たそがれ⑧〜昨日の話の続き☆ミ〜
いつかのどこかの遠い遠い星☆ミ
落下して消滅してしまう星☆ミ
そんな終わりに向かう星で☆ミ
落下星人の少女『ナツ』と
落下星犬の『ピーちゃん』は、
昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手で、
今日も一人と一匹で散歩する。
「…ねぇ。ピーちゃん…」
「ワゥUo・ェ・oU?」
「昨日話したことって覚えてる?」
「ワゥUo・ェ・oU?」
「ピーちゃんは、ホントに忘れん坊だね」
何時もの昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。夕暮れの黄昏時しか存在しない土手のオレンジ色に染まる河原に座り落下星人の少女『ナツ』は隣にピョコンと座る落下星犬の『ピーちゃん』に囁く。その額には落下星人の証のピーナツと呼ばれる触角がセンターパートの前髪からピョコンと生えている。その自分の触角を指差して飼い主の少女『ナツ』は言う。
「触角がアラレのアラレ星人の話だよ」
「ワンUo・ェ・oU」
「…思い出してくれて良かったよ…その続きの話」
「ワウUo・ェ・oU?」
不思議そうに落下星犬の『ピーちゃん』が、広い額からピョコンと生えている落下星犬の証であるピーナツと呼ばれる触角を揺らして隣に座る飼い主の少女『ナツ』を見上げる。
「そう。続きがあるの」飼い主の少女『ナツ』は、小首を可愛く傾げる飼い犬の『ピーちゃん』の広い額を優しく撫でながら話し始めた。
「…この星の歴史の話だよ…この星には、落下星人とアラレ星人と言う二つの種族が共生していました。最初はアラレ星人が6割。落下星人が4割の比率で共生していました。軈て、アラレ星人が7割。落下星人が3割になって……」
何時もオレンジ色の空を生温い風が吹いて、飼い主の少女『ナツ』と飼い犬の『ピーちゃん』の額から生えるピーナツと呼ばれる触角を静かに揺らしている。
「ワウUo・ェ・oU?」
急に話さなくなった飼い主の少女『ナツ』を見上げれば、飼い主の少女『ナツ』は、オレンジ色の空に浮かぶ奇妙な数字の羅列を見詰めて独り言のようにつぶやいた。
「…まだ…太陽が昇るのも…沈むのも…辞めてなかった時の話だよ…透き通る空が割れて、大きな巨神が、アラレ星人達を根こそぎ…向こうの世界に連れて行ってしまったんだ」
「ワウUo・ェ・oU?」
「……そう。向こうの世界には、食いしん坊な巨神が沢山いるんだって」
「ワウUo・ェ・oU?」恐る恐る訊く飼い犬の『ピーちゃん』を膝に抱き飼い主の少女『ナツ』は「…たぶん…そう歴史の教科書には記されてる」静かに答え。
昨日から一日減った《165》オレンジ色の空に浮かぶ数字の羅列を見詰める。
「……前に話したでしょ?ピーちゃん達…落下星犬は…落下星人が作ったって」
「ワウUo・ェ・oU?」
「そう。きっと。アラレ星人がいなくなって落下星人は、寂しかったんだと思う。アラレ星人は良き友人だったから」
「ワウUo・ェ・oU」
落下して消滅してしまう星☆ミ
そんな終わりに向かう星で☆ミ
落下星犬の『ピーちゃん』は、
昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手で、
落下星人の少女『ナツ』に言う。
「ワウUo・ェ・oU」
ーー現在。落下星には、
ーー落下星人2割。
ーー落下星犬1割。
……唯。それだけが生存していた。
「ありがとうピーちゃん」
一体いつまで、私達は、昨日の話の続きができるのかな?
この星の黄昏に『ナツ』は、心の内で独り言ちた。
たそがれ⑧〜昨日の話の続き☆ミ〜
落下するまで165日☆ミ