。



「へへ、どうする? お嬢ちゃん」


 ジリジリと迫ってくる男達。


「あ、あははははは」


 笑って誤魔化すユーキ。


 ユーキがサッとロッドを構えるとビクッとなり動きを止める男達。

 ゆっくり後ずさりしながら出口に向かうユーキ。

 ユーキの動きに合わせてジリジリ迫ってくる男達。


 またロッドを構えると動きが止まり、後ずさりすると迫ってくる。

 そのやり取りを何度か繰り返し、ようやくドアから体が出た所で。


「ダルマさんがころんだー‼︎」


 捨てゼリフならぬ、捨てツッコミを叫びながらダッシュで逃げるユーキ。


「待てガキー‼︎」


 一斉に追いかける男達。



 逃げ続けるユーキ。


(何でだ? 昨日パティが使ってた時はもっと長い時間発動してたのに……レベルの差? それとも魔力の差か? いや、今はとにかくパティと合流しないと……)



 辺りを見回しながら。


「まいったなー、どこ走ってるのか全然分かんないぞー⁉︎ 噴水って言ってたよなー⁉︎」



「おい! 居たぞー‼︎」


 数名の男達に見つかってしまう。


「ヤバッ‼︎」


 路地に入って行くユーキ。



「ん? 何だ?」


 その様子を見つめていた1人の男。



 狭い路地を走っているユーキ。


(大声で助けを呼ぶか? いや、でもなー)


 変なプライドが邪魔をする。

 そうこうしてるうちに、行き止まりに追い詰められるユーキ。


「へへ、追い詰めたぜ‼︎」

(くそっ! こうなったら、一か八かでブチかますか?)


 ユーキが戦う覚悟を決めた時。



「待ちたまえ‼︎」


 男達の後方から声が響く。


「誰だ‼︎」


 振り返る男達。



 そして現れたのは金髪の、男でも見惚れてしまいそうな程のイケメンの若者だった。


(す、凄いイケメン……)


 思わず見とれるユーキ。


 だが目線を首から下に移すと、何故か金色の海パンらしき物を1枚履いているだけだった。


「うぐっ!」




「か弱い少女を大の男が寄ってたかって追い回すなど……恥を知れ‼︎」

「お前が恥を知れーーーー‼︎‼︎」








ようやく新キャラを出す事が出来ました。

面白く絡んで行けたらいいなーと思います。

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