第二十二話 「ミレスとオルティッシオとの共演(前編)」
ずずっと温かいお茶を飲んで、一息つく。
美味しい……。
上質な茶葉の香りが鼻孔をくすぐった。王室御用達と呼ばれてもおかしくない高級茶請とティーを楽しむ。
最初の食事会以降、私はティレアさんにこうしてちょくちょくお茶に誘われるようになった。なんかティレアさんに気に入られたみたいである。
東方の皇室の方が、一介の没落貴族の娘を気にかけてくれるのだ。すごく光栄である。この機会を活用し、ティムちゃん達とは、少しでも信頼を築き上げていきたい。
「あ、あのティレアさん達って本当は……」
「ミレスちゃん、な~に?」
「い、いえ、なんでもありません」
生まれや家庭について聞きたいけど、二の足を踏んでしまう。
自分の推理は、間違っていないはずだ。
東方での話は、ティムちゃん達にとって辛い話だと思う。だけど、その辺の話をしないと、本当の意味でティムちゃん達の支えになれない。勇気を出すのよ。
「ティレアさ――」
言いかけていた言葉を紡ごうとしたが……。
ううん、やっぱりだめ。まだ早い。今は我慢よ。
ティムちゃん達にやっと信頼され始めたところだ。今の段階で、あまり深いところを聞いても、ティムちゃん達を困らせるだけだ。まずは、あたりさわりのない話から切り出すことにしよう。
「そういえば、ティムちゃんが使っている『じゅうどう』ってすごいですよね!」
「あぁ、やっぱりこっちでは珍しいんだ」
「はい、東方に伝わる古武術ってぐらいしか知りません。実際に使っているところなんて、初めて見ました」
「ふふ、柔よく剛を制するよ」
ティレアさんが得意げに語る。
きっと東方王家の国体武術なのだろう。ティレアさんとティムちゃんは、そこの武術師範に徹底的にしごかれたのだ。
「すごいですよね。力を入れているようには、ぜんぜん見えませんでした」
「そうよ。合気って言ってね。仮に私が、この星から外に出られたとするね」
「星ですか?」
夜空に浮かんでいる星のことかな?
ティレアさんは、よく会話で脈絡のない言葉を挟んでくる。
「あぁ、そうか。その概念は、説明が難しいなぁ。じゃあ、例えば、今いる大地の外に出られたとするね」
「は、はい」
「長い棒もあったと仮定すると、私はこの指一つでその大地を動かしてみせるわ。それが合気の理念ね」
何かの比喩表現なのだろう。
なるほど。この前、大地を割るってティムちゃんが言ってたのは、この話だったのね。
ティレアさんは夢想家みたいに時々、突拍子もない話を振ってくるので、返答に困る時がある。
「大地の外というのがよくわかりませんが、『じゅうどう』の凄さはわかりました」
「う~ん、理解するのは難しいよね。確かに、大地が丸い概念がないんだもの。物理法則とかそれ以前の話だよね」
この大地が丸い?
すごい説だ。今まで聞いたことがない新説だよ。東方独自の理論なのかな。
「あの、地面って水平ですよね? 丸くはないと思います。それとも、今いる場所が、たまたま平らってことですか?」
「あ~そうだよね。うん、そう思うのは当然だよ」
「ミレス、お姉様がこの大地を丸いと仰ったのだ。なら、丸いに決まっておる」
ティムちゃんの物言いだと、東方独自の理論ではないみたいだ。ティレアさん独自の理論ということになる。
「でも、私、ここからかなり西方にあるサイハテ平原に行ったことがあるんです。そこで地平線を見ましたが、どこまでも平らでしたよ。それともまだ先に行ったら、わかるんですか?」
「ミレス、お姉様が丸いと仰ったのだ。お姉様のお言葉こそが絶対である。間違っているのは世界だ。ふふ、平らな地面など、我が丸く削り取ってやろう」
うん、ティムちゃんが、お姉さんを大好きなのはわかったよ。
ただその言い方からすると、お姉さんの説を信じてはいないよね。
ほら、ティレアさんがまた苦笑いしている。
「あの仮にこの大地が丸いとして、上にいる人はいいとおもいます。だけど、下にいる人は落下してしまいますよね?」
「ミレス、少しは頭を使え。下にいる者などおらんということだ。不毛の土地というわけだな」
「そ、そうだよね」
「いや~それが下にも人はいるのよ。というか下にいる人達にとっては、その上が下みたいなものだし」
上が下? ティレアさんがとんち問答みたいな回答をしてくる。
「どういう意味ですか?」
「要するに、重力という中心にひっぱる力が働いているからだよ。だから、丸い球体すべてに人が住めるの」
いや、それだと計り知れないすごい力が必要になる。
人や建物が落っこちないように引っ張っている?
それだけすごい力でひっぱられていたのなら、私達自身も地面にひっついちゃう。
そんな力感じない。城や建物を引っ張って、地面にくっつけるぐらいすごい力なら、私達身動きが取れないよ。
「あ、あの、そんなにすごい力が働いているのなら、私達地面に張り付いちゃいませんか?」
「ミレス、何をごちゃごちゃ言うておる。お姉様は下に落っこちるような脆弱な者は、もともと生きる資格がないと仰っているのだ」
あいかわらず、ティムちゃんは、ティレアさんの説を支持しているようで信じていない。
ティレアさんは、そういう意味で言ったんじゃないと思うよ。
「あぁ~やっぱり信じられないよね。うんうん、私も学者じゃないからね。理論だてて説明できないよ」
「ご安心ください。お姉様に異を唱えるものは、すべて我が殺してしんぜます」
ティムちゃんのぶっ飛んだ発言に、とうとうティレアさんが頭を抱えだした。
「はぁ~もういいや。あなた達がそう言うのも、正直理解できるのよ。これで、今いる大地が回っているっていったらどう思う?」
「この大地が動いているって言うんですか!」
「うん、そう」
「いやいやいや、幾らなんでも地面が動いていたら察知できますよ」
「ミレス、何度言ったらわかる。お姉様が動いていると仰ったのだ。止まった地面など、我が動かしてみせる」
ティムちゃんのセリフは置いとくとして……。
地面が動いてたら、さすがに気づく。だいたい上にジャンプしたら、そのままジャンプした場所に戻るのに。この説は、あまりにも突飛すぎる。
ん!? あぁ、そっか!
今までの話は、ティレアさんのジョークだったんだ。あまりにティレアさんが真面目に話すから、ついつい真剣に考えちゃったよ。
「はは、なるほど冗談だったんですね」
「いや、もういいよ。はぁ、大地が丸いって信じてくれたのは、結局ジェシカちゃんだけだったね」
「あ、ティレアさんジェシカと話したんですか?」
「そうだよ。今、ジェシカちゃん元気がないから、ちょくちょくお茶に誘っているんだ。そのときの雑談でね」
「そうですか。ジェシカ元気ですか?」
「うん、前よりは元気になったかな」
「よかった」
「友達があんなことになったからね。しばらくはゆっくり休んでて欲しい」
ティレアさんもジェシカを心配してたんだ。
本当に優しいなぁ。
それにしても、ジェシカ、こんな荒唐無稽な話を信じたんだ。やっぱり精神的に弱ってたから?
「ジェシカは、信じたんですね」
「うん、最初はミレスちゃんみたいに?って感じだったけどね。私が丁寧に説明したら、『つきつめていけば、理に適っているかも』って最後は言ってくれたのよ」
「本当ですか?」
「うん、まぁ、『かんですけど』ってつけ加えたけどね」
「かんですか」
ジェシカのかんってすごく当たる。
本当にこの大地は、丸くて動いているの?
う~ん、さすがに現実的ではない。ジェシカ、まだ本調子ではないみたいだ。
「そうそう。ジェシカちゃん、すごいよね。感覚だけで正解するなんて。ジェシカちゃんは、織田信長みたいな人よ」
おだのぶなが? 誰なの?
知らない。東方の偉人なのかな。
やはり、ティレアさん達は、この辺りの出身じゃない。
というか、ティレアさんの中では、この大地が丸く、動いていることが前提になっているようだ。
それから、色々ティレアさんと楽しくおしゃべりをした。
ティムちゃんはあいかわらずだ。ティレアさんは変わっているけど、とてもいい人だ。
食事会に続き、お茶会にも参加したことで、ティレアさんの人となりを知れたのは収穫だった。すごく良かったと思う。まだ疑問は色々とあるけど、少しでもティムちゃんの家庭を知れたのは嬉しかった。
こうなると、エリザベスの件もなんとかしたい。
ティレアさんが、ティムちゃんに輪をかけた女王みたいな人だったら、話す気もなかった。ティムちゃんがエリザベスに狙われてますって注意しても、鼻で笑って遊んで来いって言うのがオチである。
ティムちゃんにいくら注意しても「エリザベスは活きがいいほうがいい」と言って取り合ってくれない。それどころか、エリザベスを煽る、煽る。もう私の胃が磨り減るぐらいに。
確かにティムちゃんは、驚異的な力を持っている。
だけど、油断しちゃだめだ!
エリザベスは、やられたままでいるほど、お人よしではない。絶対にティムちゃんに復讐する。残虐非道で、頭がキレるエリザベスを野放しにしておけない。
だからこそ、ティムちゃんに気をつけるように家族から注意してもらいたいのだ。ティムちゃんの暴走を止めたい。ご両親は不在なので、ティレアさんにエリザベスの件を相談しよう。
ティレアさんも武道の達人だ。一緒にエリザベス対策をしてもらう。ちょうどティムちゃんはお茶の片付けで厨房にいる。
話をするにはタイミングがいい。
「ティレアさん」
「な~にミレスちゃん? 今、お土産を包んでいるから待っててね」
「あ、ありがとうございます」
ティレアさんは、パイを袋に入れている。
私のためにアップルパイまで焼いてくれたのだ。至れりつくせり。私は女だが、こんなお嫁さんがいたら大歓迎だ。
ティレアさんは、ニコニコしながらアップルパイを綺麗に袋に入れて、ラッピングをしている。
こうして改めて見ると、ティレアさんって本当に普通の人だよね。
突拍子も無いことを言ったりもするけど、基本常識のある普通の女性である。仕草も雰囲気もほんわかしていて、すごく魅力的だ。
一つ、疑問が浮かんだ。
ティレアさんって本当に強いのだろうか?
ティムちゃんが言うような武道の達人に思えない。
「あ、あのここだけの話なんですけど、ティレアさんってカミーラ様よりもお強いんですよね? 武道の達人なんですよね? 所詮は五対一なんですよね?」
「なぁにそれ?」
ティレアさんが、怪訝な顔をする。
ティムちゃんが言ってた話を説明した。
ティムちゃん曰く、ティレアさんは、世界中の人と敵対しても余裕で勝てるそうだ。何十万、何百万の人と同時に戦っても、所詮は五対一らしい。前後左右と上空。基本一斉に飛びかかれるのは、五人だからだ。
五対一を繰り返す。
ただそれだけだと。たまに地面から襲ってくる敵もいるので、六対一になる場合もあるみたいだけどね。
スタミナも何もないぶったまげた話だ。デマとわかっていても、すごい達人だというのは理解できた。
「あぁ、ティムの話をまに受けちゃったんだね。私も調子に乗って話をする時もあるけど、全部冗談よ、冗談」
「冗談なんですか?」
「当たり前よ。五対一って、ありえないでしょ。ミレスちゃ~ん、私は超人でも勇者でもないんだよ」
「そうですね。五対一は冗談だと思ってます。でも、カミーラ様に古武術を教えたのは確かですよね。達人じゃないと説明がつきません」
あのティムちゃんの師匠ってだけで、それは一種のステータスである。そんじょそこらの道場主よりも強者と言ってもよい。
ティレアさん、東方の武術師範に一緒に古武術を習った兄弟子でもあるんですよね?
「まぁ、柔道の基本は教えたけど……しょせん私の実力なんて素人に毛が生えた程度よ。相手が大の大人だと、私じゃ勝てるかどうか。ふいをついてやっとってところかしら」
「そうなんですか! で、でも、カミーラ様は、ばんばん倒してましたよ」
「そりゃティムは私と違って天才だもん。肉体向上魔法とか使えるだろうし、ちょかいをかけてくるようなそこら辺の不良くらいなら簡単に倒せるよ」
き、聞いてた話と違う~。
ここまでの話をまとめると、ティレアさんは古武術の理論は知っている。だが、実力は伴っていない。ティムちゃんは、ティレアさんから理論だけを学び、あとはそれを肉体技術にまで昇華させてレベルアップを果たしたと。
ティレアさんは庶子だ。武術師範の許で本格的に古武術を習っていないのかもしれない。
それなら、古書だけで理論を学び、その知識をティムちゃんに教えたと考えれば、辻褄は合う。ティレアさんが理論だけしか知らないのであれば、大の大人一人に勝てるかどうか怪しくなってくるよね。
ただそれだと、ティムちゃんの話と大きく食い違ってくる。
「カミーラ様は、ティレアさんの足元にも及ばないって言ってましたよ」
「それは、あの子なりの優しさね」
「優しさですか?」
「うん、もうとっくにティムは私の力を超えている。それはティム自身もわかっているんだよ。それでも、姉を立ててそう言ってくれているんだ」
……そうなの?
ティムちゃんが姉のティレアさんの立場を慮って?
ティムちゃんは確かにお姉さんがものすごく大好きだ。それこそ、捏造してでもお姉さんを大きく見せるぐらいはしそうだ。
ティムちゃんの感じからすると、どうも違うような気がする。
ただ、ティレアさんが普通の人であるというのは納得である。古武術の知識をかじってはいるみたいだけど、札付きの悪党共を倒せるようには、とてもじゃないけど思えない。
……色々疑問はある。
ただ一つ言えるのは、ティレアさんは普通の人だと思う。そんなティレアさんにエリザベスの脅威を伝えて怖がらせたくはない。
ん!? そこで天啓を得たかのようにひらめいた。
ニールゼンさんがいるじゃない!
優雅で物腰が落ち着いた大人の人。腕っ節も十分である。あの人なら相談できる。むしろ、あの人しかない。
「ティレアさん、すみません。トイレを貸してください」
そう言うや、ニールゼンさんを捜しに店の外へと飛び出した。
ニールゼンさんを探そう。
ティムちゃんが心の底から信頼している彼なら相談相手にぴったりだ。
ニールゼンさんどこ?
ずっと給仕をされていたので、近くにいるはずだ。
しばらく店の周囲を探したが、見つからない。
あれ、おかしいなぁ。
ニールゼンさん、どこだろう?
従業員の控え室とかあるのかもしれない。
でも、どこに?
お店の周囲は自然の花々はあれど、建物らしきものは見当たらない。
ここって、なんか孤立してるんだよね。
隣人宅までは通りを挟んでいて離れている。
あ、そういえば、食事会の時もあれだけの材料をどうやって持ち込んだのか、疑問だった。店内は、そこまで広くないからね。巨大な倉庫かなにかがあると思っていたのに。
……そうだ。
地下室があるのかもしれない。貴族の間では、ワインセラーなどで地下室を利用することがよくある。地下室なら、材料も置ける。従業員の控え室とかもあるかもしれない。
ニールゼンさんはそこにいるのでは?
だとすれば、地下室はお店の裏手かな。
お店の裏側に移動していると、
「いい気になってんじゃねぇぞ」
えっ!?
なんか地の底を這いずるような恨みの声が聞こえた。
まるで、憎悪と羨望と嫉妬を全部丸ごとひっくるめた負の感情である。
誰なの?
周囲を見渡す。
わっ!? びっくりしたよぉ。
木の陰に隠れて、ぎろりとにらむ男がいた。年は、二十代後半くらいの平凡な顔の青年である。
た、たしかオルさんだっけ?
お茶をしている最中に「進捗報告でございまする!」と叫び、突然店に入ってきたのだ。
なんか騒がしい人だなぁと思っていると、ティレアさんやティムちゃんからお茶会の邪魔だと怒鳴られていた。
こっぴどく叱られて退出していく、その寂しい背中を覚えている。
「な、なにか?」
「いい気になるなと言ってるのだ」
「別にいい気になってません」
「どいつもこいつも処世術に長けた者ばかり」
なっ!? またそれ?
エディムに言われた時もむっときた。
私、そんなに世渡り上手じゃない。
「オルさんでしたか?」
「略すな。私はオルティッシオだ」
「すみません。で、オルティッシオさん、私に何か用ですか?」
「ふん、ティレア様やカミーラ様に気に入られて調子にのっているようだが、勘違いするな。所詮貴様はものだ。愛玩物にすぎん」
すごい嫉妬されている。嫉妬心を爆発させたようなセリフだ。今まで生きてきて、ここまであからさまに嫉妬心をぶつけられたのは初めてかもしれない。
ニールゼンさんを探しに行きたいというのに……。
やばい。変な人にからまれた。こういう人には、かかわらないほうがいい。
目線を合わせず、さっさと横を通り過ぎよう。
「そうですか。それでは急いでいるので、失礼します」
「どこへ行くつもりだ?」
「別にあなたには関係ないでしょ」
「関係ある。ここから先は、立ち入り禁止だ」
オルティッシオさんは、仁王立ちして進行を妨害してきた。
「なぜ、立ち入り禁止なんですか?」
「お前には教えん」
「では、ニールゼンさんを呼んできてもらえませんか?」
「断る。なぜ貴様の命令をきかねばならん。身の程を知れ! そもそもニールゼン隊長に何用だ?」
「あなたには関係がないことです」
「関係ある。私は、カミーラ様の忠実なる部下だ。貴様が害をもたらす存在なら、処分せねばならん」
「はぁ? 何言ってんですか! そんなわけないでしょ。呼ぶ気がないのなら、そこをどいてください」
「どかん」
「あなた、何様ですか? 邪魔しないでください」
「だまれ、愛玩物め。人形なら人形らしく勝手に動き回るでないわ」
……さっきからこの人、喧嘩売っているの?
言動が子供っぽい。この人は、ニールゼンさんみたいなおつきの人ではないのだろう。臨時で雇った下男かもしれない。
あまりに馬鹿すぎる。
そういえば、ティムちゃんもなんかうっとおしそうにこの人を睨んでいた。
落ち延びて忍んでいるような状況でさえなければ、こんな奴は絶対に雇わなかったのに、と言いたげな態度だった。
我が誇りとまで絶賛していたニールゼンさんとは扱いに差がありすぎる。
うん、この人は下働きの下男だ。
「……あなた、さっきからなんなんですか! そんな侮辱、取り消してください」
「なぜ、取り消す必要がある。事実だろうが」
「くっ、そうですか。もういいです。さっさとどいてください」
「どかんと言ってるだろうが!」
「じゃあ腕づくでも通りますよ」
「ほぉ~腕づくときたか」
「えぇ、これでも多少は腕に覚えがあります。怪我をしたくなかったら、そこをどいてください」
さすがに素人に魔法を使うことはしない。ある程度の格闘術は学んでいる。ちょっと脅して、ひいてもらおう。