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第一話 「妹が中二病になっちゃった」

 転生して十数年が経過し、今に至る。俺は女性として転生した。名をティレアという。今年で十七歳になる。男の記憶があるから不便な事は多々あったが、もう慣れた。俺の容姿についていえば、腰まで伸びたサラサラの髪、ぱっちりとした二重瞼、そのどこか凛とした雰囲気とあわせて美少女といって良い。


 また、俺の家は料理屋をやっている。お店の名前は「ベルム」。由来は俺の生まれた町ベルガをもじってつけたと聞いている。料理屋「ベルム」はこの町唯一の料理屋であり、町の皆に料理が美味しいと評判のお店なのだ。その評判も父さんのおかげである。父さんの料理の腕はピカ一。俺も早く父さんみたいに人を唸らせる料理を作りたいと日々料理修行に励んでいるのだ。


 前世、ろくに家事もできないダメダメな男であったが、今ではお店の料理をいくつか任せられるようになっていた。父さんが厳しくも温かく指導してくれたおかげである。父さんは、頼りがいがあり料理の腕もある尊敬できる人なのだ。また、母さんも尊敬できる人である。母さんは料理一筋な夫を助けながらも、色々なことによく気が付く優しい人なのだ。


 そして、俺には三つ年下の妹がいる。妹の名はティムと言って、突然変異なのか俺や両親と違い銀色の髪をしている。

 

 ティムの銀髪はとにかく綺麗だ。特にきらきらと太陽の光をうけてきらめくその銀髪を見ると思わずうっとりしてしまう。俺はティムが小さいときから世話をしてきた。ティムは何かにつけて「お姉ちゃん、お姉ちゃん」と言ってきてとにかくかわいい! 前世一人っ子だった反動か特にティムをかわいがっているのだ。


 俺は今の家族が大好きだし、料理を極めようと思っている。だから異世界だろうが転生だろうが冒険なんかしようとは思わない。やる意味もないのだ。

 

 それにこの世界に魔王はいない。昔々の時代には、ゾルグという地を七つに裂き、人、獣人、竜人、あらゆる人という人を全滅させた魔王がいたらしい。いかにもな話でいわゆる御伽話の世界だ。異世界と言ってもこんなもんだろう。

 

 前世でも鬼がいたとか河童がいたとかそんな話はよくあったし、いわゆる伝説みたいなものだ。こちらでは科学が発展していない分、世の皆は魔王の存在を信じているみたいだけど、前世の科学知識を持っている俺にはピンとこない。獣人とかエルフとかのなかで勢力を誇った者が魔王と呼ばれたのだろう。 


 だからこの世界では勇者が魔王を倒すといったファンタジー的な要素は無い。冒険者もダンジョンを攻略しないし、魔獣といった野生の獣を狩るのが主な仕事なのだ。冒険者というより猟師といったほうが的を射ているかもしれない。いくら魔法が存在するといってもあまり夢が無い世界なのである。


 まぁ、前世と同じく中二病を発病していれば、嬉々として冒険者になって冒険に出ただろうけどね。今の俺は家族を愛する一介の料理人であり、このまま料理の腕を磨き、料理屋「ベルム」を繁盛させるのが夢なのだ。 


 そんな夢に向かって邁進する充実した毎日であったのだが……。


 最近悩みがある。


 それは俺のかわいい妹、ティムの事だ。あんなに「お姉ちゃん、お姉ちゃん」と言っていたのにここ数日、妙に余所余所しいのだ。


 昨日もちょっとスキンシップ過剰だと思うが、ティムの頬にすりすりしながら「ティム、今日も元気でかわいい!」と言ったら何も言わずにすっと避けたのだ。


 これが反抗期というものなのか?


 くぅ〜悲しすぎる!


 今日もティムに無視をされたらどうしよう? 考えれば考えるほど不安が募ってくる。しばらくそっとしておいたほうがいいのだろうか? いや、こういう時こそ、普段どおり振る舞わないとね。

 

 俺は意を決し、ティムに声をかけることにした。


「ティ〜ム、こんなとこにいたの? お店の手伝いの時間だよ」

「人間、口を慎め! 我はゾルグ魔王配下六魔将が一人、カミーラである!」


 な、なんということだ……。


 妹に中二病が発病してしまった。

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