妹の誕生
よろしくお願い申し上げます。
ちゅんちゅん
「もう朝か」
小鳥のさえずりで目を覚ますレイ。
ペルは?
周りを見回してペルを探す。
ペルはまだ剣の状態で机の上にいた。
ホッと胸を撫で下ろすレイ。
とりあえず朝ごはんを食べに行こう。
「ペルー、僕ご飯食べにいちゃうよー」
剣をゆすりながらペルに呼びかけるレイ。
その瞬間剣が発光し目の前にペルが現れた
「いつ見てもビックリするね」
「そうですか? そんな事より私も朝ごはんを食べに行きます」
2人で食堂に向かうペル達。
食堂にはいる2人。
「あれ?ほとんど人がいないんだね」
「客が居なくて悪かったね」
レイの独り言に反応する30代ぐらいの女性。
「すいません、とっても料理がおいしかったのでもっと混んでいるかと思ったのです。申し遅れました私はこの宿に泊まっているレイというものです」
「妹のペルです」
「これはこれはどうも。私はこの宿のおかみのナナです。それにしても嬉しいことを言ってくれますね」
お辞儀をしながら自己紹介するナナ。
「この宿には元々酒場は無かったんです。でも食事がおいしいから酒場もやって欲しいという要望に応える形で酒場も開いたんです。そうしたら夜の酒場は混むんだけど、逆に泊まる客はほとんどいなくなってしまったんですよ」
「なるほど、道理で朝は空いている訳です。とりあえず朝ごはんお願いします」
空いている席に座る2人。
「かしこまりました。只今お持ちします」
颯爽と厨房に戻っていくナナ
「それにしても何でさっきはあんな嘘をついたんだい?」
ペルに尋ねるレイ。
「昨日剣になっている時に考えたんです。私が精霊だとバレルと色々と面倒くさい事になると。だからこれからはマスターの妹として振る舞おうと」
「なるほどね……」
少し難しそうな顔をするレイ。
「ダメ、でしょうか?……」
上目遣いでレイを見てくるペル。
「い、いやそういう事じゃないよ。でもそれなら振る舞うじゃなくて本当に僕の妹になってよ。正式な戸籍とかは関係なしに、ねっ!」
と言うレイ。
「良いのですか?私は人族ですらないのですよ?それでも良いのですか?」
「うん、そんなの関係ないよ。これからもよろしくね」
急に泣き出すペル。
「どうしたのペル?」
「いえ、ちょっと感動してしまって。こちらこそよろしくお願いします」
お辞儀をするペル
今ここに一つの兄弟が誕生したのだった。