たそがれ〜☆59☆腐敗が進むと黒ずむんだって☆ミ〜
いつかのどこかの遠い遠い星☆ミ
落下して消滅してしまう星☆ミ
そんな終わりに向かう星で☆ミ
落下星人の少女『ナツ』と
落下星犬の『ピーちゃん』は、
昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手で、
今日も一人と一匹で散歩する。
「ねぇ。ピーちゃん」
「Uo・ェ・oU?」
「昨日…✹紫色の痣✹の話したでしょ?」
「ワウUo・ェ・oU」
「腐敗が進むと黒ずむんだって」
何時もの昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。夕暮れの黄昏時しか存在しない土手のオレンジ色に染まる河原に座り落下星人の少女『ナツ』は言う。その額には落下星人の証のピーナツと呼ばれる触角がセンターパートの前髪からピョコンと生えている。
「Uo・ェ・oU?」
「…そう…今は✹紫色✹をしているけど…腐敗が進むとだんだんと躰が黒ずんで逝くんだって……」
「ワウUo・ェ・oU?」
「うん…私の躰も腐敗が進むと…黒ずんで逝くと思う」
「ワウUo・ェ・oU?」
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手のオレンジ色に染まる河原に座る飼い主の落下星人の少女『ナツ』の隣りにチョコンと座って落下星犬の『ピーちゃん』は飼い主の落下星人の少女『ナツ』を見上げて訊ねる。飼い犬の『ピーちゃん』の可愛い額からも落下星犬の証である。ピーナツと呼ばれる触角が生えていて、飼い主の少女『ナツ』を見上げる度に可愛く揺れている。
「…色白だと…黒ずむと余計に目立ちそぅ…✹紫色の痣✹も…何だか悪目立ちしてるし……」
飼い主の少女『ナツ』は徐に長袖のセーラー服の袖をゆっくりと白い二の腕の辺りまで捲くる。其処には、✹紫色の痣✹が今日もくっきりと浮かび上がっていた……。
「クゥンU´꓃`U」
飼い犬の『ピーちゃん』は飼い主の少女『ナツ』の白い二の腕の辺りに今日もくっきりと浮かび上がる✹紫色の痣✹を円なお目々で見詰めて心配げに訊ねる。
「ペロペロU´꓃`U」
労わるように飼い犬の『ピーちゃん』は飼い主の少女『ナツ』の白い二の腕の辺りに今日もくっきりと浮かび上がる✹紫色の痣✹を小さな赤い舌でペロペロU´꓃`Uと舐める。
「…ありがとぅ…そんなに痛くないょ…今は、まだ。それより…あんまり舐めると…良くないかも知れないょ…ほら?腐ったものを食べるとお腹壊しちゃぅでしょ?…腐った私をペロペロ舐めてるとピーちゃん…お腹壊しちゃうかも」
飼い主の少女『ナツ』は、労わるように自分の白い二の腕の辺りに今日もくっきりと浮かび上がる✹紫色の痣✹を小さな赤い舌でペロペロU´꓃`Uと舐める可愛い飼い犬の『ピーちゃん』をセーラー服のプリーツスカートに包まれた膝上に抱っこして乗せて言う。
すると可愛い飼い犬の『ピーちゃん』は、ポツリと言う。
「クゥンU´꓃`U」……と。
「ダメだよ…ピーちゃん…」
飼い主の少女『ナツ』は、可愛い飼い犬の『ピーちゃん』に…そっと囁いた…。
「クゥンU´꓃`U」
「ダメだよ…ピーちゃん…困った仔だね」
飼い主の少女『ナツ』はオレンジ色の土手から思いの外深い大きな川を遠い目をして眺めその水面に反射して浮かび上がる《114》奇妙な数字の羅列を見詰めポツリと呟いた。この奇妙な数字の羅列は、この落下してゆく星の落下する期日を示している。
「…私は、可愛いピーちゃんに…腐って欲しくないのょ」
躰の腐敗が始まった飼い主の少女『ナツ』を飼い犬の『ピーちゃん』は、そっと見詰めてポツリと訊ねる……。
「クゥンU´꓃`U」
「…そんな事は、無ぃよ…」
飼い主の少女『ナツ』は腐敗した✹紫色の痣✹を尚もペロペロU´꓃`Uと労わる様に赤い小さな舌で舐めるのを辞めようとしない健気な飼い犬の『ピーちゃん』の可愛く丸い頭を優しく撫でて囁いた。
「ー私は、どんなピーちゃんの事も好きだょー」
慰め合う様な飼い主の少女『ナツ』と飼い犬の『ピーちゃん』を大きな川の水面が静かに見詰めていた。
この落下してゆく星の大気はオレンジ色の砂埃(無数のチリ)により汚染されつつある。このオレンジ色の砂埃(無数のチリ)により汚染された空には朝も夜も無く。何時も黄昏、夕暮れ時しか存在しない。そして、この星からは汚染されたオレンジ色に包まれた黄昏た空しか見えない。その黄昏たオレンジ色の空に浮かぶ奇妙な数字の羅列…落下してゆく星の落下する期日…それしか見えない。この星がオレンジ色の砂埃(無数のチリ)に汚染されていなかった頃、空からは雨や雪が降ったらしい。そして雨上がりの空には、綺麗に七色に輝くー虹ーと言うものが架かったらしい。ー虹ーは、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫、の七色に輝いていてとても綺麗だったそうだ。今、現在ー虹ーは確認する事ができない。そして飼い主の少女『ナツ』は飼い犬の『ピーちゃん』には、言わなかったが、この星の古い文献には、ー虹ーは、この星の未来を約束する為に神様と結んだ契約の証……。そう記されていた。つまり。飼い主の少女『ナツ』は、オレンジ色の黄昏た空を見詰め思うのだ。ー虹ーが確認できないと言う事は、もう、この星は、神様から未来を約束されていないのだと。そう『ナツ』は、オレンジ色の空を見詰めて思うのだった。
そして今、現在、この星の落下星人達の躰の腐敗が始まり。躰のあちこちに腐敗した✹紫色の痣✹が出現していた。かねてより過激な論争を繰り返していた。落下星消滅論には、二つの派閥が在り。片方は、賞味期限が切れたらそのまま星も消滅すると言う。消滅派。もう片方は、賞味期限が切れたら星が腐敗して朽ち落ちると言う。腐敗派。そして今回の腐敗した✹紫色の痣✹の出現により。腐敗派の説が正しいと立証された。ただし賞味期限が切れたら星が腐敗して朽ち落ちる。と言う仮説よりも思いの外早く始まった腐敗は、この星の人々の躰だけでなく心までも腐食して逝くのだった。そして腐敗が進むと✹紫色の痣✹は全身へと拡がり。軈て黒ずんで身体が腐り朽ち果てると言われている。
そして、落下星人の少女『ナツ』も例外ではなく躰の腐敗が始まり。その白い二の腕には、✹紫色の痣✹がくっきりと浮かび上がっていた……。
この星は刻一刻と終わりへと向かって逝く……。
刻一刻と終わりへと向かって、黒ずんで逝く……。
たそがれ〜☆59☆腐敗が進むと黒ずむんだって☆ミ〜
落下するまで114日☆ミ




