たそがれ⑨〜『ナツ』って名前☆ミ〜
いつかのどこかの遠い遠い星☆ミ
落下して消滅してしまう星☆ミ
そんな終わりに向かう星で☆ミ
落下星人の少女『ナツ』と
落下星犬の『ピーちゃん』は、
昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手で、
今日も一人と一匹で散歩する。
「ねぇ。ピーちゃん」
「Uo・ェ・oU?」
「…この星…昔『季節』があったんだって」
「ワウUo・ェ・oU?」
「…そう…季節」
何時もの昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手のオレンジ色に染まる河原に座り落下星人の少女『ナツ』は言う。
その額には落下星人の証のピーナツと呼ばれる触角がセンターパートの前髪からピョコンと生えている。
「…星が…季節を巡るのを辞めてしまったんだって」
「ワウUo・ェ・oU?」
「…そう…辞めたの」
不思議そうに飼い主の少女を見あげる落下星犬の『ピーちゃん』にも同じ様に広い額から落下星犬の証であるピーナツと呼ばれる触角が生えてて小首を傾げた拍子に揺れている。
その『ピーちゃん』の広い額を優しく撫でる。
「私の名前は、季節の『夏』から付けたんだって」
「ワウUo・ェ・oU?」
「…そう…季節なの」
何処までもオレンジ色に染まる空を見上げて落下星人の少女『ナツ』は落下星人の証のピーナツと呼ばれる触角を生温い風に揺らして呟いた。
「…とても暑い季節だったんだって…」
「ワウUo・ェ・oU?」
「…さあ…解らない」
昨日から一日減った《164》オレンジ色の空に浮かぶ数字の羅列を見詰め落下星人の少女『ナツ』は落下星犬の『ピーちゃん』を膝に乗せギュッーー!!っと強く抱きしめて囁いた。
「…解らない…けど。『ピーちゃん』をギュッーー!!っと抱きしめてる時みたいな『熱い』に近いのかもね」
「キュンU^ェ^U」
いつかのどこかの遠い遠い星☆ミ
落下して消滅してしまう星☆ミ
そんな終わりに向かう星☆ミ
太陽は昇るのも沈むのも辞めた星☆ミ
何時も夕暮れオレンジ色の黄昏時の星☆ミ
軈て季節も巡るのを辞めた星☆ミ
暑いも寒いも無い生温かい風が吹く星☆ミ
暑いは無いけど『熱い』は、まだある星☆ミ
たそがれ⑨〜『ナツ』って名前☆ミ〜
落下するまで164日☆ミ




