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ひめてん〜姫と天使と悪魔と猫〜  作者: こーちゃ
第三章 愛と勇気の大冒険
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第10話 おかしかったら笑えばいいさ

 どこかで見た事があるような定番の罠を、何とかクリアして行くユーキとアイバーン。

 そして、ようやく洞窟の最深部に到達する。


 祭壇の様な所に置かれている宝箱を、罠を警戒しながら開け、中から景品の目録を取り出すユーキ。


「やった! 景品ゲットだぜ!」

「……? 何か聞こえないかね? ユーキ君」

「もう、そういう事言うのやめてよねー……別に何も……」


 だがユーキが耳をすますと、確かに何か機械音の様な物が聞こえる。


「ああ、これはあれだ……宝物を取ったから、何か仕掛けが発動したとかそういう奴だ」


 ユーキ達が辺りを警戒していると、宝箱が置かれていた祭壇が下に収納されて奥の壁が開く……するとそこから、こういうシーンでよく見かける黒い巨大な鉄球が転がり出て来る。


「いいっ⁉︎ 逃げろー‼︎」


 目録をリュックに入れて、大急ぎで逃げ出す2人。

 2人を追いかける様に転がって来る鉄球。


「ど定番の罠やめろー‼︎」



「ユーキ君ー‼︎」

「何ー?」

「あの鉄球、おかしくないかねー?」

「おかしいなら笑えばー?」

「ハハハハハ! いや、そのおかしいでは無くてだねー!」

「じゃあどのおかしいー? クッキーとかー?」

「いや、それはおかしいでは無くてお菓子だよー! もうええわっ‼︎」


 寒い漫才をしながら何とか出口までたどり着き、外に出た瞬間、左右に飛ぶ2人。

 その2人の間を転がって前の岩壁に当たった鉄球が、ポーンと軽い感じでバウンドして跳ね返って来る。


「……いや、作り物かよっ‼︎」

「ふむ……やはり偽物だったか」

「アイ君、気付いてたの?」

「ああ、あれ程巨大な鉄球にしては動きが軽過ぎると思ったのでね」

「もう! それなら早く教えてよ!」

「ん? 私は教えようとしたぞ?」

「え? あ……ゴメン……」


 思いっきり心当たりがあったので、素直に反省するユーキだった。


 洞窟の入り口に壁がスライドして来て塞がり、その壁に攻略済みの文字が書かれている。



「さて、どんな景品かなー?」


 ゲットした景品の目録を開けて、中を確認するユーキ。


「ゴールドカートリッジ……残念、ゲーム機じゃ無かったかー」

「いや、大当たりだと思うがね?」

「いやまあ、そうなんだろうけど……僕が欲しいのはゲーム機だからさ」


「いらないなら、俺達がもらってやろうか?」

「え?」


 突然声をかけられ振り向くと、そこには数人の男達が居た。


「君が、ユーキ・ヤマトだな?」


 また来たかという感じで、ゲンナリした顔をするユーキ。


「あ、いえ……人違いです!」

「え? 違うのか?」

「じゃ! 僕達は行くんで」

「ああ、悪かったな! 気を付けて……って待ていっ‼︎」

「チッ!」

「今、舌打ちしただろー! 何さりげなく行こうとしてんだっ⁉︎ ホラ、この写真と同じじゃないか! 間違いない! 君がユーキ・ヤマトだ‼︎」


「何だよ⁉︎ 写真持ってるならいちいち聞かなくても分かるじゃないか」

「い、一応確認の為に聞いたんだよ!」


「それで? 僕に何か用?」

「あ、ああ……では改めて……俺は四天王が1人! 紅蓮のザウスだ!」

「四天王?」

「そうだ!」


「あれ? いち、にぃ、さん……5人居ますけど?」

「あ、いや……こいつらは四天王じゃない、俺の部下だ! 四天王は俺だけだ!」

「え? 君だけ? 1人なのに四天王とか言ってんの?」

「え? いやだから! ほ、他の3人は今ここに居ないだけで、ちゃんと向こうで待機している!」

「待機してんだ……めんどくさそう……」

「めんどくさいとか言うなー‼︎」



「ユーキ君……何をからかっているのかね?」

「いやー、彼のリアクションが面白いからつい……」


「ユーキ・ヤマト! 大人しく俺達と来てもらおうか!」

「え? 何で?」

「俺達の雇い主が、君をいたく気に入っているからだ」

「雇い主って誰さ?」

「いやそれは……く、来れば分かる」

「こんな威圧的な誘われ方されて、行く訳無いでしょ? 用があるなら、そっちから来いって言っといて!」


「そう、それにユーキ君は私の彼女なんだ……私は断固拒否するね」


 そう言ってまた後ろからユーキを抱きしめるアイバーン。


「ヒッ‼︎ だから違うって……言ってるだろー‼︎」


 後頭部頭突きからの一本背負いでアイバーンを投げ飛ばすユーキ。


「ぐおっ‼︎」


「そして……いちいち脱ぐなあああっ‼︎」

「ぐぼおっ‼︎」


 追い討ちのエルボードロップが、アイバーンのみぞおちに突き刺さる。






四天王登場!

当初のイメージより随分コミカルな感じになってしまいましたが、そこは臨機応変に楽しく書いて行きたいと思います。

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