たそがれ⑤〜落下星人(ピーナツ星人)☆ミ〜
いつかのどこかの遠い遠い星☆ミ
落下して消滅してしまう星☆ミ
そんな終わりに向かう星で☆ミ
落下星人の少女『ナツ』と
落下星犬の『ピーちゃん』は、
昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手で、
今日も一人と一匹で散歩する。
「…ねぇ。ピーちゃん…」
「ワゥUo・ェ・oU?」
「落下星人を落下星人たらしめるものって何だと思う?」
「ワゥUo・ェ・oU?」
何時もの昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。夕暮れの黄昏時しか存在しない土手のオレンジ色に染まる河原に座り落下星人の少女『ナツ』は隣にピョコンと座る落下星犬の『ピーちゃん』に問う。その額には落下星人の証のピーナツと呼ばれる触角がセンターパートの前髪からピョコンと生えている。その自分の触角を指差して飼い主の少女『ナツ』は答える。
「このピーナツと言う触角此れがあるから落下星人なんだって…安直だと思わない?」
「ワゥUo・ェ・oU?」
落下星犬の『ピーちゃん』にも同じ様に広い額から落下星犬の証であるピーナツと呼ばれる触角が生えていて、不思議そうに飼い主の少女を見上げた拍子に揺れている。
「そう安直私が今此処でこのピーナツと言う触角を切り落としたら。私は、落下星人では無くなるのかな?」
何処までもオレンジ色に染まる空を見上げて落下星人の少女『ナツ』は落下星人を落下星人たらしめる落下星人の証のピーナツと呼ばれる触角を生温い風に揺らして呟いた。
「ワゥンUo・ェ・oU」
落下星犬の『ピーちゃん』は、同じ様に落下星犬の証であるピーナツと呼ばれる触角が生えている広い額を飼い主の少女『ナツ』に甘える様に擦り付けて言った。
「ふふ。そうね。ピーちゃんの言う通りだね。私は私」
飼い主の少女『ナツ』が、飼い犬の『ピーちゃん』を優しく膝に乗せて囁いた。
「そして、ピーちゃんはピーちゃんだね」
オレンジ色の空に浮かぶ奇妙な数字の羅列は、この落下してゆく星の落下する期日を示している……。
「ペロUo・ェ・oU」
飼い犬の『ピーちゃん』が、飼い主の少女『ナツ』のふっくらとした頬を甘える様にペロペロと赤い舌で舐めて言う。
「ふふ。擽ったいよ。ピーちゃん」
ピーちゃんをあやしながら飼い主の少女『ナツ』は、オレンジ色の空に浮かぶ奇妙な数字の羅列を見詰めて独り言のようにつぶやいた。
「…後…168日…本当にピーちゃんがいて良かった…」
……一人で消え逝く勇気が、私には無いから……。
たそがれ⑤〜落下星人(ピーナツ星人)☆ミ〜
落下するまで168日☆ミ