シェリー=ローズ
宿屋の一室のベットの上にレイとペルはいた。
「マスター、夕食の時間まで何をしますか?」
「そうだなぁ……とりあえず……寝るか」
「寝るっ?!?!?!」
急に大きな声を出してびっくりするペル。
「どうしたんだ? ペル? ただ、ベッドで寝るだけだぞ? なんか変な事言ったか?」
不思議そうな顔をするレイ。
「な、なるほど。取り乱してすいません。では寝ましょう」
といって2人でベッドに横になった。
ペルの寝息が響く。
もうペルは寝ちゃったのか、やっぱり疲れてたんだな。お疲れ様ペル。
ペルの頭を撫でるレイ。
僕も寝るか。
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レイは夢を見る。
ある青年と、ペルにものすごく似た女の子と、もう1人全体的に白く華奢な印象の女の子が楽しそうに歩いている。
ここはどこだ? 夢なのか? それにあれはどう見ても……ペルだよなぁ。
急に辺りが真っ白になるぐらい光、先程までいた女の子たちが消え変わりに漆黒の剣と純白の剣が1本ずつ現れた。
なんだあれは? それにあの漆黒の剣は……やはりペルだ。
しかしこれは何なんだろう……。
夢は続く。
突如現れたのは全身真っ黒の黒いオーラをまとった人のような生物。
あれは人なのか?
レイの疑問など関係なしに、その青年はまるで瞬間移動をしたかのように真っ黒の生物の懐に入り、そしてそのまま一刀両断した。
その瞬間レイの意識は途絶える。
「はっ!」
突如叫び出すレイ。
今のは……………………。
レイが1人思考にふけっていると、
「どうかなさいましたか? マスター?」
隣で寝ているペルを起こしてしまった。
聞くべきか聞かないべき、
レイは迷っていた。
よしっ、
「いや、なんでもないよ。ごめん、気にしないで」
「そーでございますか…承知しました」
悲しそうな表情のペル。
また今度ペルに聞けば良いか。
ペルが悲しそうなのをお構いなしにレイはこう考えていた。
レイは話を変えるために、
「そんなことより、そろそろ食堂に行こう。終わってしまうよ」と切り出す。
「そーですね、参りましょう」
そして2人は部屋を出て一階にある食堂に向かうのだった。
「マスター、あそこでございます」
と、食堂の入口の方を指さすペル。
「そうだね、早く行こう。僕もうお腹ペコペコだよ」お腹をさするレイ。
「はい行きましょう」
扉を開けて中に入る2人。
中にはたくさんの人々が騒がしく食事していた。
「すごい数の人だね。空いている席はあるかな?」
「あそこにございますわ。ほらマスター行きましょう」
レイの手を引っ張るペル。
「よいしょっ」
席に座る2人。
メニューはAセット、Bセットのどちらかから選ぶようだ。
「ペルは何を注文する?」
「私はマスターと同じものをお願いします」
「了解、すいませんーー!」
手を上げながら大声で店員を呼ぶレイ。
すると受付で見た女の子が小走りで寄ってきた。
「はい、ご注文でしょうか?」
「うん、Aセットを二つお願いします」
「かしこまりました、では」
と言ってすぐほかのテーブルへ行ってしまう。
「忙しそうだね」
「そうですね。とても混んでいますから。しかし向こうの方やけにうるさいですね」
少し顔をしかめるペル。
「まぁ、仕方ないよ。酒場みたいなものだよ。少し見に行ってみる?」
悪い笑みを浮かべながらそう尋ねるレイ。
「少しだけですからね」
と言って立ち上がり、うるさい方へと歩を進めていく2人。
そこでは女性と男性が飲み比べをしているようだった。
男性の方は、今にも倒れそうなほど酔っているようだ。
「ふふふっ、私、シェリー=ローズに勝とうなんて100年早いわね」と叫ぶ飲み比べをしていた女性。
シェリー=ローズ?? あれっ? どこかで聞いたことあるような
そんなことを考えていると突然その女---シェリー=ローズがこちらに近づいてくる。
「あなた何者?」
ほかの人には聞こえないような小さな声で僕とペルに訪ねてくる。