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ひめてん〜姫と天使と悪魔と猫〜  作者: こーちゃ
第一章 アイバーンとワイバーン
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第1話 男なら嬉しいはずなのに

 目が覚めるユーキ。

 すると目の前数センチの所にパティの顔があった。


「うわあっ‼︎」

「キャッ‼︎」


「もう! 脅かさないでよ‼︎」

「いやいや、起きてイキナリ目の前に顔があったら誰でもビックリするって‼︎」


 両手で顔を触りながら。


「ハッ⁉︎ まさか定番の顔にラクガキを?」

「な、何もしてないわよぉ」


 顔を赤くしながら横を向くパティ。


「しようとはしてたけどね……」


 小声で言うパティ。

 ジッと睨むユーキ。


「いや、冗談よ⁉︎ 冗談!」


 周りを見渡すユーキ。


「ここ、どこ?」

「ベルクルっていう街の宿屋よ」

「僕、どうなったの?」

「もう、あれから大変だったわよ……倒れたユーキを背負って街まで帰ってきたんだから」


 悲惨な光景が目に浮かぶ。


「街のすぐ側まで来てたから、魔獣が出なかったのが幸いだったけど」

「う……それはご迷惑を……」

「ま、まあ背中でユーキを感じられたから、むしろラッキー! なんて……」

「ん?」

「いや何でもない」



「ねえユーキ、目が覚めたんだったら、お風呂に入ってきたら? 身体中泥だらけだったわよ⁉︎ 軽くは拭いてあげたけど……」


 ユーキ、少し間が空き、顔を真っ赤にして自分の肩を抱きながら。


「見た⁉︎」


 その反応を見たパティも顔を真っ赤にしながら。


「な、何よー⁉︎ 女同士なんだから別にいいでしょ? 意識しちゃうから、変な反応しないでよー」

「いや……そりゃまあ、そうなんだけど」


 ユーキ、少し考えて。


「よし‼︎ お風呂入ろ‼︎」



 脱衣所で裸になり、鏡で自分の身体を見るユーキ。


(むう……間違いなく女の身体だなー)


 だが不思議な感覚に襲われるユーキ。


(あれ? オカシイな……自分で言うのも何だけど、こんなにかわいい娘の裸見てるのに、全然興奮してこない……むしろこれが当たり前の様な……変なの)



 身体を洗い、湯船に浸かっているユーキ。


(さて……これからどうしようか? 元の世界に戻る方法を探す? いやー、それはまあ慌てなくてもいいかな? 折角魔法世界に来れたし、こんなかわいい娘にもなれた訳だし、目一杯楽しんでからでもいいよね)


 自問自答し、答えを出したユーキ。


「よし‼︎ とりあえず、信じてもらえないかもだけど、一応パティにはホントの事を話してみるか‼︎」


 部屋に戻ったユーキ。


 2組あった布団を1組にし、中に潜っているパティ。


「さあいらっしゃい、ユーキ! お姉さんが可愛がってあげるわー!」


 布団の端を捲り上げ手招きするパティ。


「ぐ……このおっ‼︎」」


 ポカッ‼︎

 グーでパティの頭を殴るユーキ。


「痛あーい‼︎ 女の子が人をグーで殴っちゃダメだよぅ‼︎」


 頭を押さえながら、涙目のパティ。


「まったくもう‼︎ 人が真剣な話しようとしてたのに‼︎」

「真剣な話?」




 食事を終え少し落ち着いてから、ここまでの経緯を全部話したユーキ。


「なるほどねー、その魔導書の中にプラチナクラスの魔装具が入っていたと……」

「うん」

「それで魔導書に書いてあった通りにイメージしたら、この世界に飛ばされて魔法が使える様になったと……」

「うんうん」

「で、実はユーキは元35歳のおっさんだったと……」

「そうなんだ!」


「そうか……可哀想に……」

「信じてくれるの?」


 伝わったと思い笑顔になるユーキ。


「サイクロプスに吹っ飛ばされて、豪快に頭打ってたもんねー」

「ぐ……」


 表情が曇るユーキ。


「もうジョリジョリジョリーって! 顔から火が出るんじゃないの? って感じで」


 楽しそうに話すパティ。

 右拳に力を込めるユーキ。


「そりゃ、あれだけの衝撃を受けたら記憶もおかしくなるわよねー」


 ポカッ‼︎


「いったあーーい‼︎ だからグーはダメだってばー‼︎」


 またも頭を押さえ、涙目のパティ。


「人が真剣に話してるのにっ‼︎ もう寝るっ‼︎」


 片付けられた布団を元に戻し潜り込むユーキ。



 恐る恐るユーキを覗き込みながら。


「ユーキー、怒んないでよー」

「うるさい! 話しかけないで!」


「食後のデザートがあるんだけどー」

「いらない! 食べたくない!」


「疲れたでしょー? マッサージしてあげようか?」

「やめて! 触んないで!」



 パティ、少し考え込んで。


「今ねー、この街に魔法サーカス団って言うのが来ててねー」


 ピクッとなるユーキ。

 ユーキの反応を見てニヤリと笑うパティ。


「魔法を使ったイベントやー、アトラクションが沢山あるらしいわよー⁉︎」

「アトラクション……」


 目を開くユーキ。


「期間限定だから、今を逃したら今度いつ見れるか分からないわよー?」

「今だけなの?」


 パティの方に顔を向けるユーキ。


「ええそうよ! でも大人気だから、中々チケットを取れないらしいわ」

「取れないのかー」


 ガックリするユーキ。


「ところがご安心! 独自のルートで手に入れたチケットが2枚、ここにあるのです‼︎」


 得意げにチケットを2枚取り出すパティ。

 起き上がってくるユーキ。


「行く?」


 うんうんと頷くユーキ。


「じゃあ明日魔石を換金してから、一緒に見に行きましょうか?」

「うん‼︎」


 完全に機嫌が戻ったユーキ。


「じゃあ明日に備えて寝ましょ」

「うん‼︎ 楽しみー‼︎」


 ワクワクしながら横になるユーキ。



(フッ……チョロい娘ね)


 悪い顔になるパティ。






「ねえユーキ、一緒の布団で寝てもいい?」

「それはダメ」


 笑顔のまま拒否するユーキであった。




宿屋の話だけで1話出来てしまいました。

いやまあ、文章を長くすればいいんでしょうが、僕自身あまり長いと読むのが嫌になってきちゃうので、小出しにして行きたいと思います。

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