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あの出来事前
レオンハルと不本意な対面をしたその日、私は学校に着くと普通に授業を受けていた。
貧乏貴族の私はクラスメイトからも教師からも風当たりが強くて正直いえばつまんないけど。
「ミツキちゃん‼」
そんな中で血相を変えてわたしの名前を呼んで教室に入ってきたのはマリー先生。
私たちと容姿は全く違うし「◯◯ちゃん」というよく分からない言葉を名前の後につけている。
まあ、そんなところがマリー先生の可愛いところではある。
それにマリー先生が唯一私と普通に話してくれる人でもあるし。
…普段ニコニコ顔を絶やさないマリー先生の血相を変えた姿に動揺して埒もないことを考える。
「ミツキちゃん‼こっちにきて。」
そんな私を半ば強引に廊下へ連れ出すと、先生が重たい口を開いた。
「ミツキちゃん、落ち着いて聞いて…」
いや、嫌よ、嫌だ‼
私の本能が聞きたくないと告げる。
それでも先生は話し続ける。
「ミツキちゃんのご両親が乗っていた馬車が谷から滑落したようなの…」
私の世界が急に色をなくして行くのが分かった…