第3話 いきなりラスボスが出て来た、みたいな?
「じゃあまだ早いかもだけど、一応魔装のやり方も教えておくわね」
「へ? 魔装?」
聞きなれない言葉にキョトンとするユーキ。
「魔装具を解放して、より戦闘力を高めた状態に武装する事を魔装って言うのよ」
「おおー! 何かカッコイイぞー!」
「魔力に余裕がある時はそのまま行くんだけど、今あたしはちょっと魔力が心細いからここにカートリッジをセットして……ん⁉︎」
説明をしていたパティが何かに気付き森の方を見ると、その動きに釣られてユーキも見る。
すると犬の様にも見えるが、犬にしては大き過ぎるであろう全身黒色の獣が5匹、こちらに向かって走って来る。
「ヘルハウンド⁉︎ しまった、魔力を嗅ぎつけられた⁉︎」
戦闘モードの顔になったパティがユーキに避難を促す。
「隠れてなさい、ユーキ‼︎ 出来れば水の中に15分くらい」
「いや、出来るかっ‼︎」
そうツッコミを入れた時には、パティはすでにヘルハウンドの群れの中に走っていた。
「ウインドカッター‼︎」
見る見る間に3匹のヘルハウンドを倒すパティ。
「スゴイ! パティ強い!」
嬉しそうに手を叩くユーキ。
「んー、何か僕さっきから同じリアクションばっかりしてるような……折角のシチュエーションなんだから、僕も1匹ぐらい倒してみたいよな〜」
無謀にもヘルハウンドに向かって行くユーキ。
4匹目のヘルハウンドを倒したころ、何か妙な不安を感じるパティ。
(おかしい……さっきからこの嫌な気配は何? ヘルハウンドのものじゃない……何かもっと大物が隠れてる?)
警戒しながら辺りの様子を伺うが、それらしき物は見当たらない。
最後のヘルハウンドを視界に捉えた時、ユーキが近づいて来ている事に気付くパティ。
「え⁉︎ ユーキ? 何やってるの! 危ないから下がってなさい‼︎」
「大丈夫だって! これだけ近ければ外さないよ!」
パティの制止を振り切り、ヘルハウンドに5メートル程の距離まで近づいた時。
「ファイアー‼︎」
ユーキのロッドから放たれた火球がヘルハウンドに直撃する。
ユーキに飛びかかる寸前だったヘルハウンドは炎に包まれ消滅し、その跡に緑色の光る石が落ちる。
「よし! 当たったー!」
嬉しそうにガッツポーズするユーキ。
「当たったー! じゃないわよ‼︎」
怒った顔のパティがユーキに説教を始める。
「あたしは隠れてなさいって言ったわよね⁉︎ 水の中に15分!」
「いや、それは無理……」
「口答えしない‼︎」
「ハイ‼︎」
パティの迫力に背筋をピンと伸ばすユーキ。
「つまり今のあなたはそんな簡単な魔法すらも使えないど素人な訳よ、分かる⁉︎ 確かに魔法は当たったわよ⁉︎ 当たったけども、あんな直接殴った方が早いんじゃないかっていうぐらい近い距離で、もし外してたらどうするつもりだったのよ⁉︎」
「いや、結果的には当たった訳だし……」
「んん〜⁉︎」
「あ、いや……」
睨みつけるパティに萎縮して口をつぐむユーキ。
「魔法を使った事が無いって言うぐらいなんだから、当然防御魔法なんか使えないだろうし……ねえ、ちゃんと聞いてるの⁉︎」
すっかりヘコんでうつむいてるユーキの頬を、杖の丸い方でグリグリするパティ。
「ご、ごめんなさい……反省してますから、杖でグリグリしないで……」
「まあ、反省してるならこれぐらいで勘弁してあげるわ! あたしも魔力残量が心細いからそろそろ街に帰るつもりだけど、ユーキ、あなたも来るでしょ⁉︎」
「あ、うん……とりあえず安全な所に行きたい」
「じゃあ、案内するからついて来て!」
「うん」
ユーキに背を向け、街に向かって歩き出すパティ。
だが次の瞬間、強烈な気配を感じて後ろを振り返るパティ。
「ユーキー‼︎ 後ろー‼︎‼︎」
「え?」
振り返ったユーキの前に、おそらく土の中から出て来たであろう身長5メートル程の人型のモンスターが現れた。
「ウインドウォー……」
パティが魔法を放つより一瞬早く、巨人の横殴りの一撃がユーキを薙ぎ払う。
書きたい所までいっちゃうと長くなりそうだったので、一旦ここで切りました。
状況説明の下手さは大目に見てやってくださいませ。




