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第四十四話 「弾けて混ざるのは確実だね」

 オルにオークションに参加してもらう。ただ、今からお店に戻ってオルを呼んでくる時間はない。


 なれば……。


 俺はこの奴隷市に来ている冒険者達を一瞥する。数十人くらいか。通りには、フルプレート一式揃えた屈強そうな戦士からマントだけを羽織った軽装の探検者まで様々いた。


 ふむ、これだけいるんだ。誰かいるだろ。


 まずは手近からだね。


 俺は会場を出た先の区画で、三人で輪になって駄弁っている冒険者達の前に進み出る。


「いきなりなんだ? この女?」


 突然現れた俺に警戒心を抱く冒険者達。不審げにじろじろ見てきた。


 俺はすぅーと深呼吸をする。


 そして……。


「わっはっはっは! 私は邪神ダークマター、栄えある邪神軍の構成員に告げる」


 中二チックにかましてやった。


 そう今から走って戻っても時間がない。なれば、エディムの眷属ネットワークを使ってオルを呼んできてもらう。さらに護衛としてエディムも呼ぶ。エディムにオルを引っ張ってきてもらえれば、お店からでも十分に間に合うはずだからね。


 さぁ、あとはこいつらの中にエディムの眷属がいるかどうか。


 結果はいかに……。


「おいおい、いきなり現れたと思ったら訳のわからないことをほざきやがる。この女おかしいぞ」

「あぁ、確かにイカれた女だ。だが、顔は好みだぜ。どうだ、これから俺と一杯付き合わないか?」


 そう言って、冒険者達が滲み寄ってくる。


 ふむ、外れか。タダの一般人だった。


 これだけいるんだからエディムの四次か五次眷属でもいてもよさそうなのに。


「はぁ、はぁ、ティレアちゃん、いきなり走り出してどうしたんだい?」


 おぉヘタレ(ビセフ)がちょうどいいタイミングで追いついてきた。ヘタレ(ビセフ)の顔で奴らを追い払ってもらおう。


「ビセフさん」

「なんだい?」

「来て早々悪いんですけど、あいつらなんとかしてください」


 俺は締まりのない顔で近づいてきた冒険者達をびっと指差す。


 ヘタレ(ビセフ)は俺の言葉を聞き、今の俺が置かれた状況を理解したみたいだ。ギロリと冒険者達を睨む。


 そして……。


「貴様ら! ティレアちゃんに手を出すつもりならただじゃおかないぞ!」


 ヘタレ(ビセフ)の異名を(くつがえ)すほどの大声で冒険者達を威圧した。


「お、お前は狂犬ビセフ!?」

「お、おい、どうする? このイカレ女はどうやらビセフの女みたいだぜ」


 冒険者達はさっきの勢いが嘘のように小声で、びくつき始めた。


 うんうん、どうやらヘタレ(ビセフ)の二つ名にびびってくれたようね。ヘタレ(ビセフ)よ、この調子で足止めを頼むぞ。


 俺はその隙にまた新たな冒険者の輪に行き、同じようにセリフを放つ。


 返ってきた返事は同じであった。


「狂人女」とか「脳に障害があるイカレ女」とか「誘っているのか?」と絡まれる始末である。


 くっ、だめか……。


 あれから五、六組のパーティーに声をかけたのに無駄足であった。


 こうなってくると眷属が眉唾のように思われる。


 エディムはあれから眷属を増やしていないって言ってた。それにもともとエディムがやたらめったに眷属を増やしていたわけがない。


 恐らく眷属数は、王都の人口の一パーセントも満たないだろう。こんな声かけで偶然出会う可能性なんてゼロに等しかったのだ。


 よく考えればわかること。俺はなんて馬鹿なんだろう。これでオークションへの参加は間に合わない。すなわちあの子達を救う手段は絶たれたのである。


 俺はガクリとその場に膝をついた。


「はぁ、はぁ、テ、ティレアちゃん、さっきから何をしているんだい? あれから絡んでくる冒険者達をいなすのに大変だったんだよ。いくら凄腕の俺がついているからって冒険者達に喧嘩を売るような行為は慎んでよ」

「うぅ、ビセフさん、すみません。わ、私って本当に馬鹿だったんです」

「わぁわぁ、ティレアちゃん、泣かないで。ティレアちゃんは馬鹿じゃないよ。ただ普通の人と思考が違うというか遅れているというか、ただそれだけだから」


 ヘタレ(ビセフ)め、なかなか毒を吐くな。それって馬鹿を言い換えただけだろ?


 ヘタレ(ビセフ)が俺を馬鹿にしながら慰めていると、


「あっ、いたぞ。狂犬ビセフ! 俺達を舐めやがって!」


 俺に絡んでいた奴らが徒党を組んで現れた。どうやら奴らは、狂犬ビセフに対抗するために人数を集めたようだ。


「ティレアちゃん、早く逃げて」

「え!? で、でもビセフさんを置いて一人で逃げるわけには……」

「いいからここは俺に任せて! さすがにこの人数だとティレアちゃんを守りながら戦うのは厳しいよ」

「わ、わかりました。ビセフさんも囲まれる前に逃げてくださいね」


 俺はヘタレ(ビセフ)、いやビセフさんに殿(しんがり)を任せて路地裏へと逃げ出す。うん、さすがに俺のせいでピンチになったのにヘタレ呼ばわりはしない。今日だけはヘタレ返上だ。あくまで今日だけだけどね。


 そうして、ビセフさんと散り散りになり逃げ回っていると、俺の前方を塞ぐようにゴロツキが三人現れた。


「へっへっへっ、こんなところに女が一人、鴨がネギをしょってきましたぜ」

「あぁ、運がいいぜ。意味不明な事をほざくイカレ女がいるって噂がとんでたが、まさかこんな上玉だったとはな」


 そう言ってゴロツキ達が俺を舐め回すように視線を這わす。ゴロツキ達は皆、武器を持っている。手に大剣を持っている者や弓を装備している者、前衛後衛完璧なメンバーだ。こいつらから逃げ出すのは骨が折れそうである。


 くっ、万事休すか……。


「おい、さっき言っていた事は本当か?」

「は、はい?」


 いきなり中央にいる男から話かけられて戸惑ってしまう。


「だから邪神軍がどうのと言ってたのだろ? それは本当かと聞いているんだ!」

「は、はい、本当ですけど……」

「そうか……」

「ゼ、ゼブラの兄貴、何を言って――ごばっ!」

「お、おい、なんで仲間を――がはっ!」


 うぉ! い、いきなり何を――と思ったらこの人、仲間をぶん殴りやがったぞ。いきなり兄貴分から殴られるとは思わなかったんだろう。ゴロツキ二人はあっけなく地べたに倒れた。


 ん!? これはもしや……。


「あ、もしかしてエディムの眷属の方ですか?」

「エディムとは誰だ? 俺は邪神軍吸血部隊エビル地区担当、キッカ様の忠実なる下僕だ」

「エディムを知らないって……あなた本当に眷属? それにキッカ? 誰それ?」

「貴様ぁ! キッカ様を知らないだと。お前こそ本当に邪神軍の一員なのか!」


 激高したゼブラが剣を抜き、俺に襲いかかろうとしてくる。


「ち、ちょっと待って、待って……あ、そうか。きっとそのキッカは――」

「貴様! キッカ様に無礼であろう。敬称をつけんか!」

「わ、わかった、わかったから、落ち着いて。そ、そのキッカ様の上にあたる人がエディムなのよ。だから――」

「何を言っている。キッカ様の主はジェジェ様だぞ」

「おぉ、そういう事。なるほどなるほど理解しちゃったよ」

「ふん、何がなるほどだ! 頭の悪そうな会話をしやがって。で、何を理解した? 本当に貴様は邪神軍の一員なんだろうな?」


 ゼブラはなんとか剣をおさめてくれたが、俺の回答しだいでまた襲いかかってくるつもりだ。


 まったく、しょうがないなぁ~。


 ゼブラ、あなたとんでもない事しているよ。あなたが敬愛するキッカの上のジェジェ、その上のさらに上であるエディムと俺は親友なんだよ。そう、ただの友達じゃないマ・ブ・ダ・チなんだから。


 親友である俺が襲われたなんてエディムに知れたら、あなたボコボコにされちゃうだろうね。


「ゼブラ、あなたわかっていないようだから教えてあげる。私はね、あなたが敬愛する主達の頂点に位置する子と親友なんだよ」

「それがエディムとでも言うのか?」

「そうよ。あなた流で言うならちゃんと敬称つけなさいよ」

「むむ! 確かにキッカ様からこの吸血部隊を率いているお方は美しい少女であると聞いている」

「うんうん、そうでしょ、そうでしょ」

「だが、その御方がエディムというお名前かどうかは知らぬ」

「え!? あなた吸血部隊の長の名前知らないの? どれだけ下っ端なのよ!」

「くっ、俺は邪神軍に入ってまだ一ヶ月しかたっておらんのだぞ。ジェジェ様に拝謁できただけでも出世しているほうだ」


 ゼブラの誇らしげな顔。ジェジェに崇高な念を抱いているのは確かだ。


 ふぅん、ジェジェ如きをそんなふうに言われてもねぇ~。


 まぁ、眷属間のピラミット構造などどうでもいい。俺の頼みを聞いてもらう事が重要なのだ。


「とにかく私はそのエディムと親友なの。で、あなたの眷属ネットワークを使ってエディムを呼び出して欲しいのよ」

「断る!」

「な、なんでさ? 聞いてた? 私はあなた達を率いる長の親友なんだってば!」

「確かにお前は邪神軍の事を知っているようだ。だが、それだけでお前の言葉を信用するわけにはいかない。まずはお前の所属を言え!」

「う~ん所属って言われても……」

「なんだ、言えんのか! お前こそ、ただの下っ端ではないのか?」

「ムカッ、言ったな。じゃあ言っちゃる、聞いて驚け! 私はね、あなた達の長であるエディムの上の上のさらに上のそのまた上の上に位置している者よ」


 そう、形式上のお遊びであるが、俺はエディムの上司であるオル、そのオルの上司である変態(ニールゼン)の上司であるドリュアス君の上司であるティムの上に位置しているのだ。本当だよ。


 だが、ゼブラは驚くどころか何か馬鹿にした目つきでこちらを睨んでくる。


「……お前はバカか? 嘘をつくにしてももっとマシな嘘をつけ。そのくらい上だとお前が邪神軍のトップになるではないか!」

「そ、そう言っているのよ。ふふ、そう私は邪神ティレア様よ。あなた達の頂点に位置す――」

「ふぅ、単なるバカだったか。殺すとしよう」


 俺の言葉を信用せず、ゼブラはつかつかと歩み寄ってくる。しかも大剣を上段に構えてでだ。


「ち、ちょっと待って。わ、私は邪神だって――」

「問答無用、死――」

「何をやっている!」


 ゼブラが俺に襲ってこようとする矢先に聞こえた女性の声。


 誰だ?


「こ、これはキッカ様」


 ゼブラが片膝をついて頭を垂れている。その様子は恐縮しまくりだ。


 ふむ、どうやらこの女性がキッカらしい。


 キッカと呼ばれた女性は眼鏡をかけた大人な女性である。顔は目鼻が整ってて美形だ。うん、何か理系美女って感じだね。タイプなほうだ。


「ゼブラ、こんなところで何を油を売っている。今日はジェジェ様が視察に来られたのだぞ。粗相をしでかすでない」

「こ、これは偉大なるジェジェ様がいらっしゃるとは露知らず。ご無礼申し訳ございません」

「まったく私に恥をかかすではない!」

「ま、誠に申し訳ございません」

「……ったく、それで、ゼブラいったい何をしていた?」

「はっ。それが邪神軍を騙るこの不届きな娘を成敗しようとしていました」

「邪神軍を騙るだとぉ!」


 そう言って俺を見るキッカと……ジェジェ!?


 おぉジェジェまで来たのか。キッカの後ろにいるのはまさにジェジェだ。陰険で神経質そうな顔は健在である。あまり会話をしたくない奴だが、俺の素性を知っている奴が現れたのはラッキーだ。


「お~い、ジェジェ、ジェジェ。私、私、ティレアだよ。なんかさ、このゼブラって奴が、私が邪神軍の一員だって信用してくれないんだ。ジェジェ、早く身元を証明してよ」


 俺は陽気に手を振りながらジェジェにそう訴えた。


 だが、ジェジェは頭をかかえて、はぁ~とため息をつくだけである。


 なんだよ、こいつ! 俺の顔を見てため息をつきやがったぞ。失礼な奴だ。


「ほら、ジェジェ、なんとか言って。邪神様だよ。みんなのアイドル、ティレアちゃんだって紹介してやってよ」

「ジェジェ様、ほ、本当に、こ、こいつが邪神様なのですか……?」


 ゼブラが急に顔色を青くして慌てている。まったく、今更遅いっての。ジェジェに叱られるといい。


「……残念だが、本当だ」

「ひっ! お、俺はなんて事を……」


 すぐさま地べたに土下座をしようとするゼブラ。キッカに叱られた時よりも慌てて萎縮していた。その荒れた地面にお構いなしに頭を擦りつけようとしている。


 おいおい、土下座はやりすぎだ。わかってくれればいいんだ。そこまでしてもらう必要はない。


「そ、そんな頭を下げる必要は――」

「頭を下げる必要はないぞ。ゼブラ」


 俺が言葉を言い切る前に言い放つジェジェ。確かに頭を下げる必要はないけど、お前がそれを言うか? なんか腹立つ奴だな。


「よ、宜しいのですか?」

「あぁ、こやつは確かに偉大なエディム様が使えし主君ではある。だが、暗君もいいところ。お前が頭を下げる価値もない」

「そうですか。それでは失礼して」


 そう言って立ち上がるゼブラ。ついでに俺に侮蔑の眼差しを向けるのも忘れない。この野郎、覚えておけよ。後でエディムに告げ口してやるからな。


「それにしても、栄えある邪神軍のトップが暗君だなんてショックであります」

「お前の言うとおり、私も憤りを感じておる。うぅ、偉大なエディム様がこのような暗君のグズに使えておるのだぞ。さぞ、ご無念であろう」


 そう言って涙ながらに語るジェジェ。時折、嗚咽を交えてもいる。


 おい、さっきから暗君、暗君って……。


 俺はネロか、はたまた阿斗とでも言うのか! むちゃくちゃ失敬な奴だ。

 俺もエディムの主を気取る気はないけど、だからって悪口を言われて良い気にはなれないよ。腹が立つ。


 少し言い返してや――まぁ、いいや。ジェジェがこんな性格なのは知っている。ここは俺が大人になろう。とにかくジェジェが来てくれたのなら話は早い。早速、エディムを呼んできてもらおう。


「あの、ジェジェ泣いているところ悪いんだけど、頼みがあるんだ」

「なんだ! エディム様のために自害でもする気になったか!」

「な、わけないでしょ!」

「ではなんだ!」

「あのね、エディムを呼んできてもらえない?」

「はぁ~それは邪神軍のためになる公用なんだろうな?」

「う~ん、公私でいえば私用になるかな」

「じゃあ、だめだ。邪神軍は貴様の私物ではないのだぞ。将来的にはエディム様のものだ。貴様の下らぬ事案でエディム様の覇業を邪魔するでない!」


 確かに邪神軍は俺の私物ではない。だが、エディムの私物でもないぞ。こいつの思考はやばい。せっかくエディムが平穏な暮らしを望んでいるのに。こいつのせいで台無しになる可能性がある。


 ふむ、ジェジェはエディムを覇王かなんかにしようとしているんじゃないか?


「ジェジェ、あなた危険な思想をしている。それじゃあエディムが悲しむよ」

「ふっ、なんだ? 自分が王座を引き摺り下ろされるのが恐ろしいか? そんな腑抜けは王にふさわしくない。さっさと指揮権をエディム様に渡せ。邪神軍はバカのお前にはもったいない」

「あ、あのね、そんな事をしてもエディムが喜ぶと思ったら大間違いよ」

「そんな事はない。エディム様は主が愚物で毎日、苦々しい思いをされておられるにちがいない。エディム様はな、望めば天下も窺える器なのだぞ」

「はぁ~『主の心、眷属知らず』とはまさにこのこと。エディムはね、平穏無事に人間らしく生活するのが願いなのよ。天下を取る? ちゃんちゃらおかしい。それはエディムの真逆の願いね」

「はっ。お前こそ、何を寝惚けた事を言っておる。そんな矮小な人間如きとエディム様を一緒にするな。エディム様はお前のような暗君にお仕えして、忸怩たる思いをされておられる。前々から言おうと思っていた。お前はエディム様の主にふさわしくない。むしろお前がエディム様の足元にひれ伏し、頭を垂れるべきなのだ」


 ジェジェは、さも当然のように言い放つ。こんなのが眷属なんてエディムの苦労が偲ばれるよ。


「あのね、確かに私はエディムの主とは思っていない」

「ほぉ、やはり自分の矮小さには気づいていたか。ならばエディム様に従え! 素直に言う事を聞くなら私の靴取りぐらいにはしてやるぞ」

「はん! 何を言っているの! 私とエディムは親友、マブタチなのよ。マブのエディムとの関係に上下はないわ」

「はぁ? お前こそ、頭がイカれているぞ。何が親友だ。さっきから聞いていれば、お前は邪神軍をおもちゃか何かと勘違いしておらんか!」

「あぁ、もうあなたじゃ話にならない。ねぇ、エディムを呼んできてよ。なんならダルフでもいいから。とにかくあなたの上を出してもらわないと話にならないよ」

「くっ、もう許せぬ! ダルフ様、エディム様のような偉大な御方に対し、気軽に扱う、その厚かましさ、お気楽さ。エディム様のため、貴様を殺す」


 そう言ってジェジェが戦闘態勢に入る。ゼブラもジェジェをサポートするみたいだ。キッカは困惑している。実質、二対一といったところか。


 ふぅ、備えあれば憂いなし。こういうジェジェみたいな馬鹿眷属がいつ暴発するかわからないからクカノミはたえず持ち歩いている。ロザリオも懐に入れているし、ジェジェに勝目はない。なにしろクカノミとロザリオは魔族襲撃の際に魔族の長ですら仕留めた一品なのだ。三流魔族のジェジェなど掠っただけでジュワーッって蒸発しそうだよ。


「ねぇ、やめなさい。あなた死ぬよ。まじで手加減できないんだって」

「ふん、貴様を懲らしめてやろうと常々思っていた。命乞いは無駄だぞ」

「まったく、フラグ立ててくるわね。あなたなんて本当、ワンパンよ。一瞬で片がついちゃうから」

「大口だけは叩くの。私はエディム様から血をもらいパワーアップしたのだ。はっきりいってお前のような馬鹿など相手ではない」

「いや、もうね、言ってやろうか? 数秒後のあなたのセリフ『ぐぉおお、と、溶ける。そ、そんな、ば、馬鹿なぁ~』って感じよ。本当に溶けちゃうから馬鹿な真似はやめなさい」

「ふっふっふっ、そこまでホラ吹くなら腕で証明してみせろやぁ!」


 俺の制止も聞かず、ジェジェとゼブラが俺に突っ込んでくる。


 ったく、命を粗末にしやがって……。


「こ、この大馬鹿やろぉ――っ!」


 俺は大きく振りかぶると、クカノミをジェジェとゼブラに向けて投げつけた。

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