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第1話 仲良し!?美形3兄妹

アルフィル→愛称アルフィ

リスティラ→愛称リスティ

となっております。


コンコン



扉をノックする音がして、侍女のミシェルが入ってきました。私が読んでいた本を閉じて顔をあげると、



「リスティラお嬢様、家庭教師の先生がいらっしゃいました。いつものお部屋でお待ちでございます。」


「今行くわ。」



そう返事をして立ち上がると同時に、バーンという大きな音がして、今しがたミシェルが入ってきた扉がまた開き、背の高い金髪イケメン男が私に飛びかかってきました。



もしや、強盗!?



とか、お思いの皆様。もちろん、違います。



「リスティー!!兄様は・・・、兄様は帰ってきたよぉ〜!!」



ノックもせず、騒音と共に私に飛びつき、現在は抱きつきながら私の頭に頬ずりしているこのワンコ、イエ、金髪イケメン男、私のお兄様でございます。



「おかえりなさい、お兄様。3時間ぶりですわね。ちょっと早すぎるんじゃありません?お仕事、ちゃんとなさってるの?」



そうです。このお兄様、朝10時に邸を出て、現在13時。重役出勤も甚だしい時間に王宮へ行き、お昼過ぎには邸に戻っているという、重役さんも真っ青な勤務時間。加えて、帰宅時はあの盛大なパフォーマンス。



おのれは死地から生還した軍人か!?



とか、お思いの皆様。誠に残念ながら、軍人しか合っておりません。



ああ、そうだ。ここで1つ忠告を。皆様、私が転生者であることをお忘れなく。私の基準はすべて前世のものとなっております。ここでは 重役=大臣サマ みたいな方程式は成り立っておりませんゆえ、悪しからず。



「リスティ〜、なんで、なんでそんなに冷たいこと言うの!?兄様のことキライなの!?い〜や〜だぁ〜、可愛い可愛いリスティに嫌われたら、兄様死んじゃう!!」



じゃあ、死ねば。


とか、言いそうになる私って、やっぱり前世同様 冷めてるんでしょうか。


あら、もちろん、言いませんわよ?言ったらどうなるか、なぁんて想像に難くないですし。(滂沱の涙を流して私に縋るお兄様が目に浮かびますわ。)それ以前に本気ではありませんから。条件反射のようなものですわ。


そして、お兄様。質問に答えておりませんわよ?



え?15歳なのに、スレ過ぎている?

前世の記憶がありますからねぇ。それも、おそろしくスレていた。多少の性格の歪みはご容赦下さいませ。決して前世のように、人生に退屈しているからではありません。1度形成された性格をぶち壊して、新しい性格に作り直すことは、至難の技なんですわ。私、面倒なことはキライなんですの。


私は私なりに、今の2度目の人生を精一杯楽しんでおりますので、どうかご心配なく。


前世では一人っ子でしたから、多少、(イエ、かなり)ウザいとは思いますが、兄弟というものはいいものだな、と感じる今日この頃でございます。



「アルフィ兄様。そろそろ、リスティを放してあげたらいかが?リスティ、ただいま。こっちへいらっしゃいな。」


そこへ、優雅に部屋に入ってきた銀髪美女。


皆様、もうお気づきでしょう。そうです。アテネお姉様ですわ。



「お姉様!おかえりなさい。メイフィス侯爵夫人のお茶会は、いかがでしたか?」


「ま、いつも通りよ。今日は、メイフィス侯爵令息のレオナール様も途中から参加なさって、ちょっと厄介だったけど。」



さすが、お姉様。その神秘的な美しさに惹かれる殿方は数しれず。今日も多勢を袖にしてきたご様子です。それでも寄ってくる殿方が一行に減らないのは、単にお姉様のお人柄ゆえ。悪女にはなり得ない方なのですわ。



「なに!レオンが!?あいつ、やけにとっとと帰ったと思ったら、そういうことだったのか!アテネ、大丈夫?何もされなかったか?ああ〜っ、あいつめ、今度会ったら殴り倒してくれる・・・」



お兄様、物騒なことおっしゃらないでくださいな。あなたは私たちのお父様ではないんですから。

こんな過保護なお父様、こちらから願い下げですけれど。


私たちのお父様、子どもたちに関しては、そぉんなに過保護ではないんですのよ?お母様にはめちゃめちゃ過保護ですけど。


まぁ、お母様に過保護になるお気持ちは、よくわかりますわ。どこか危なっかしくて、目を離すと別の世界に連れ去られそうなんですもの。お父様のお母様への溺愛と過保護は、これからも続いていくことでしょうねぇ。


あらっ、もしや、お兄様の私たちへの過保護はお父様譲り!?

いやですわ。そんなところ、似なくてもよろしいのに。



「人の話を聞かないで、勝手に妄想するのはやめてくださいな。私は大丈夫ですわ。それに、レオナール様がいらしたのは、そろそろお開き、というくらいの時間でしたもの。それほど言葉も交わす時間もありませんでしたし。」



そうそう、その調子ですわ!お姉様。言いたいことはズバッと言って、過保護なお兄様を教育していただかなくては。



「それでも、僕のアテネを口説いたのは、万死に値する!!」



あぁ〜あ、お兄様。そんなことをおっしゃったら・・・



「はぁ〜、誰が“僕の”アテネですって?シスコンも大概にしてくださいませ。はぁ、もう結構ですわ。」



ほら、お姉様呆れてしまわれたわ。



「ああ、そうだわ。リスティ、ミシェルが扉の外で困ってるわよ。家庭教師のお時間じゃなくって?」


「あら、そうでしたわ。ありがとうございます、お姉様。お兄様があまりにも騒々しくて忘れてました。」



ここで私もしっかり釘をさしておかなくては。将来、恋人探しすらできなくなってしまいますものね。



「アテネもリスティもひどい!!兄様をもっと大事にしようとは思わないの!?兄様はこんなにも2人を大事にしてるのにぃ〜!」



あぁ、ウザッ。(おっと、失礼。)



「「思いませんわ。」」



ふふっ。お姉様もそう思ってらっしゃるみたいですわ。



「あら、お姉様、気が合いますわね。」


「えぇ、ま、最近ちょっと、いえ、かなりうっとおしくなってきたんだもの。」


「あぁ、過保護で過干渉な男は嫌われますわよね。」



そう。胸の内で思っているだけではなくて、言うときはちゃんと言うんですのよ?私も。



ちーん



後ろの方で影を背負いながらキノコをはやしている男が1人・・・。



自業自得ですわ。これを期に少しは反省していただきたいものですわ。



さあ、私は家庭教師の時間ですわ。



「ではお姉様、私行ってまいりますので、これ、何とかしておいてくださいませね。」


「はいはい、わかったわ。早くお行きなさい。」


「これ・・・。(がーん)」



あら、ちょっと言い過ぎたかしら・・・?

まぁ、大丈夫ですわ。5分もしないうちに元通り。がデフォルトです。我が家の殿方は打たれ強いんですわ。




ふふふっ。これでも結構仲良しなんですのよ?キャラの設定上、お兄様が弄られてるだけなんですの。






そうそう、ここでちょっと裏話を。


お兄様は気づかれていないと思ってらっしゃるみたいですけど、実はお兄様、私がアルフィ兄様って呼ばなくなったことを地味に気にしているんですの。



別にお兄様が嫌いだから呼ばないんじゃないんですのよ?それでは、私がお姉様のことも嫌いということになってしまいますし。(何気にヒドイこと言っている気もいたしますが。)

それは置いておいて・・・。



私も、昔は拙い発音で「アルフィ兄ちゃま」「アテネ姉ちゃま」なんて呼んでいたんですの。でも、どんなにがんばっても「アテネ姉ちゃま」がうまく言えなくて・・・。(“ね”が重なって発音し辛かったんですの。)


そのとき、見た目は子ども、中身は18歳な当時の私が弾き出した答えは、

「どちらもお兄様、お姉様と呼んでしまえ!」

だったのです。どちらかだけ変えるのは不公平ですし、お姉様が気に病まれるのは本意ではないですし。


そんなこんなで現在の呼び名になったわけですが、想定外だったのは、お兄様がお気になさっていること。なまじ昔そう呼んでいたのを覚えていらっしゃるからかしら。

(そういえば、昔は、お兄様を呼んだだけで、お兄様の顔がデレッと蕩けていた気もいたします。)

そんなことをお気になさらなくても・・・、と常々思いますが、口にはしませんわ。ヘタにお兄様を気遣って、私への溺愛度が上がっても困りますからねぇ。



え?私が小悪魔に見える!?



いいえ、見た目は天使でしょ?



あら、自意識過剰ですって?



仕方ありません。事実ですもの。ふふふふふっ♡





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