かいとう編
僕の話を聞いた夏乃はケラケラと笑っている。
「A君の空気の読めなさヤバいでしょ。ラーメン屋で好きでもないつけ麺頼んでしかも不味いって。静海はよくキレなかったわね」
「ああそうだ、僕は何回かキレそうになった」
「そんなA君の最後の発言は『このラーメン屋はダメだね』かしら?」
「つけ麺が不味いのは事実だ、だからそれを言われても僕は怒らない」
「じゃあ『この店を紹介した静海のセンスは終わってる』かしら?」
「ムカつきはするがキレそうにはならないな。もっと酷い発言だった」
「それより酷いの? ヒントをちょうだい」
「僕が3人にラーメン屋でいいか聞いただろ。その時にA君は、うん、まあいいよという返事だった」
夏乃は考えこむ。
「ひょっとしてA君はラーメン嫌いなの?」
「いや、ラーメンは好きだ」
「じゃあなんで誘われたときに微妙な返事なの?」
「そういう時あるだろ。ラーメンが好きだけど夜にラーメンを食べたく無い時」
「……まさかA君は昼にラーメンを食べたってこと!?」
「正解だ。あの野郎言いやがった。『俺は昼にラーメン食べたんだ。昼夜連続でラーメンになっちゃったよ。まいったね』って」
「ヤバいでしょその発言」夏乃は笑いだす。
「いやほんとブチギレそうになったよ僕は。
僕がラーメン屋でいいか聞いた時に、昼にラーメン食べたと言えよ。
その時に言わなかったなら後で言っちゃダメだろ。
あと連続でラーメン食いたくないならチャーハンでも注文しとけよあいつ」 完




