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一瞬。

作者: かえる

何気なく。

時は過ぎ、笑顔は増え、涙は流れ落ち、そして朽ちる。

終わらないものなど無く、始まらないものも無く。

ほんの一瞬でも、零れ落ちぬようにと、救い上げたその両手には。

一体何が残されていたのだろうか。


この手に触れたもの全てが温もりに溢れていれば良いのに。

この目に見えたもの全てが鮮やかに溢れていれば良いのに。

この心に愛でるもの全てが幸せに溢れていれば良いのに。


何気なく。

時は過ぎる。

幸せも不幸せも連れて行く。

どうかその最後まで。

一瞬一瞬を取りこぼすことなど無いように。

笑顔でいて。


何気ないこと。

大切な一瞬。



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