表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/12

たそがれ⑧〜昨日の話の続き☆ミ〜

 いつかのどこかの遠い遠い星☆ミ

 落下して消滅してしまう星☆ミ

 そんな終わりに向かう星で☆ミ

 落下星人((ピーナツ星人))の少女『ナツ』と

 落下星犬((ピーナツ犬))の『ピーちゃん』は、

 昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。

 夕暮れの黄昏時しか存在しない土手で、

 今日も一人と一匹で散歩する。


 「…ねぇ。ピーちゃん…」

 「ワゥUo・ェ・oU(なぁに?)?」

 「昨日話したことって覚えてる?」

 「ワゥUo・ェ・oU(なんだろう?)?」

 「ピーちゃんは、ホントに忘れん坊だね」


 何時もの昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。夕暮れの黄昏時しか存在しない土手のオレンジ色に染まる河原に座り落下星人((ピーナツ星人))の少女『ナツ』は隣にピョコンと座る落下星犬((ピーナツ犬))の『ピーちゃん』に囁く。その額には落下星人((ピーナツ星人))の証のピーナツと呼ばれる触角がセンターパートの前髪からピョコンと生えている。その自分の触角を指差して飼い主の少女『ナツ』は言う。


 「触角(ここ)アラレ(・・・)アラレ星人(・・・・・)の話だよ」


 「ワンUo・ェ・oU(思い出した)


 「…思い出してくれて良かったよ…その続きの話」


 「ワウUo・ェ・oU(続き?)?」


 不思議そうに落下星犬((ピーナツ犬))の『ピーちゃん』が、広い(おデコ)からピョコンと生えている落下星犬((ピーナツ犬))の証であるピーナツと呼ばれる触角を揺らして隣に座る飼い主の少女『ナツ』を見上げる。


 「そう。続きがあるの」飼い主の少女『ナツ』は、小首を可愛く傾げる飼い犬の『ピーちゃん』の広い(おデコ)を優しく撫でながら話し始めた。

 「…この星の歴史の話だよ…この星には、落下星人(ピーナツ星人)とアラレ星人と言う二つの種族が共生していました。最初はアラレ星人が6割。落下星人(ピーナツ星人)が4割の比率で共生していました。軈て、アラレ星人が7割。落下星人(ピーナツ人)が3割になって……」


 何時(いつ)もオレンジ色の空を生温い風が吹いて、飼い主の少女『ナツ』と飼い犬の『ピーちゃん』の(おデコ)から生えるピーナツと呼ばれる触角を静かに揺らしている。


 「ワウUo・ェ・oU(ナツ?)?」

 急に話さなくなった飼い主の少女『ナツ』を見上げれば、飼い主の少女『ナツ』は、オレンジ色の空に浮かぶ奇妙な数字の羅列を見詰めて独り言のようにつぶやいた。


 「…まだ…太陽が昇るのも…沈むのも…辞めてなかった時の話だよ…透き通る空が割れて、大きな巨神が、アラレ星人達を根こそぎ…向こうの世界(・・・・・・)に連れて行ってしまったんだ」


 「ワウUo・ェ・oU(向こうの世界?)?」


 「……そう。向こうの世界(・・・・・・)には、食いしん坊な巨神が沢山いるんだって」


 「ワウUo・ェ・oU(食べられたの?)?」恐る恐る訊く飼い犬の『ピーちゃん』を膝に抱き飼い主の少女『ナツ』は「…たぶん…そう歴史の教科書には記されてる」静かに答え。

 昨日から一日減った《165》オレンジ色の空に浮かぶ数字の羅列を見詰める。


 「……前に話したでしょ?ピーちゃん達…落下星犬((ピーナツ星犬))は…落下星人((ピーナツ星人))が作ったって」


 「ワウUo・ェ・oU(寂しかったから?)?」


 「そう。きっと。アラレ星人がいなくなって落下星人((ピーナツ星人))は、寂しかったんだと思う。アラレ星人は良き友人だったから」


 「ワウUo・ェ・oU(ボクはずっと)

 

 落下して消滅してしまう星☆ミ

 そんな終わりに向かう星で☆ミ

 落下星犬((ピーナツ犬))の『ピーちゃん』は、

 昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。

 夕暮れの黄昏時しか存在しない土手で、

 落下星人((ピーナツ星人))の少女『ナツ』に言う。


 「ワウUo・ェ・oU(ナツの友達だよ)


 ーー現在。落下星((ピーナツ星))には、

 ーー落下星人((ピーナツ星人))2割。

 ーー落下星犬((ピーナツ犬))1割。

 ……唯。それだけが生存していた。


 「ありがとうピーちゃん」

 一体いつまで、私達は、昨日の話の続きができるのかな?

 この星の黄昏に『ナツ』は、心の内で独り言ちた。


 たそがれ⑧〜昨日の話の続き☆ミ〜

 落下するまで(賞味期限まで)165日☆ミ


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ