たそがれ⑱〜ラストセーラー服なんだよ☆ミ〜
いつかのどこかの遠い遠い星☆ミ
落下して消滅してしまう星☆ミ
そんな終わりに向かう星で☆ミ
落下星人の少女『ナツ』と
落下星犬の『ピーちゃん』は、
昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手で、
今日も一人と一匹で散歩する。
「ワンUo・ェ・oU」
「なぁに?ピーちゃん」
何時もの昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手のオレンジ色に染まる河原を歩きながら落下星犬の『ピーちゃん』は、飼い主の落下星人の少女『ナツ』に訊ねる。
「ワンUo・ェ・oU」
「うん♪セーラー服が好きだからね♡」
飼い主の少女『ナツ』は、何時も夕暮れの黄昏時しか存在しない土手のオレンジ色に煌めく芝生にセーラ服のプリーツスカートを器用に捌いて座る。そしてポツリと呟いた。
「…それに…この制服は、ラストセーラ服なんだよ……」
「ワンUo・ェ・oU」
「…うん…」
セーラ服のプリーツスカートを抱き締めて飼い主の少女『ナツ』は独り言の様に小さく言う。
「…私…学校卒業出来ないんだぁ……」
落下星人の少女『ナツ』のセンターパートの前髪からピョコンと生えている落下星人の証のピーナツと呼ばれる触角が、熱くも寒くもない生温い微風に揺れている。
『ナツ』がオレンジ色の空を見上げる。落下星犬の『ピーちゃん』も広い額からピョコンと生えている落下星犬の証であるピーナツと呼ばれる触角を揺らして飼い主の少女『ナツ』が見上げるオレンジ色の空を見上げる。
《155》オレンジ色の空に浮かぶ奇妙な数字の羅列は、この落下してゆく星の落下する期日を示している……。
「…正直に言うとね学校には、ずっと居場所が無くて何の思い出もないはずなんだけど…全部無くなるって思うとね」
熱くも寒くもない生温い微風に『ナツ』のセーラー服の胸元の夕焼けの様な赤いスカーフが靡いている。
「…不思議と…寂しいものなのね」
『ナツ』の小さく静かな声が熱くも寒くもない生温い微風に乗ってオレンジ色の空に消えてゆく……。
「ペロU´꓃`U」
飼い犬の『ピーちゃん』は飼い主の少女『ナツ』の柔らかな頬をいたわるようにペロペロと小さな舌で舐めて言った。
「ペロU´꓃`U」
「…そっか…セーラー服が好きだからか」
頬をペロペロと舐める飼い犬の『ピーちゃん』の広い額に飼い主の少女『ナツ』は優しくキスをして囁いた。
「…だから…こんなに…寂しいのね…」
オレンジ色に染まる河原で黄昏れる『ナツ』と『ピーちゃん』をオレンジ色の黄昏た空が見下ろしていた。
たそがれ⑱〜ラストセーラー服なんだよ☆ミ〜
落下するまで155日☆ミ




