3.ライバル現る?そして来る刺客
前回のあらすじ
酒井達を出迎えたのは暗殺協会の人間を名乗る
堕白菅と縄頑崎 乗せられた酒井達は化異人化の恐れがあるターゲット処理を手伝うことに
しかし任務は難航し軋轢を産むも烈血の喝により状況は好転、一件落着したかと思えばなんと2人が仲間に? 一方その頃、なにかが確実に動き出そうとしていたのであった
「秘技:めった斬りィィィ!」
「う、ぐああぁぁぁ」両断された力剣士達がなぎ飛ばされる
「状態は…くっそ、2名死亡かよ!」
「う、うそでしょお?まさか組合に向かう道中でこんなバケモンに出会うなんて…」
「両刃型 化異人…」それは両腕が大きな剣のようになっていた
「どうだぁ?私の技は!力剣士としての才能を余すことなく活かせるこの体があれば!お前らなんか敵にならんぞ!」ズババズバズバズバァッ
「キェイ…こいつっところ構わず振り回しているだけというのに、刀身がデカすぎて迂闊に飛び込めねっ!」
「とうりゃああ!」両刃化異人の攻撃が烈血に迫る
ドカッ
「キェ…イ?イァァァァッと危ねぇ!」空中にいた烈血は縄頑に蹴り飛ばされ地面に叩きつけられそうになった
「帯刀 展開 」縄頑が化異人の攻撃を上手くいなす
「縄頑、お前は戦うんじゃない!ここはもう組合から目と鼻の先だ、他の力剣士も多く来るあまり迂闊な事は。」
シュラリン
「問題 無い 本国 ライセンス ある 」縄頑が化異人の足を切りつけた
「うっおああああああ!」
「かっ化異人が倒れるぞ!畳かけろ」
「うおおあああ!」身構えていた力剣士達が一斉に攻勢に出だす
「おお、壮観だな…組合から目と鼻の先だけあって援軍の到着も早いわけだしな」
「キェイ、援軍?雑魚の寄せ集めの間違いだろが。」
「ぎっ」突如化異人が腕を組む態勢を取り
「はうぁぁぁぁあ!」飛び上がった
「なっえっ?」
「まさか、腕を振り上げる勢いで…」
ドブァーーーン
飛び上がった化異人は群がっていた力剣士達をその巨体で潰した
「ぐっぐぐぐぅ…」化異人が縄頑を睨みつける
「28…29…30!」ゴゴゴゴゴ
「ガァァァァァツ!」化異人が立ち上がった
「くそ、人族由来だからか遅いがやはり再生するか。崎!気をつけ…」言うのが遅かった
堕白が言い切るより先に両刃化異人は飛び上がり崎に矛先を向けていた
「秘技:めった…」
ドガガガァァァァン
「い、今のは…」爆音の後に砂煙が立ち込める中2つの影が浮かぶ
「はぁはぁ…」
「…」酒井が縄頑を抱えていた
「酒井!」 月壊が2人の元へ駆け寄る
「あぅあ…大丈夫だまだ動ける」息を切らしながら言葉を発する酒井
「ありがとう 酒井 完全 油断 してた」
「はぁ〜よかったわぁ」2人の声を聞いてか堕白が落ち着いて腰を下ろす
「キェイ、全く疲れたぜぇ」近くにいた烈血も胸をなでおろした時だった
「そうか、酒井それで…」
「!?」 なにかを察した、とてつもない厄災を今、この場での最大の禁忌を…
「はぁはぁ、はぁはぁ」烈血は走った、その行為を…止めさせるために!
「酒井それで…」
「月壊!やめろぉぉぉぉぉ!」
「敵は"やったか?"」
ギオンッ
3人を見つめる眼光が、影とともに砂煙の中に映る
シュウオウオウオウオウオウオウオウオ
ドキカァン
3人目掛けて攻撃が下された
「やっちまった、止められなかった!3人は…」
ドシュウウウンッ
土煙から3人が飛び出した
「ったくあっぶねぇまだやれてなかったのか…」
「月壊 危うく 戦犯」
「あ?俺のせいかってのかよ!」
「キェイ!お前ら無事だったのか!」
「ひっ、生きた心地がしなかったわよ」
2人も集まり化異人の方を見る
「グルルルルルルルルゥ」
「なんか、顔変わってねえか?」化異人の目の下から牙のようなものが生えていた
「だが、俺の攻撃で受けた傷が残っている。流石にこれなら…」
「グルルルルァァァ!」化異人が消し飛ばされた腕を再生させた
「キェイ、一瞬だと!?」
「グルルルルゥ、人間憎い人間!もはや力剣士の才能などどうでもいい!」
「なんだ?」化異人が両腕をピタリと合わせて見せた
「グルルルルァァァ!だから私は化異人として技を奮う!秘技:めっためった斬りィィィィ!」
「来るぞ!全員避けろっ」ズバババズバズバスババババァッ
「くっバケモノ液に支配されたか、もはややつは化異物も同然…」酒井が息を吸い込む
「お前ら!界時の時を思い出せ!あれに比べたら力剣士化異人なんて大したことない!5人で連携して倒すぞ!」
「了解だ!」
「キェイ!」
「わかった!」
「了解 !」
皆が同調する タイミングを見極め、ここぞというところで一斉に繰り出す!
「連続18斬!」
「グルアオァァァァァ」シャキシャキシャキシャキシャキシャリシャキィーン
ふたつに合わせられた両刃は最初より硬く、烈血は両断できなかった…
「ッテオイオイオイオイオイィ!烈血これじゃ切れねえって…」「私が力貸す」縄頑が月壊の剣に帯刀を沿わす
「お、おい…いいのかおまっ」
「づべこベ うるさい 黙れ 」
「ぐっショック〜」
そのまま2人は両刃を細切れにした
「再生封じ!酒井ッ!」
「わかっている、堕白!位置は?」
「大丈夫だぁ!軌道は完璧だぁ!」
「グルオアァァァァァ!」化異人が境に唸り声をあげる
「まずいっあいつまだ攻撃をしようと…!」
「グルゥ…めっためったァ」「遅い!」
ズジャァン ドゴッグァァァァァン
「もろば斬り!」
核ごと身体の大部分を消し飛ばされた化異人はその後一瞬にして消滅した
「勝っ…たぁぁ」
「キェェェェェイ」
「大勝利 V」
「いやぁもうこりごりすぎっ」
こうして俺達はチームとしての初の戦いを終え、新しい道へと歩んでいくのだったわけがないだろうが…
「ん?」
「月壊!烈血!運んでくれっ」
「あぁ、そうだな」
「キェイ、オレいらんだろ」渋々2人がかりで持ち上げようとするも
「ん?なんだこれ」
「キェおっも。」到底持ち上がる様子がなく
「ちょちょっと2人とも手伝ってくれ!」
「えぇ〜」
「やむを得ない がしかし 遺憾」
「よいしょっ!!!!」 4人で手足を持ち何とか持ち上がった
「ったく、どうしたんだよ酒井!いつもは俺1人で担げるってのに…おかしいぞ」心配そうに見つめる月壊だったが…
「いやぁちょっと、調子に乗って2連撃しちゃって…これ結構やばいかもしれん」
「はぁぁぁぁぁ!?」
〜FS・対化異物組合〜
「よっこらせっ!!!!」
「ふぅーやっとついたぁ」
「キェイったく大した距離でもねえのになんでこんな時間が…」
「それにしても なにやら 騒がしい」
「お、おいちょっとあれ見ろよ」月壊が指を指した方を見ると赤い服の金髪の女性達が並んでいた
「あれは…斜陽日か!?」
(FSを管轄とする、強豪力剣士チームじゃないか)
「ん、おおいあれ!鵲の…音だ!」
「キェイ、なんだそれ」
「おい!知らないのか!?力剣士チームランキングで1、2を争うほどの実力者だぞ!」
「者て、チームなんだろ?しかもお日様の何とやらは9人で傘の音は20人だ?多すぎねえか?」
「何言ってんだ、烈血!対化異人は質より量が常識だぞ?さっきの戦いもそうだったろ?複数人で攻撃して敵のミスや隙を狙うのが効果的な戦法なんだ、そこに連携ができるとくれば最強と呼ばれてもおかしくないんだ!」
「キェイ…だが最強は1人なんだろ?」
「そ、それはそうだが…」しばらく入口付近で酒井を置いてたむろしていた皆だったが
「あっ誰か近づいてくるぞ…」酒井がそう言い皆が同じ方向を向いた
「おやおやおや、英雄様ご一行じゃないですか…両刃化異人討伐おめでとう」白白しい笑顔で近づいてきた男は大声でそう言った
「キェイ、なんだてめ…」つっかかろうとした烈血を止める
「なんだ、八属聖の寸先か…何故その事を知っている?」(こいつと話すのは癪だがひとまず理由を聞かないとな)
「フッ、それは見ていたからですよあなたがたの戦いを」
「なんだと!お前死にゆく俺達に加勢もせずただ遠くから眺めていたと言っているのか!」月壊が熱くなってしまった
「まあそんなところですかね」
「…っおま!」
「ただし!お前、ではなくここにいる全員がですがね。」すると巨大なスクリーンが現れ先の両刃化異人と戦う俺達が映し出された
「こ、これは…」
「ふ、我々は急遽両刃化異人討伐の目的で招集された強豪チーム、あなたがたがやられるようなことがあれば我々が出るという寸法でしたが…無事に勝ってなによりだ」
「ふざけるなよ!なにが無事だ他の力剣士達は…」
「おいおいお前、あんまりでかい口を叩くんじゃないぞ?私を卑下するということはここにいる全員を卑下するということになるんだからな!」ヒートアップした月壊だったが寸先の一言で収められてしまう
「ぐっ…」
「ふ、いいか?これは最低限の損害で勝つための策なのだ、下っ端力剣士達はそれを理解しようともせず飛び出したために死んだのだ、彼らの死因は彼らにある。そこんとこ理解するんだな」
「それはそうと…酒井、なんだそいつらは?」
俯いたままでいる月壊に興味をなくしてか…堕白と縄頑に目線を向ける寸先
嫌な顔をする2人、寸先が口を開く
「まさかとは思うが、数を増やしてこの八属聖に近づこうとしているんじゃないだろうな?だとしたら浅はかすぎるぞそんなことをしてもお前らは所詮ぽっと出の…」
「キェイ?何言ってんだてめ、理解が足りないのはお前の方じゃっ…」酒井が服の裾を掴む
「いい烈血、言わせておけ」
「ふ、まあいいだろうそれよりも…」寸先が再び2人に目をつけるが…視線の先は堕白のようだった
「闇属性の魔族ねぇ」ザワザワ 会話を聞いていた一部のもの達が顔を合わせてコソコソと話し出す
(きっ…)
「なんだ寸先、分からねえって言うんじゃないだろうな?」酒井は悪意の籠った笑顔で寸先に問いかけた、寸先もにやけ面で返す
「ふ、当たり前だ我々は現場の人間だからな!魔族の力にすがりたくなることも当然理解出来るがまぁ…やはり貴様らは浅はかだとしか言いようがないような…」
ズジャァン ズジャァン
「ガハッ」「ぐはぁっ」話に夢中だった寸先の後ろで人が2人、最後の声を上げた
「はぁ…?」寸先が振り返る
倒れているのは八属聖のメンバー
「ひ、火雷…魚流…」パァァァ
死体が消滅する
「うっ、うわぁぁぁぁぁ」
「核を一撃だと!?な、なんの攻撃だ!」
「あっあそこ、あそこに何かいるわ!」
1人の力剣士が指さす方向にその場にいる全員の視線が集中した
「なんだあれは…」
砲台のようなものを体に添えた化異物が天井に張り付いていた
「な、なんだあれはどこから侵入を…はっ!?組合内全ての力剣士に継ぐ、」アナウンスによって力剣士達が戦闘態勢に入る
「うおああああああああ!」力剣士達が突っ込んでいく、1番近い距離にいたもの達が技を放つ シュンッ スキャーン ジャバァッ
バササッ バサバサッ
天井から化異物に向かって垂れる鎖のようなものが離れたかと思うと瞬時に別の場所に移動する
「あれが足なのか?」
「くっ、飛技ではダメだ直接攻撃で仕留めなければ!」
ズジャジャジャジャアン
「!?」化異物の体から生える砲台から光る玉が飛び出す
「避けろぉぉぉ!」
「ふっ…」「がはぁ」「ぐはぁっ」「ごべぇっ」
前方で光の粉が舞い散る、初撃を加えた力剣士の殆どが今の攻撃で死んだようだ
「お、おい…これやばくないか?逃げ…」
「何言ってんだ、ここには斜陽日も鵲も!名だたる強豪チームが揃ってんだあんなやつすぐ…」
「なにぃ!死んだのか!?2人も!?」鵲の音のリーダーらしき男が顔を歪めてまで叫んでいる
「おい!起きろ!まだ大丈夫だ!助かるだろ!」
「ダメです…核の大半が抉られていて、いくらなんでもこれは…」
「いいから早く!再生能力のあるやつを連れてきなさいよ!」斜陽日のリーダーらしき女が涙を流しながら死体に訴えている
「うっ…」化異物を見ると再び砲台が光り出している
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」組合内の力剣士達が大急ぎで外に出ようと走り出した
ズジャァン ズジャァン ズジャァン
「ぎゃあっ」「ばがっ」「ぁぁぁ…」
そんな彼らに容赦なく砲撃が降り注ぐ
「くっ…寸先さん!我々も逃げましょう、早くしなければっ」
「ぐぬぬぬぬぅ!許さん許さぁん!許されざる行為だ2人の命を奪うとわぁ!」寸先が化異物に向かって飛び出していく
ズジャァン!!!
「月壊!」カァァァァ 月壊が刀で砲撃を受け止める
「くっ!スチールブランドの残りもこれで最後かよっ!」なんとか砲撃をかき消すも、見かけでわかるほど傷ついたそれを月壊は投げ捨てた
「ぐぬおぉぉぉ!」難を逃れた寸先だったがそれを知る由もなく再び飛びかかる
「ちっ、縄頑!烈血!」
「はいっ」バシッ
「どはぁっ」帯刀によって張り飛ばされる寸先
「キェェイ!オレのスピードについてこれるかぁ!」(不安はあるが、酒井がダウンしている今…オレ以外にやれるやつはいない!)
ズジャァン ズジャァン
「キェェェイ!」シュンッ シュンシュンシュンシュンシュンッ
(攻撃、じゃぁなくオレの速度を活かし縦横無尽に避ける!これで時間は稼げるはずっ)
シュンッシュシュシュシュシュンシュンッ
ズジャァン ズジャァン ズジャァン ズジャァン
「お、おいあいつ…1人で敵を引き付けているぞ」
「い、今ならやれるんじゃないか?」恐る恐る近づく力剣士達
「おりゃぁ!!」ジュンッ バォンッ
ガスッ ジャッ
「!!」放った攻撃は化異物に当たり、砲台をこちらに向ける化異物
シャキィンッ
「があっ」烈血が化異物に攻撃を加える
「キェイ!よそ見してんじゃねーよ相手はオレだぁ!」(やっと気づいたか、これであとは!)
ズジャァン ズジャァン ズジャァン!
ジャスッ ジャスッ
「ぐげぇぇ!」
「ぐぁぁ、ぐぁ?化異物がダメージを受けている!?」
「リーダー見てください!彼らが戦ってくれています、泣いている場合ですか!我々も参戦しましょう」
「はぇぇ…!?」
「お前達!悲しむのは後にするぞ!化異物に攻撃を加えろぉ!」
ビャンビャンッ ボワァン ゴゴゴワァ
斜陽日、鵲の音、その場に残っていた強豪チーム、力剣士達が砲台化異物にダメージを与え出す
「ぐごがぁぁぁ!」砲台が激しい光を出し始める
「キェェェイ!」烈血が高速で化異物の懐に飛び込む
「連続ゥ!18連撃」烈血の攻撃でさらにボロボロになった化異物の体、そこへ
「酒井!」酒井の両足を抱えた月壊と縄頑が飛び上がる
「もろば斬りぃっ!」ガシャァァン
眼前に現れたそれに避ける間もなく3人は激突した!
「なっなんだ?」ガタガタガタガタガタガタ
力剣士達の動きが止まる、目の前には爆竹のように砲台化異物に絡まる別の化異物が…いた
「多足型だと!?」それも6足、8足なんてものじゃない身体中全てに足が生えていた
「グギギギギィ!」ガシャァァン
それがなんなのか理解するまもなく多足化異物は砲台化異物とともに去っていった
「に、逃げた?」
「ほ、本当か!?私達はかっ…」
「おい、お前らぁ!勝ったぞ!俺らの攻撃に恐れを成してついに逃げやがった!」
「うぉあああああああ!!!」
歓声が沸き起こる中、烈血が酒井達に駆け寄った
「大丈夫か?」
「あ、ああなんとか」(技を発動する前だったからか体はまだ動く…)
「しっかしさっきのはなんだ?戦闘が終わったのは幸いだが、絶対逃しちゃ行けないやつだったんじゃねえのか?」
「同感 トドメ 刺すべき」
「ちょっとちょっと、それは無理だよ」
「よかった堕白、生きていたか」
「あ〜なんとか影に徹していたからね、それより流石に今すぐ追うの…」
「ぬぁぁぁぁ許さんぞ!許さんぞぉ!」後ろから怒号が飛ぶ
「ちょ、ちょっと寸先さん落ち着いて!こんな状態で行ってもやられるだけですって…」
「知るか!お前ら悔しくないのか!あいつらをこのままのさばらせておく訳には行かん!俺だけでも行く!」ドッタッタッタッ
寸先は駆け出した
「あ〜もう…追いかける身にもなってくれよぉぉぉん?」頭を抱える力剣士に酒井達が声をかけた
「おい、お前達!寸先を追うなら同行してもいいか?」
「こ、これは英雄さん方!?助かります。では行きましょう!」
「お、ちょっと!酒井ぃ!」
「寸先を追うだけだ、仮に化異物と会ってもこの人数なら問題ないだろ?」
「う〜そういうことならまぁ…しょうがないね」
「助かる、この際だからあいつにもしっかりと伝えておかなきゃならない事があったんだ」そうして酒井達と3人になった八属聖は組合を出た
「キェイ、ところで八属聖ってのはなんで八属聖なんだ?」
「あ〜それはなぁ…」
「そのままの意味です、8つの属性で八属性…聖は華をもたせるためですかね」月壊が答えるより早く八属聖のメンバーが会話に入り答えた
「キェイ?8つの属性って6人しかいねえじゃねえか」
「ああそれは、寸先さんが火光無の3属性持ちでして先程お亡くなりになられた火雷さんが雷属性、魚流さんが氷属性、我々3人がそれぞれ風水闇の全部で8属性なんです」
「キェイそうか、にしても仲間の割に他人事みてえな言い方をするんだな?」
「まぁ、あまりよく知らないもので…」
「えっ?それは一体」月壊が食いつくと
「実は八属聖は、結成当初から度々顔ぶれが変わっているんです。」そう言いながら足を早めると
「もともと八属聖は寸先さんが5人の力剣士を集めて結成されたんですが、その頃のメンバーは誰1人残っていないんです。」
「私達も最近入ったばかりの寄せ集めで、でも寸先さんはものすごく親しく接してくれて」
「自分も!闇属性であることを褒め称えられたのは初めてのことでした」闇属性の力剣士が会話に食い入ってまで伝えてきた
「まぁ、それが影響してか今回みたいに寸先さんに振り回されることも多かったんですがね」
「ああそうだろうな、あいつは仲間思いだから…」
「酒井さん…」
「だから!だからこそいい加減言ってやらねえといけないことがあるんだ」(そうしないとあいつは…)
ズジャァン ズジャァン ズジャァン
「砲撃!?」
「まずいっもろば斬り!」ドグワァァァァン
「おいおい俺達に攻撃が来たってことは…」
「あっ寸先さぁん!」八属聖の1人が遠くで倒れている寸先を見つける
「がはっ、烈血!敵を引きつけろ!月壊!縄頑!」体力切れで地に膝をつける酒井
「キェイ!」
「任せろ!」
「了解!」
ドバァァァァァ
「なにっ!?」砲台化異物に釘付けになっている皆の背後から多足化異物が飛び出す
足が棘のように伸びる!
「くそっ!」月壊が引き返し応戦するが
「そんなっ!」月壊の左腕が棘に貫かれちぎられた
ズジャァン ズジャァン
「キェェイッ」(まずい、流石の連戦で回避が読まれつつある!)
寸先の元に駆けつけた縄頑、寸先を運ぼうとすると
「重い 運ぶ 困難 」
3者の危機を肌で感じる酒井
(まずい…いやまだだ)
「堕白!これを…」
「な、なんだ?」
「即時回復薬だ、寸先のとこまで頼めるか?」
「あ、ああ!わかった!」
(くっ皆持ちこたえてくれ)
「しまった…すぐに態勢をっ」仰け反る月壊にさらなる追撃が迫る
「風刃剣!」ファファファッ
棘の起動が逸れた、しかし威力は収まらない
「闇蜘蛛刺し!」ギョン バババッ
棘の何本かが動きを止めるも残りがまだ迫る!
「荒波斬!」シュザァッ
全ての棘が波に飲まれ威力を失い倒れる
「ギギギッ?」
「助かった、お前ら!」月壊が安堵して振り返るも
「まだです!」
「ぎぎぎぎぃ!」再び棘が来る
「うわあぁぁぁ」
ジュンッ ババララバラッ
「!?」
「ぐぎぎっ!?」
「俺の仲間に手を!出すなぁ!」寸先が刀を突き出し棘をバラバラに切り裂いた
「何っ」
「寸先さん!!!」
「はぁぁあ!」続けざまに寸先が攻撃を入れようとするが
ズジャァン ズジャァン
「はっ、この音は砲撃?」
「避けろ!」酒井が叫ぶ
ドガァン ドガァン
「なっ」
(ここに砲撃が飛んできたということは…)
「嘘だろ…烈血!」
「おーいここだぁ!走れぇぇ!」 するとどこからか烈血の声がした
「ここだぁ!」周囲を見回すと洞窟から叫んでいる烈血
(烈血…!)
「酒井ー!」月壊が駆けつけ酒井を背負う
「堕はーく!」縄頑が堕白を担ぐ
「せーのっ、行くぞ!」
「ぐぎぎぎぎぃ」棘を光らせる多足化異物
「まだ歯向かう気かぁ!」
「寸先さん、ここは引くべきですぅ!」暴れる寸先を抑えにかかる八属聖
「なんだと!貴様ら悔しくないのかぁ!仲間が、仲間が殺されたのだぞぉ!」
「気持ちはわかりますが…少しは、残った者のことも考えてください!」
「ぐぅっ…」
ドシャシャシャシャッ 化異物の棘が襲い来る
それを見て寸先も…足を動かすことを決めた
「ここだぁ!早く!早く来やがれ!」トッタッタッタッタッタッタッ
ズジャァン ズジャァン
「急げぇ!」
ズザザザザ
全員で岩を動かしなんとか穴を塞いだ
ドガァン ドガァンッ
「うわっ」
「チィ、まだ撃って来るか…」
「当然だ、あいつらあれだけでかいことをやっておきながらまだ獲物を口にしていない…流石に体力的にも俺達を逃がしたくはないだろう」
「まじかぁー、まだ襲ってくるのー」
「脱出 作戦 必要 」
「あぁその通りだ」そう言うと酒井は寸先に歩みよると
「むー」
「仏頂面して黙り込んでるとこ申し訳ないが、重要な話がある。寸先、お前のことだ」
「なんだ?」寸先は座ったまま目を見開き酒井を見つめた
「ん?急に一体なんのことだよ酒井」
「黙ってろ月壊、作戦に必要な事だ」そうすると酒井は寸先の顔を見つめる
「寸先、お前は作戦に参加するな」
「!?」
「なんだと?酒井、貴様私の怒りが!想いが!理解できないとでも言うのかね!」
「そうですよ酒井さん、何故寸先さんだけなんですか!」
「あぁそういえばそうだったな…八属聖にも、作戦には参加せずここに隠れていて欲しい」
「キェイ、急にどうしちまったんだよ酒井
?わざわざ俺達だけでやろうってことはねぇだろ…」
「くっふっふっふ、そこまでして手柄を独り占めしたいか?なぁ酒井!」
ドンッ
寸先が洞窟の壁に酒井を押し付けた
「私に、むざむざ仲間を殺された敵を前にただ隠れていろと!そう言っているのか酒井!」
「違う!」酒井の声が洞窟の中に響き渡る
「仲間をむざむざ殺したのは寸先…お前だ!」
「なんだと!?」
「仲間が死んだのはお前のせいだと言っているんだ!」
「今回、いやこれまでずっと化異人発生から今日に至るまで、対化異人には多対一が有効だと信じてやまなかったお前は八属聖として勝利を重ねた」
「だが!それは多対一が化異人に有効だったからじゃないお前が強かったからだ!強いお前はそれが自分だけの力であると理解しないまま、まだ未熟だった仲間を危険な戦場に連れ出し無駄死にさせていたんだ!」
「そんな、そんなことがあるわけが…」寸先が膝から崩れ落ちた
「なら、なんだったんだ私の今までは…仲間を想い仲間と共に歩んできた日々は」ただただ上を見上げ嘆く寸先
「今までのことは諦めろ寸先、理解できていなかったのはお前の方だったんだよ」
「っく…ならどうすればいい?私はこれからどうしていけば…」
「なんのことはない、今いる仲間を見てやれ、そして守ってやるんだ…お前は強いんだからな」
「…。」
「寸先さん…」
「はぁ〜さてお前ら、作戦に入るぞ」
俯いたままの寸先を見た酒井は振り返った」
ドガアッ
「ぎがっ?」洞窟を塞いでいた岩が崩れると共に
「キェェェイ!」烈血が
ズジャァンッ ズジャァンッ
「任せた」バシッ
一緒に現れた縄頑に弾かれる
ドガァンッ ドガァァンッ
「ぐごっ!」
「キェェェイ!」
(オレが帯刀を踏み台にしつつ縄頑からも力を入れることによって上がったスピードだ!これならまた少しは避けられる!)
「ぐごがぁぁ!」
ズジャジャジャジャァン 数多の光の玉が飛び散る
「よし、砲台が烈血に食いついた!月壊は多足を警戒!堕白は準備を!」
「言われなくとも」
「わかってるよ!」
3人で周囲を見渡す
(さて、どこから来る) ガサガサガサッ
「!!!」気づいた時には既に、多足が寸先達の隠れる洞窟に潜り込もうとしていた
「まっまずい!」
「くっくそ!闇気!」
急いで向かう2人の抵抗も虚しく数多の棘が突き出される
ジュンッババババラッ
「!?」
「なにが隠れていろだ!あのままなら串刺しにされていたぞ!」洞窟の中から飛び出した寸先が多足の棘を斬り裂いた
「寸先!?待っ…」
「いやほんと、危ないところでしたね…」
(八属聖達まで…)
「はあぁぁ!」態勢を整えた寸先が再び敵に掛かる
「ダメだ!寸先!」
「ごがぐが!ごっがががぁ!」突っ走る寸先をものともせず後ろに控える者達へと棘が向けられた
シュンッ…
バババババラバラバラバラババララッ
「舐めんじゃねえ!そういうことなら仲間を守るくらい容易いことだ!」棘の攻撃を全て正面からへし折った寸先
「ぐががががぁ!」再生しさらに飛び狂う棘!しかし…
「ぬおお!俺達のことはいい!酒井!お前はとっととそいつを片付けやがれ!」彼の目はいつにも増して穏やかではなかったが、果てしない信頼を与えようとしていた
「寸先…、堕白!用意はいいか!いいな?」
「ああっもちろんさ…邪力解放!」ゴウウウウ
堕白の体から黒い煙が沸き立つ
「普段は私の目で見て位置を口頭で伝えますが、今回は酒井の目を私と同期させ弱点を直接狙ってもらいます…その分時間はかかりますが命中率を格段に上げることが出来る!」
「ああ!バッチリ見える!」
「始まったか。」
「キェェイ!」バシッ バシッ
「ごあぐあああ」ズゥジャァン
「はっ!」
「キェ!おっ来たか月壊!」
「加勢だ、2人に攻撃が当たらないよう全力で守るぞ!」
(…もろば斬りの最低発動条件、4割の体力!技の構えと堕白の能力は完璧だ、あとは時間さえ間に合えば!)
「ごうがあああ!」ホオオオオオオオオ
「っなんだ?」砲台が急に静止した
「?」
「キェイ!何か知らねぇが今がチャンス!斬りまくるぜ!」
「いや待て、様子がおかしい!…?なにか光が!」化異物の砲台に光が集まっていっていることに気がついた
「まずい これは」
「おい!烈血!なんとかし…」
「キェ言われなくとも!なにかされる前に斬り裂いてやる!」シャキシャキシャキシャキシャキシャキシャキシャキシャキィン ガコッ
砲台化異物の体がボロボロになるも
「ダメだ!もう光が漏れるっ酒井、今すぐ離れろ!」
ホオオオオオオオ
「わっわぁぁぁぁぁ」
「堕白!大丈夫だ俺がついてる慌てるな!」
「はっはっはっはっはっはぃぃぃぃぃ」
スジャァァァァァァァアン
(俺の仕事はまだ残ってた、もろば斬りのリチャージを待つだけでなくこの…死の間際での見極めがっ!)
(酒井!)
キィンーーーーーーーーーー
「もろば斬り」ドガッ ドグァァァァァァン
ゴオオオオオオオオオウ
「がはぁっ」「くぅっ…酒井!大丈夫かい?」
「ぐっぅぅう」土煙が吹き荒れる中、月壊は倒れた酒井を担ぐ堕白を目にした
「ケホッケホッ」
「へぁ、へぁへぁ!!」
「ぎっががが!?」
「くっまだだ!まだあいつが!
「ぐががががが!」
「キェェェイ!」向かってくる多足化異物に対応すべく烈血も駆け出す
「キェイ!」 スカッ 「キェ?」
ガタガタガタガタガタァ〜
「ぐがが〜!」多足化異物は烈血を無視し一目散に反対方向へと駆け出して行った
「キェ!あいつ逃がすかっ」ガシッ
「放っておけ」
「キな、なんだ?」烈血は寸先に肩を掴まれていた
「仇は打てた、これ以上私達に恩を売る必要はない、あいつは私達が必ず見つけて仕留める」
「キそ、そうか…」
「寸先さぁ〜ん!」
数日後…
〜FS・対化異物組合〜
「よっこらせっ!!!!」
「ふぅーやっとついたぁ」
「ふぅ全く、どうしてこうも毎度毎度ギリギリなんだよ…」
「すまんな月壊、俺が面目ないせいで」
「あいや、別に酒井のことで言ったわけじゃ」
「酒井 2つの意味で お荷物 by月壊」
「お、おい!てめ縄頑何言って」
「ガクッ」
「おおおい、ちょ酒井ほら元気だせって…縄頑!」
「冗談 ジョーク」
「キェェェイ、まあいいじゃねぇか」
「よっ!英雄ご一行さんっ」
「うげっ、なんでいるんだ寸先」
「ふっなんでって、せっかくライバルの顔を見かけたんだ挨拶ぐらいしておかないとだろ?」
「キェイ、ライバル?なんだそれ」
「あー烈血構わない方がいい、こいつ仲良くなったと思い込んだやつには全員こうだから」
「キェイ、ふむ…」
「そんなことより寸先、今日は1人なんだな」
いつも肌身離さず連れ歩いていた八属聖はその姿を消していた
「ああ、仲間達は今トレーニングの真っ最中でね当分八属聖としての活動は止めることにしたんだ、彼らが本当の力を手に入れた時、真の八属聖として再開するつもりさ」そう言うと歩み寄る寸先
「それもこれも全て、酒井!君のおかげだ
これで私達は弱さを克服しより良いチームへと生まれ変われるだろう。本当にありがとうな!」感謝を込めた満面の笑みで手を差し出す寸先は気持ち悪いぐらい曇りの無い眼だった
「ははっだからって…あんまうざ絡みしてくんなよ?」
「うざ絡み?私はただライバルとしての交友を深めようと」
「それだよ」
プルルルルル プルルルルル ガチャッ
「ん?なんだ、遅かったなピーダー」
「えぇ、まぁ…」
「ん?どうした?」
「も、申し訳ございません残念ながらブラスターの回収に失敗しました」
「ほぉ」
「ほっ、本当に申し訳ないと思っておりますどんな処罰でも受けますのでどうか命だけは…」
「なに言ってるんだ?落ち着けピーダー、まぁ失敗は残念だが元はと言えばあいつの独断専行、自業自得と言っていいだろ」
「そ、それでは?」
「ああ咎めるつもりはない、それと例の計画のために一旦全員に招集をかけた、お前も直ぐに来いよ」
「はい、わかりました…怪獣王様」ガチャリッ
次回予告!
晴れて血のファントムに復帰することになった堕白と縄頑、早速渡された新しい任務のため酒井達は悪魔存の奥地へと向かった
次回 第1章 4.発見!?森に住むモノ達