たそがれ〜㉝苦手な食べ物は何?☆ミ〜
いつかのどこかの遠い遠い星☆ミ
落下して消滅してしまう星☆ミ
そんな終わりに向かう星で☆ミ
落下星人の少女『ナツ』と
落下星犬の『ピーちゃん』は、
昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手で、
今日も一人と一匹で散歩する。
「ワンUo・ェ・oU」
「なぁに?ピーちゃん」
「ワンUo・ェ・oU」
「ん?私の?」
「ワンUo・ェ・oU」
何時もの昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手のオレンジ色に染まる河原を歩きながら落下星犬の『ピーちゃん』は、飼い主の落下星人の少女『ナツ』を見上げて訊ねる。
「…苦手な食べ物かぁ…そうだねぇ……」
何時もの夕暮れの黄昏時しか存在しない土手のオレンジ色の空を見上げ飼い主の少女『ナツ』は、落下星人の証のピーナツと呼ばれる触角をセンターパートの前髪からピョコンと揺らして考え込むように呟く……。
……そして「…喧嘩しながら食べる…ご飯かな……」と。
何処か、寂し気に……小さな声で、答えた。
「ワンUo・ェ・oU」
落下星犬の『ピーちゃん』は、広い額からピョコンと生えている落下星犬の証であるピーナツと呼ばれる触角を揺らして隣を歩く飼い主の少女『ナツ』を見上げ不思議そうに訊き返す。
「…そぅ…喧嘩……」
飼い主の少女『ナツ』は、そっと飼い犬の『ピーちゃん』を抱き上げて広い額を優しく撫でて小さな躰を抱き締める。
「パパとママがね毎晩…晩ご飯の時に…喧嘩するの」
オレンジ色の空に浮かぶ《140》奇妙な数字の羅列。
この落下してゆく星の落下する期日を示す。
その。数字を見詰め落下星人の少女『ナツ』は、呟く。
「…折角の美味しい晩ご飯が、喧嘩すると…美味しく無くなるの…何時も…悲しい味がする…」
「ワンUo・ェ・oU」
飼い主の少女『ナツ』の白い頬を伝う涙を…飼い犬の『ピーちゃん』が、ペロリと赤い小さな舌で舐めて言う。
「ワンUo・ェ・oU」
「うん『ピーちゃん』と一緒に食べた方が美味しいから」
「キャンU^ェ^U」
「ー『ピーちゃん』が、いてくれて良かったー」
オレンジ色に染まる空の下で「ーありがとー」……と。
飼い主の少女『ナツ』は、飼い犬の『ピーちゃん』に、
……そう。静かに囁いた。
たそがれ㉝〜苦手な食べ物は何?☆ミ〜
落下するまで140日☆ミ




