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Ep.25 エピローグ

 故郷の丘にさわやかな風が吹く。

 何年振りだろう。ここを訪れたのは。

 アジルスの花の栽培研究が始まっても、ここには怖くて来ることが出来なかった。

 私の幼少の時の、お父様とお母様との温かい思い出の場所。

 小さい時はお母様の調子の良い時に何度もピクニックにきた。

 だけど、今は……。




「あぁ、フィオナさん。探したよ!」


「ママ! パパと一緒にとっても眺めのいい場所見つけたの! こっちこっち!」


 夫となったノエル君と5歳になった娘を連れて、やっと私は故郷に帰ってきた。


「なぁに? シルヴィー」


「湖の横にね、お花畑があるの! い〜っぱいお花があったよ!」


 娘は父親譲りの金髪で私と同じ緑の瞳をしている。

 顔立ちは私の方が似てるのかしら?


「そうなの? どんなお花かな?」


 シルヴィーと目線を合わせるためにしゃがみ込む。


「黄色い花びらがね、うわ〜っとレースみたいにまん丸なの」


 うわ〜のところで両手を広げて精一杯背伸びをする様が可愛らしい。


「あぁ、それはお薬にもなるお花かもしれないわね。一緒に見に行ってみましょうか」


「フィオナさんが遅いから、もう荷物も全部広げちゃったよ」


 ノエル君は垂れた目元が少し幼く見える顔立ちは変わらない。

 でも、私と一緒にあれから時を重ねている。


「それはごめんなさい。迷ったわけじゃないんだけど、なんだか懐かしくて……」


 お父様、お母様と一緒にここで、娘と同じようにはしゃいだ事を思い出す。


「私の運命を変えてくれた大事な場所なのにね……」


 声色に翳りを感じたのだろう。いつもこの人は察しが良すぎる。


「今は僕も娘もいるよ。君を、もっともっと幸せにしたい」


「あら、今でも十分幸せだわ」


 うふふと笑うとノエル君は私の頬にキスをした。


「足りないよ。もう二人くらいは子供作ってもらわなくちゃ」


「ちょっと! 子供の前でやめてちょうだい!」


 あははと笑い声を上げながら抱きつくノエル君に娘が駆け寄ってむくれている。


「あ〜! パパずる〜い! 私もママと仲良しする〜!」


 娘に飛びつかれて3人揃って草むらにひっくり返ってしまう。

 娘とノエル君の笑い声が響く。


「そうだ、パパとママは仲良しだ! ようし、デザートのワッフルは早い者勝ちだぞ! 競争だ!」


「あ〜! だめ〜! いちごのワッフルはシルヴィのなの〜!」


 駆け出していくノエル君を娘が追いかける。



 

 

 故郷の湖のほとりにアジルスの花がゆれる。

 幸せを呼ぶ花が。


 

 終わり

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また、レビューも頂けたら泣いて喜びます。


最終話までお付き合い頂き、ありがとうございました。


続編は9/26連載開始です!

「国家薬師と秘密のお手紙」(N9377LC) → https://ncode.syosetu.com/n9377lc/


今度のお話は、この1話前のEp.24からエピローグの間のお話になります。

新しい男性も現れてノエル君と三角関係?

フィオナさんの巻き込まれドタバタコメディにご期待下さい!

掲載時にはこちらにリンクも設定しますので、ブックマーク頂けますと幸いです。

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― 新着の感想 ―
完結、おめでとうございます!!! ハッピーエンドでとても良かったです!! 素晴らしい物語を本当にありがとうございました✨
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