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「ミツキ=セントラル」

私を追い抜き一メートル先に止まった高級馬車から降りてきた男に名前を呼ばれる。


やっぱりね、内心ではウンザリではあるが、相手は貴族の一位、二位を争う家の第一子息。


「このような身にお声掛けありがとうございます、レオンハル様。わたくしめに何か御用でしょうか。」


毎朝同じあいさつを同じ相手に返す。大概失礼な事をしている自覚はあるが、自分よりはるかに身分低い女を毎日バカにする行為をするこの男がキライであるし、


「いい加減そのセリフも飽きた。たまには違うことを言えないのか?まあいい、乗れ。」


「ちょっ、困ります。やめて、触らないでください!。」


毎日強引に馬車に乗せられることだって、腕を引っ張られながら乗せられることだってキライだ。


なにより


ビクッ‼


「黙れ。お前の家をつぶしてやろうか。」


このセリフと冷たい視線、好き嫌い以前に恐怖が沸き起こる。



別に家を潰される事を恐れているわけではない。家を潰される事が嫌なら、他の家がやっているようにもっとレオンハルに媚びへつらっている。だけど貧乏貴族が平民になってもほとんど変わらないだろうし、もとより貴族のプライドなんて持ち合わせていない。


じゃあ何が怖いのかと言えば、そういうことを平気で言える、と言うことが心底恐ろしいのだ。


レオンハルには震えを悟られたくなくて、いつも強がるような態度を取ってはいるが、私の本能は常に怯えているといっても過言ではない。



ガタガタ…


沈黙の中、私とレオンハルを乗せた馬車は動き続ける。


密着するように私のとなりに座るレオンハルから冷たい視線を感じるが私は俯きギュッと握りしめた拳を膝の上に乗せて置くので精一杯だ。…なんでこんなに広い車内で密着するのよ‼足の震えが伝わるじゃない!


必死に意識をそらすミツキは送ってやる、ならぬ強制登校の始まりを思い出してみた。

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