たそがれ⑬〜涼しいも知ってる☆ミ〜
いつかのどこかの遠い遠い星☆ミ
落下して消滅してしまう星☆ミ
そんな終わりに向かう星で☆ミ
落下星人の少女『ナツ』と
落下星犬の『ピーちゃん』は、
昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手で、
今日も一人と一匹で散歩する。
「ワンUo・ェ・oU」
「なぁに?ピーちゃん」
何時もの昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手のオレンジ色に染まる河原を歩きながら落下星犬の『ピーちゃん』は、飼い主の落下星人の少女『ナツ』に訊ねる。
「ワンUo・ェ・oU」
「ん?ピーちゃん季節の話好きだね」
「ワンUo・ェ・oU」
「ピーちゃんは知的好奇心が旺盛なんだね」
「ワンUo・ェ・oU」
「ふふふ。賢いワンちゃんって事だよ」
「キャンU^ェ^U」
落下星犬の『ピーちゃん』が、広い額からピョコンと生えている落下星犬の証であるピーナツと呼ばれる触角を揺らして隣を歩く飼い主の少女『ナツ』を見上げて訊く。
「ワウUo・ェ・oU」
飼い主の少女『ナツ』は、何時も夕暮れの黄昏時しか存在しない土手のオレンジ色に煌めく芝生に座る。
何時もオレンジ色の空を生温い風が吹いて、飼い主の少女『ナツ』と飼い犬の『ピーちゃん』の額から生えるピーナツと呼ばれる触角を静かに揺らしている。
「…もう一つ…《秋》が、あるよ」
「Uo・ェ・oU?」
飼い主の少女『ナツ』の隣にチョコンとお座りして、飼い犬の『ピーちゃん』が、興味津々に訊き返す。
「ーそう《秋》ー」
「Uo・ェ・oU?」
興味津々の飼い犬の落下星犬の『ピーちゃん』に飼い主の落下星人の少女『ナツ』は、優しく微笑んで、徐に。その落下星犬の『ピーちゃん』の可愛いく広い額からピョコンと生えている落下星犬の証であるピーナツと呼ばれる触角に。
「ーーフゥ〜〜!」と、勢い良く息を吹きかける。
「キャンU^ェ^U!」
燥ぐ『ピーちゃん』に『ナツ』は言う。
「そう!それ!《秋》は、涼しいんだって!」
「キャンU^ェ^U!」
『ピーちゃん』が『ナツ』に!燥いで言う。
「キャンU^ェ^U!」
「ーーフゥ〜〜!」
『ナツ』は『ピーちゃん』勢い良く息を吹きかける。
その一瞬の間だけ…生暖かい風が…涼しいに変わる。
燥ぐ『ナツ』と『ピーちゃん』をオレンジ色の空が見下ろしていた。
いつかのどこかの遠い遠い星☆ミ
落下して消滅してしまう星☆ミ
そんな終わりに向かう星☆ミ
太陽は昇るのも沈むのも辞めた星☆ミ
何時も夕暮れオレンジ色の黄昏時の星☆ミ
軈て季節も巡るのを辞めた星☆ミ
暑いも寒いも無い生温かい風が吹く星☆ミ
ーー…涼しい…も、知っている星☆ミ
『ピーちゃん』と『ナツ』一匹と一人が居る星☆ミ
《160》オレンジ色の空に浮かぶ奇妙な数字の羅列は、この落下してゆく星の落下する期日を示している……。
たそがれ⑬〜涼しいも知ってる☆ミ〜
落下するまで160日☆ミ




