たそがれ⑮〜種があるんだって☆ミ〜
いつかのどこかの遠い遠い星☆ミ
落下して消滅してしまう星☆ミ
そんな終わりに向かう星で☆ミ
落下星人の少女『ナツ』と
落下星犬の『ピーちゃん』は、
昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手で、
今日も一人と一匹で散歩する。
「ワンUo・ェ・oU」
「なぁに?ピーちゃん」
何時もの昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手のオレンジ色に染まる河原を歩きながら落下星犬の『ピーちゃん』は、飼い主の落下星人の少女『ナツ』に訊ねる。
「ワンUo・ェ・oU」
「…そうだね…果物には《種》があるんだって」
「ワンUo・ェ・oU」
「ーそうー柿には、柿の《種》…があるの…」
「ワンUo・ェ・oU」
「ーそうー柿の《種》」
何時もの昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手のオレンジ色に染まる河原に飼い主の少女『ナツ』は座り。チョコンと隣にお座りした飼い犬の『ピーちゃん』の落下星犬の証であるピーナツと呼ばれる触角が生える広い額を優しく撫でて言う。
「…柿の《種》を土の中に埋めたら…柿の木になって、柿の実が実るんだって」
「ワンUo・ェ・oU」
「…そう…木になるんだって、凄いよね」
落下星人の少女『ナツ』のセンターパートの前髪からピョコンと生えている落下星人の証のピーナツと呼ばれる触角が、熱くも寒くもない生温い微風に揺れている。
「…前に…アラレ星人の話をしたでしょ?」
「ワンUo・ェ・oU」
「…そう…巨神に食べられたアラレ星人」
「ワンUo・ェ・oU」
「…そう…落下星人の良き友人だったアラレ星人」
…その昔…巨神により根こそぎ…向こうの世界に連れて行かれた…アラレ星人。
向こうの世界へ続くオレンジ色の空を見上げれば《158》と奇妙な数字の羅列が浮かぶ。この数字は、この落下してゆく星の落下する期日を示している……。
「アラレ星人の触覚は、柿の《種》に似てたんだって」
「ワウU^ェ^U」
「ーふふっー食べちゃだめだよ」
オレンジ色の黄昏に『ナツ』と『ピーちゃん』一人と一匹は、今日も仲良く其処に居る。
たそがれ⑮〜種があるんだって☆ミ〜
落下するまで158日☆ミ




