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ひめてん〜姫と天使と悪魔と猫〜  作者: こーちゃ
終章 いつも楽しく面白く
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第46話 君は、触れる事が出来るか?

 パル達の事情に同情するユーキ達。


「そっか……大変だったんだね。でも大丈夫! ウチには最強のヒーラーが居るから、パル達のお母さんを治してあげられるよ!」


「ほ、本当なのよ⁉︎」

「棚からぼたもちなの〜」

「間違ってはいないけど失礼なのよ!」


「セラちゃんにかかればぁ、どんな病気でもケガでもすぐ治してみせますよぉ」

「たとえ死んでも私にお任せを」


「あ、ありがとうなのよ! どうか、どうか母様をよろしくお願いしますのよ!」

「お礼は体で払うの〜」

「ユウちゃんの体ならオーケーですよぉ」

「ならあたしが治癒モガモガッ!」


 すぐさまパティの口をふさぐユーキ。


「ハイ、パティさんは黙ってようね〜」


 パル達の事情に納得したユーキ達だったが、今度はラケルへの疑問が浮上する。


「パル達の事情は分かったニャ。だけど分からないのはむしろラケルの方ニャ。パルが霊体状態だったチルと合体出来たのはまだ分かるとしても、何で普通の人間がパルと合体出来たニャ? そして何より、あたしですら破れなかった魔法障壁を壊せたのは納得行かないニャ!」


「それは単にシャル様がへたれなだけです」

「フィー⁉︎ 誰がへたれニャ⁉︎」

「いいえ、シャル様の耳にタレを付けたら美味しそうって言ったんです」

「食べる気ニャ⁉︎」


「確かに、シャル様が破壊出来なかった魔法障壁を壊せたというのは不自然だ。ラケル君、君は一体何者なのかね?」

「見ての通り、ボクは愛と正義の使者、ラケルちゃんだよ!」


 魔法少女的なポーズを決めるラケル。


「真面目に話す気が無いなら、力尽くで聞き出すしかなくなるが……」

「わあ、待って! 冗談! 冗談だから!」

「では、話してくれるね?」

「ん〜」


 腕組みをして少し考えたラケルだったが、観念して説明を始める。


「うん。みんなはパルとチルを必死に助けようとしてくれたもんね。ならボクも正直に話すよ。実はボクは、普通の人間じゃないんだ」

「え⁉︎ 人間じゃなくてあんなに凄い能力を持ってるって事は、まさかラケルさんもユーキさん達と同じく神様……」


 メルクの言葉に驚くラケル。


「ええええ〜っ⁉︎ ユ、ユーキちゃんって神様なの〜⁉︎」

「うああ、えええと……その辺の事は今はややこしくなるから、また後でゆっくり話すよ。先にラケルの事をね」


「う、うん分かった……実はボクは、ロロちゃんと同じように召喚獣なんだ」

「ええ〜っ⁉︎ ラケルも召喚獣⁉︎」

「そうか! だからパルちゃんと合体出来たんですね⁉︎」


「でも自我を持ってるって事は、ラケルもロロみたいに召喚獣の肉体に誰かの魂が憑依してる状態なの?」

「ええ〜っ! ロロちゃんってそうなの〜⁉︎」

「違うんかいっ‼︎」


「大体はあってるけど、ボクの場合はこの召喚獣ラケルの体を離れた場所から遠隔操作してるんだよ」

「離れた場所ってどこ?」

「フッフッフッ。それはいずれ分かるよ……」

「まあ、我らの敵でさえないのなら、君がどこの誰だろうと構わんさ」


 ラケルの言葉に、ある結論に至る猫師匠。


「そうか。召喚獣に特性を付加させたんだニャ⁉︎」

「正解。ボクのハンマーは邪悪なる存在に対して、特効の能力があるんだ」

「シャル様、その特性というのは?」


 聞き慣れない言葉にメルクが猫師匠に質問する。


「フニャ⁉︎ 誰でもという訳ではないけど、高位の召喚士は自分が召喚した魔獣に特性を付けられるニャ。今回ネムが召喚したセラやユーキが本人達と遜色無い能力を持ってたニャ。あれも特性の効果ニャ。もっとも、ネム本人がそれを知ってて出したのかどうかは怪しいがニャ」


 全員がネムを見る。


「ううん、知らない。ただユーキ姉様達をイメージして描いたら同じ能力が使えただけ……」

(ふむ……やはり天賦の才か……)


 それを聞いて、ポキポキと指を鳴らしながらネムに迫るパティ。


「ふ〜ん。つまりネムの中のあたしのイメージって、あんな禍々しい姿をした巨人って事なんだ〜?」

「ビクッ! ち、違うよパティ姉様! あの時は相手が巨人だったから対抗出来るようにイメージしたらああなっただけで……」

「その後に出したユーキは普通のサイズだったじゃないの〜‼︎」


 ネムのこめかみをグリグリするパティ。


「痛ああい! ユーキ姉様は小さくて可愛いイメージだからああ!」

「あたしは可愛くないってかああ‼︎」

「こんな暴力的な人を可愛いとは言わなああい!」


 半泣きでのたうつネム。

 そんなパティの制裁を見て引いているパルとチル。


「あんなに強かったネム姉様を泣かせるなんて、パティ姉様恐るべしなのよ」

「触らぬ神に祟りなしなの〜」


「ゴホンッ! 少々脱線してしまったようなので、話を元に戻そうか。つまり、あの魔法障壁が邪悪なる物だったからラケル君の特効により絶大な威力を発揮して破壊出来たという事だね?」

「そうだよ。あれを作った術者は相当陰湿な人なんじゃないの?」

「ネム君達が弱った所を分断して、仲間である筈のパル君達まで始末しようとしたぐらいだからな。聖人君子で無い事は確かだろう」


「じゃあパティちゃんもぉ、ラケルちゃんのハンマーに触れないように気を付けないといけませんねぇ」

「セラ〜? それは、どういう意味かしら〜?」


 セラの発言に、額がピクピクと痙攣するパティ。


「だってぇ、ラケルちゃんのハンマーに邪悪認定されちゃったらぁ、パティちゃん消滅しちゃうかもしれませんよぉ? 肉体が完全に消滅しちゃったらぁ、さすがの私でも治療出来ませんからねぇ」


「消える訳ないでしょ‼︎ あたしやユーキみたいに純真無垢な人間が、どこに居るって言うのよ‼︎」

「ユウちゃんは分かりますがぁ、パティちゃんが純真無垢というのはねぇ」


「いいわよ! なら証明してあげるわ! ラケル! ハンマーを出しなさい!」

「え⁉︎ でも……」

「いいから出しなさい‼︎」

「う、うん……」


 パティの気迫に押されて、仕方なくハンマーを出すラケル。


「さあ見てなさい! あたしの心には何の汚れも無いって事を見せてあげるわ!」


 パティがハンマーに触れようとした瞬間、そこに居たBL隊全員がパティを制止する。


「やめるんだパティ君‼︎ 消滅する気かっ⁉︎」

「早まらないでくださいパティさん‼︎」

「ロロみたいになっちゃうよ⁉︎」

「帰る肉体が無ければ生き返らせる事は出来ませんよ⁉︎」

「こんな事でバカ弟子を失うのは笑え、いや悲しいニャ!」


「あんた達、揃いも揃って〜。殺す……」

「あ、ハンマーが反応した……」









あのままパティがハンマーに触れていたら、もしかしたら消滅していたかもしれませんねww


ああ、初期設定の頃の優しく頼りになるお姉様は何処へ……

( ̄▽ ̄;)

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