世間は案外狭いってホントなんですね
いつもありがとうございます。皆様のいい暇つぶし程度の役のは立っているなら幸いです。
はい。いきなり総資金が300万を超えてしまった私です。リンちゃんです。
私を利用してやろうと企んだ人たちをギルドにぶん投げ、さっさと〈銀の猫亭〉に部屋を取るとしましょう。目的地はすぐ目の前ですからね。ちなみに外観は初心者御用達にしてはとてもきれいで、落ち着いた色合いしてますね。シャレオツです。
カランコロン…ドアベルまで付いてるんですか、ここ。
「いらっしゃいませ!お泊りですか?基本は1泊銅貨5枚、お食事付きだと1泊大銅貨2枚になります!」
受付の女の子が元気に出迎えてくれましたよ。年は10歳ほどでしょうか。茶髪のサイドテールをした快活少女ですよ!つまり同年代というわけですよ!テンション上がります!看板娘ちゃんですね!
「3日泊まりたいんですけど、食事付きで。」
「はい!新人冒険者の方ですか?それなら現時点では値段は払える範囲で大丈夫ですけど。」
「3日間食事付きで大銅貨6枚ですよね?それならとりあえず払うことは出来るので、代金はそのままでお願いします。」
「はい!かしこまりました。食事は朝と夜の2回あります。食事の時間は決まっているので、それを逃すとご飯は食べられないので気をつけてくださいね!あと、言ってくれれば身体を拭くためのお湯をお部屋に持っていくので、お気軽に声をかけてください!では、こちらが鍵になります。なくさないように管理してください。お部屋は階段を上がって2階右側の一番端の部屋になります。それではごゆっくりしていってくださいね!」
「ありがとうございます。とりあえず3日間お世話になりますね。」
代金もしっかり払い、早速部屋を見に行きます。えーと、二階の右側端の部屋でしたね。
ああ、ここですね。失礼しまーすっと。
あっ、すごいです。部屋全体がとてもきれいですよ!管理がしっかり行き届いてますわこれは。しかも、もっと狭い部屋を想像してたんですけど、机と椅子も付いてて服をしまうクローゼットまで付いてますよ。
これは確かにおすすめされるのも頷けます。
まぁ、アイテムボックスあるので、部屋に置いておく荷物なんてものはありませんが。ふむ、まだお昼を少し過ぎた程度、クエストに行くには微妙ですが、かと言って何もしないには暇すぎますね。そうだ。街を探検しましょう♪ついでに教会を探しておきましょうか。昔お世話になった先生もといシスターとの約束で、お祈り出来るときにはお祈りしておきたいですからね。まぁ私、日本人の記憶があるので無神教なんですけども。
じゃあ祈っても意味ない?そんなことはありません。お祈りによって加護を得ることができるのです。
というわけでやってきました冒険者ギルド。困ったらここに駆け込めば多分どうにかなります。この時間なら絶対空いていますし。
「フェルンさん。三度すみません。この街の地図みたいなものってありませんか?」
「あるわよ。どこに行きたいの?」
「ちょっと教会に行きたいなと思いまして…」
「なるほどね。それならここから出て右に行ったら2つ先の角を曲がるとあるはずよ。これで大丈夫?」
「はい。ありがとうございます。フェルンさんお仕事頑張ってくださいね!」
道も教えてもらいましたし、フェルンさんにお礼も言いましたし、早速教会に向かうとしましょう。そういえば、来たばかりとはいえ貧民街的なものも見えませんね。ここの街はある程度裕福なのですかね?
〜〜〜
「ふぅ〜、ちょっと疲れていたけど、リンちゃんのおかげで頑張れそうね。あの子少しズレてはいるみたいだけど、いい子だわ〜。」
子供が冒険者になる状況はあまり喜べないけど、明日も元気な姿を見せに来てくれるといいな。なんて思っている当たり、私簡単に絆されちゃったのかしらね。
〜〜〜
わぁ。こじんまりとしてはいますけど、立派な建物ですねぇ。入ってお祈りを済ませてしまいしょうか。
ちなみに私今日、なんか運がいい気がしているので、なにかしらのいいことがあるのではないかと踏んでいるわけです。
ガチャ。
「おや?ようこそお祈りですか?」
教会の掃除をしていたシスターさんが出迎えてくれましたね。…この人なんだか見覚えがあるんですけど。もしかして…いや、でもそんな偶然って…あるん…ですかね?
「あの、もしかして…先生…ではないですか?」
「えっと、私はシスターですよ。私のことを『先生』なんて呼ぶのは一人しかいませんが…」
信じられない。って顔に書いてあるくらい驚いてます…けど、この人はやっぱり村で私にいろいろなことを教えてくれた親切なシスターで間違いありません。シスターはなぜかは知りませんけど、村からどこかに異動ということになって私は禄にお礼も言えずに別れることになりましたから…ずっとお礼を言いたくていつか探しにいきたいと思っていたんですよね。それでお礼と私と親しくしてくれた感謝を伝えたかったのですけど、それが今叶うことになるとは思いもしませんでした。
「先生、いや、シスターイブ。私です、リンです。あのお久しぶりです。」
「まぁ…!本当にリンちゃんなのですね。あれから変わりはないですか?それより、なぜここに?あなたはまだ10歳のハズでは?」
「あー、えっとぉ…実は、面倒見きれないから自立してくれと家を追い出されまして…なぜ10歳で追い出されたのか甚だ疑問ではあるんですけども。それで村から一番近いこの街で冒険者として生計を立てていこうと考えたんです。教会に来たのはお祈りするためと、あわよくばシスターに会えないかと思ってのことなんですけど。」
世間は狭いですね。いなくなったと思っていたシスターがまさか隣町にいたとは…
しかしそれなら一回くらいは会いに来るか、手紙でも寄越してくれればいいのにって考えるのは傲慢ですかね?
「追い出された…って一体どんな無茶をしたらそうなるのですか?全く、あなたという子は…変わっていませんね。」そう言うシスターはちょっと目に涙が浮かんでいました。私が再開出来て嬉しいようにシスターも私の姿を見て安心でもしてくれたのでしょうか…
「ああ、お祈りに来たのでしたね。はい。こちらの神像の前で祈りの姿勢を。そうすれば創造神様の加護が授けられるでしょう。」
「はい。」
なんだか久しぶりです。こうしてちゃんと作法に則ったお祈りをするのは。それこそ先生がいた頃以来でしょうか…だんだんと簡略化していましたから。
私が知り合ったすべての人達に幸福が訪れますように。そうお祈りしておきます。その時、祀られている神様が頭の中で微笑んだ気がしました。
「今日はありがとうございました。またお祈りに来ます。それと、また『先生』に会いに来てもいいですか?」
「ふふっ、あなたは本当に可愛らしいですね。ええ、構いませんよ。それならまた今度お茶でもしながらゆっくりお話をしましょう。」
「はい!」
今日で一番の笑顔だったんじゃないかというくらいの笑顔が出た気がします。明日からも晴れやかな心持ちで頑張れそうです!
この世界の時間は1日24時間で、1月30日です。1年は360日なので時間間隔はほぼ日本と同じです。
ちなみに出てくるかはわかりませんが、1週間は、火、水、木、風、土、星の日の6日間構成です。
こういうのは下手に凝るよりもわかりやすい設定のほうが後々矛盾が起きづらいものです。
あ、そうだ。冒頭の挨拶でリンちゃんが名乗るのは偶数回のときです。
それでは次回もよろしくです。m(_ _)m