夢は何度でも~アスリートを目指す17才女子高生の物語~
「ねえ美里、もう泳がないの?」
元々同じ部活だった相沢麗奈が私のアルバイトのファミレス先にやって来るなり言ってきた。
ボックス席に腰をかけ窺うように見てくる麗奈。
「もういいんだ」
「もう怪我は治ったんじゃ……」
「もういいって言ってるでしょ!帰って」
麗奈は涙目で席を立ち、走って店を出ていった。
私は麗奈を帰してしまった。
でも、もう私の青春は終わったんだ。今更戻れない。
麗奈の座っていた席のシートに何か黒い物が落ちていた。
「何?」
私はその黒い物を拾い上げた。
これって……
10年前―――
ランドセルを背負った私と麗奈はあるガチャガチャ機の前にしゃがみ覗き込んでいた。
「これなんだろう?」
不思議そうに呟く私に麗奈はガチャガチャ機に書いてある内容を説明してくれた。
「ん~なんかこれを持つと友情運が上がるキーホルダーらしいよ」
「友情運か」
ムッとした顔でこちらを見る麗奈。
「私と美里が仲良くいられますようにって買おうと思ったのに」
「えっ!ありがとう……」
100円玉を機械に入れ、ゆっくり回すと黒い小悪魔のようなキャラのキーホルダーが出てきた。
麗奈はそのキーホルダーを取り出し嬉しそうに眺めていた。
そんなことを思い出した。
「麗奈……」
私は本当にもう泳ぎたくないのだろうか。
いや……夢はまだ……そう思っているうちに私は店を出た麗奈を追いかけていた。
道路沿いの通路で麗奈に追いついた。
麗奈の前に回り込む。
「私……私まだ水泳を諦めたくない!」
美里の言葉に目を赤くする麗奈。
「その言葉を待ってたよ」
「明日からまた部活で待ってるよ」
「うん、必ず行くね」
「絶対だよ」
夢は追いかけなければ叶えることもできない。
それなら、いつまでだって追いかけてやるよ。




