たそがれ⑩〜ボクの名前は?☆ミ〜
いつかのどこかの遠い遠い星☆ミ
落下して消滅してしまう星☆ミ
そんな終わりに向かう星で☆ミ
落下星人の少女『ナツ』と
落下星犬の『ピーちゃん』は、
昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手で、
今日も一人と一匹で散歩する。
「ワンUo・ェ・oU」
「なぁに?ピーちゃん」
何時もの昇ることも沈むことも辞めた太陽が照らす。
夕暮れの黄昏時しか存在しない土手のオレンジ色に染まる河原を歩きながら落下星犬の『ピーちゃん』は、飼い主の落下星人の少女『ナツ』に訊ねる。
「ワンUo・ェ・oU」
「ん?ピーちゃんの名前?」
「ワンUo・ェ・oU」
落下星犬の『ピーちゃん』が、広い額からピョコンと生えている落下星犬の証であるピーナツと呼ばれる触角を揺らして隣を歩く飼い主の少女『ナツ』を見上げて訊く。
「ワンUo・ェ・oU」
小首を傾げる飼い犬の『ピーちゃん』に飼い主の少女『ナツ』はクスリと笑って答える。
「ピーちゃんの名前は、季節じゃないよ」
「クゥンUo・ェ・oU」
残念そうな飼い犬の『ピーちゃん』に飼い主の少女『ナツ』は落下星人の証のピーナツと呼ばれる触角をセンターパートの前髪からピョコンと揺らして言う。
「ピーちゃんの名前はねぇ。私が付けたの」
「ワウUo・ェ・oU」
「私が『ナツ』だから『ピーちゃん』って付けたの」
落下星人の少女『ナツ』はピーナツと呼ばれる触角を生温い風に揺らし落下星犬の『ピーちゃん』に訊く。
「ー二人合わせたらー何になる?」
「ワンU^ェ^U」
いつかのどこかの遠い遠い星☆ミ
落下して消滅してしまう星☆ミ
そんな終わりに向かう星☆ミ
太陽は昇るのも沈むのも辞めた星☆ミ
何時も夕暮れオレンジ色の黄昏時の星☆ミ
軈て季節も巡るのを辞めた星☆ミ
暑いも寒いも無い生温かい風が吹く星☆ミ
『ピーちゃん』と『ナツ』一匹と一人が居る星☆ミ
《163》オレンジ色の空に浮かぶ奇妙な数字の羅列は、この落下してゆく星の落下する期日を示している……。
たそがれ⑩〜ボクの名前は?☆ミ〜
落下するまで163日☆ミ




