たそがれ⑪〜他にもあるの?☆ミ〜
いつかのどこかの遠い遠い星☆ミ
落下して消滅してしまう星☆ミ
そんな終わりに向かう星で☆ミ
落下星人の少女『ナツ』と
落下星犬の『ピーちゃん』は、
昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手で、
今日も一人と一匹で散歩する。
「ワンUo・ェ・oU」
「なぁに?ピーちゃん」
何時もの昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手のオレンジ色に染まる河原を歩きながら落下星犬の『ピーちゃん』は、飼い主の落下星人の少女『ナツ』に訊ねる。
「ワンUo・ェ・oU」
「ん?他にも?」
「ワンUo・ェ・oU」
落下星犬の『ピーちゃん』が、広い額からピョコンと生えている落下星犬の証であるピーナツと呼ばれる触角を揺らして隣を歩く飼い主の少女『ナツ』を見上げている。
「…そうだね…」飼い主の少女『ナツ』は、落下星人の証のピーナツと呼ばれる触角をセンターパートの前髪からピョコンと揺らして言う。
「…『冬』って言う季節が、あったんだって…」
「ワウUo・ェ・oU」
「…そう『冬』…寒いんだって」
「ワウUo・ェ・oU」
飼い主の少女『ナツ』は、徐に何時も夕暮れの黄昏時な土手をくだり。オレンジ色に照らされたキラキラした川の水を小さな手で掬って飼い犬の『ピーちゃん』に「えいっ!!」って水を掛ける。
「キャンU≧エ≦U」
「ふふ!そうそれ『冬』は寒くて冷たいんだって!」
「キャンU≧エ≦U」
「そう!!『冬』は寒くて冷たい!!」
飼い主の少女『ナツ』が、オレンジ色に煌めく冷たい川の水を小さな両手で掬って飼い犬の『ピーちゃん』に、もう一度掛ける。
「ブルブルU^ェ^U!!」飼い犬の『ピーちゃん』が、ブルブルと小さな躰を震わせてオレンジ色にキラキラ煌めく川の冷たい水を飼い主の少女『ナツ』に飛ばす。
「キャー!!ピーちゃん!!やめてよ!!」
キャハ!!キャハ!!とオレンジ色にキラメク川の水で戯れる飼い主の少女『ナツ』と飼い犬の『ピーちゃん』をオレンジ色の空が見下ろしている。
いつかのどこかの遠い遠い星☆ミ
落下して消滅してしまう星☆ミ
そんな終わりに向かう星☆ミ
太陽は昇るのも沈むのも辞めた星☆ミ
何時も夕暮れオレンジ色の黄昏時の星☆ミ
軈て季節も巡るのを辞めた星☆ミ
暑いも寒いも無い生温かい風が吹く星☆ミ
ーー冷たい川は、まだ在る星☆ミ
『ピーちゃん』と『ナツ』一匹と一人が居る星☆ミ
《162》オレンジ色の空に浮かぶ奇妙な数字の羅列は、この落下してゆく星の落下する期日を示している……。
たそがれ⑪〜他にもあるの?☆ミ〜
落下するまで162日☆ミ




