たそがれ②〜賞味期限が切れたら☆ミ〜
いつかどこかの遠い星☆ミ
落下して消滅してしまう星☆ミ
そんな終わりに向かう星で☆ミ
落下星人の少女『ナツ』と
落下星犬の『ピーちゃん』は、
昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手で、
今日も一人と一匹で散歩する。
「ねぇ。ピーちゃん。知ってる?」
「Uo・ェ・oU?」
「…賞味期限が切れたら…腐るんだって」
「ワウUo・ェ・oU?」
「…そう…腐敗するの」
何時もの昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手のオレンジ色に染まる河原に座り落下星人の少女『ナツ』は言う。
その額には落下星人の証のピーナツと呼ばれる触角がセンターパートの前髪からピョコンと生えている。
「Uo・ェ・oU?」
不思議そうに飼い主の少女を見あげる落下星犬の『ピーちゃん』にも同じ様に広い額から落下星犬の証であるピーナツと呼ばれる触角が生えてて小首を傾げた拍子に揺れている。
「…この星の賞味期限の話だよ…」
落下星人の少女『ナツ』は何時も夕暮れに染まっている空を指さして言う。
落下星犬の『ピーちゃん』は飼い主の少女が指さす何時も夕暮れに染まっている空を見あげる。
見上げた先に浮かぶオレンジ色の雲と奇妙な数字の羅列。
「…わかる?数字が一つ減ってるんだ。昨日は172だったけど。今日は171になってる…一日減ってるんだ」
落下星人の少女『ナツ』はセンターパートの前髪からピョコンと生える落下星人の証のピーナツと呼ばれる触角を熱くも寒くもない生温い微風に揺らしながら言う。
「…落下星消滅論には…二つの派閥があってね。片方は賞味期限が切れたらそのまま星も消滅すると言う。消滅派。もう片方は賞味期限が切れたら星が腐敗して朽ち落ちると言う。腐敗派。ピーちゃん。はどっちだと思う?」
「Uo・ェ・oU?」
疑問符を広い額から落下星犬の証であるピーナツと呼ばれる触角に浮かべ落下星犬の『ピーちゃん』は小首を傾げる。
「ふふ質問を変えるね。ピーちゃんはどっちが良い?」
「ワウUo・ェ・oU?」
不思議そうに飼い主の少女を落下星犬の『ピーちゃん』が小首を傾げた儘につぶらなお目々で見つめている。
「ふふ…こんなこと聞かれても困るよね…ごめんよ」
飼い主の少女は落下星人の少女『ナツ』は黄昏時の夕空を見て独り言の様に呟いた……。
「…私は、腐敗して朽ち落ちたい…何もなく消滅するのは、ちょっと哀しい…腐葉土みたいな感じが良いな…終わりの始まりの終わりの始まり…みたいな?ただ消滅するよりは、誰かの栄養になれたらなぁ…」
熱くも寒くもない生温い微風が落下星人の少女『ナツ』の小さな呟きを静かな黄昏時にさらっていった。
たそがれ②〜賞味期限が切れたら☆ミ〜
落下するまで171日☆ミ