たそがれ⑯〜豆なんだって☆ミ〜
いつかのどこかの遠い遠い星☆ミ
落下して消滅してしまう星☆ミ
そんな終わりに向かう星で☆ミ
落下星人の少女『ナツ』と
落下星犬の『ピーちゃん』は、
昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手で、
今日も一人と一匹で散歩する。
「ワンUo・ェ・oU」
「なぁに?ピーちゃん」
何時もの昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手のオレンジ色に染まる河原を歩きながら落下星犬の『ピーちゃん』は、飼い主の落下星人の少女『ナツ』に訊ねる。
「ワンUo・ェ・oU」
「ん?このピーナツのこと?」
「ワンUo・ェ・oU」
落下星犬の『ピーちゃん』が、広い額からピョコンと生えている落下星犬の証であるピーナツと呼ばれる触角を揺らして隣を歩く飼い主の少女『ナツ』を見上げて訊く。
「ワンUo・ェ・oU」
「ーふふっー違うよ…私達のは触覚…だけどね」
飼い主の落下星人の少女『ナツ』は、落下星人の証であるピーナツと呼ばれる自分の触覚を触って言う。
「ー昔ー落花生って言う。《豆》があったんだって…それに…形が似てるから。ピーナツって、この触覚のことを呼ぶようになったんだって」
「ワンUo・ェ・oU」
「…そう…《豆》」
「ワンUo・ェ・oU」
「さぁ?…どうだろう…食べたこと無いからわからない」
飼い主の少女『ナツ』を見上げて飼い犬の『ピーちゃん』が、無邪気に言う。
「ワンU^ェ^U」
「ーふふっーそうだね…いつか…ね」
飼い主の少女『ナツ』は、そっと飼い犬の『ピーちゃん』を抱き上げて広い額を優しく撫でて囁いた。
……この約束は、きっと今世では叶わない。
……叶うとしたら其れは来世があったら。
……きっと、ね。
約束を交わす『ナツ』と『ピーちゃん』をオレンジ色の空が見下ろしていた。
《157》オレンジ色の空に浮かぶ奇妙な数字の羅列は、この落下してゆく星の落下する期日を示している……。
たそがれ⑯〜豆なんだって☆ミ〜
落下するまで157日☆ミ