たそがれ〜㉛平和って何?美味しいの?☆ミ〜
いつかのどこかの遠い遠い星☆ミ
落下して消滅してしまう星☆ミ
そんな終わりに向かう星で☆ミ
落下星人の少女『ナツ』と
落下星犬の『ピーちゃん』は、
昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手で、
今日も一人と一匹で散歩する。
「ワンUo・ェ・oU」
「なぁに?ピーちゃん」
「ワンUo・ェ・oU」
「ん?平和?」
「ワンUo・ェ・oU」
「…ああ。平和でも争う気がするって話しね…」
「ワンUo・ェ・oU」
何時もの昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手のオレンジ色に染まる河原を歩きながら落下星犬の『ピーちゃん』は、飼い主の落下星人の少女『ナツ』に訊ねる。
「…そうだねぇ…平和だと。美味しいものが沢山。食べられるから。平和って、美味しいかも知れないねぇ……」
「キャンU^ェ^U」
「…そうだねぇ…例えばーー」
何時もの夕暮れの黄昏時しか存在しない土手のオレンジ色の空を見上げ飼い主の少女『ナツ』は、落下星人の証のピーナツと呼ばれる触角をセンターパートの前髪からピョコンと揺らして囁いて、セーラー服のプリーツスカートのポケットから徐に落下星犬の『ピーちゃん』の好きなジャーキーを取り出す。
「キャンU^ェ^U♪」
落下星犬の『ピーちゃん』は、大好きなジャーキーの登場に広い額からピョコンと生えている落下星犬の証であるピーナツと呼ばれる触角と小さな茶色い尻尾をブンブン可愛く揺らして飼い主の少女『ナツ』にピョンピョンと飛びつく♪♪
「ふふふっ♪ダメだよ!ピーちゃん!待って!」
ピョンピョンと飛びついてくる飼い犬の『ピーちゃん』に飼い主の少女『ナツ』は、色白な手を『ピーちゃん』の広い額の前に掲げて「待って!」と指示を出す。すると。『ピーちゃん』は『ナツ』の前に良い仔で《おすわり》をして、じっと飼い主の少女『ナツ』の《いいよ》を待つ。
「…5…6…7…8…9…10」10秒カウントした後に、飼い主の少女『ナツ』は、ジャーキーを飼い犬の『ピーちゃん』の目の前に差し出して「いいよ」と指示を出す。
「キャンU^ェ^U♪」
一声吠えて『ピーちゃん』は、『ナツ』の色白な手からジャーキーを「うまうまU^ェ^U♪」と食べる♫
「よしよし♡」飼い主の少女『ナツ』はジャーキーを美味しそうに食べる飼い犬の『ピーちゃん』のピーナツ色の短い毛並み撫でて優しく訊く「ピーちゃん♡今どんな気持ち?」
「キャンU^ェ^U♡」
『ピーちゃん』はジャーキーをペロリと平らげて吠えた♡
「そう♡平和は幸せな味がするのよ♡」
飼い主の少女『ナツ』は、飼い犬の『ピーちゃん』に優しくそう囁いた。
幸せそうな『ナツ』と『ピーちゃん』をオレンジ色の空が見下ろしていた。《142》オレンジ色の空に浮かぶ奇妙な数字の羅列は、この落下してゆく星の落下する期日を示している。
たそがれ㉛〜平和って何?美味しいの?☆ミ〜
落下するまで142日☆ミ




