・・・嫉妬?
最近タイトル決めずに本編から書いてるせいでちょくちょくタイトルつけずに投稿してしまう。今回もやらかしました。
はい。ニコラちゃんだけでなく偶然同じ屋台にいたマーシャさんともフェルンさんとのタッグで戦うことになった私です。リンちゃんです。……え、何を勝手にこうなったみたいに言ってるのかって?やだなー。分かってますとも~!自分が言い出しっぺの事の発端であることは。
「ちなみにリンちゃん、フラワーすくいの自信はあるかしら?」
「ないです。こういうお祭り自体がそもそも初参加なので。うちの村、こんな大規模な祭りとかなかったので。」
「……だ、大丈夫かしら…」
心配されるのはまぁ、分かりますけども。流石に自信あります!自分やれます!なんて言って惨敗したらフェルンさんに申し訳ないし恥ずかしいしね?私にだってそこらへん恥じるくらいの一般的感性は備わってますから。
でも金魚すくいと比べたらまだ圧倒的に簡単だと思うんですよ。自発的に動くことはないわけで。まぁ、どうやらよく見たら水の方が不規則にかき混ぜられて水面の花もランダムな動きをしてますね。これも魔道具ですかね?いやはや魔道具に触れる機会もそうなかったのでちょっと興味がわいてきましたよ。…魔道具職人とかいないかな。ひとまず私達全員料金を払い、ポイと花を入れる器を店主のおっちゃんから受け取り、説明を聞くとしましょう。
「さっきまでやってた姉ちゃんらはもういいだろうが、新しく来たお嬢ちゃんらにゃ説明せなな。ルールは簡単!このポイを使って水に浮かぶ花をすくい器に入れる。そんだけだ!ただし、そのポイは非常に破れやすい!ちょっとでも長く水につけると簡単に破れちまうぜ。数を取りたいならポイが破れないように立ち回んなきゃな。んじゃま、本来はチーム戦なんて想定してねぇんだが……楽しんでってくんな!……どうせ今の時間はあんま客も来ねぇかんな。」
なるほど。どうりで二人が何回か戦えるわけですか。さて…触ってみた感じポイの重さや感覚なんかは前世のものとそう変わらないようですね。ちなみに私達とニコラちゃん達とで極力間を空けていたり。…集中。丁度良く花が私の目の前に流れてくるタイミングを見計らって………いまっ!
「おっ。取れましたよフェルンさん。」
「すごいわリンちゃん!初めてでポイを破らずに取れるなんて才能あるんじゃないかしら?私も負けられないわ…!そいっ。」
「いやー、照れますね。ふっ!」
以外に順調に取れていますね。前世とは動体視力も反射神経もそもそもの身体能力も別物になってるのでポイをほんの一瞬だけ水を切るように振るうのが楽ちんです。
「あー!破れちゃった…」
「あら~、頑張ったわね、ニコラちゃ~ん。お疲れ様~、あとは私に…任せて頂戴!」
む。ニコラちゃんは脱落したようですが…マーシャさん本当にお上手ですね。息をつく間もなくどんどん花を取っていますよ。
「あっ!……ごめんなさいリンちゃん。私はどうやらここまでみたい…マーちゃんの勢いに気圧されされたみたいだわ…」
あらら…ここでフェルンさん無念の敗退ですか。つまり…私とマーシャさんの一騎打ちと。
「ナイスファイトですよフェルンさん。やれるだけはやりますので…後は任せてください。」
「以外ね~。リンちゃんは初めてだって言うからてっきり早々に脱落するかと思ったけど~、まさか私と一騎打ちになるとはね~。…実は初めてじゃなかったりして~?」
「いえ?正真正銘フラワーすくいは初めてですよ。なので自分でも最後まで残るとは思いもしませんでしたって。」
私達は軽口を交わしつつお互いの手は花をすくうことを辞めず、一進一退の攻防を続けています。が!決着は案外あっけないものでして。マーシャさんはこれまでフェルンさんと何回かフラワーすくいをやっていた様子。しかも私がタッグを持ちかけたとき、飽きてきてたみたいなことを言っていましたから。人間、単純作業の繰り返しが苦にならない人間であろうとも飽きてきているのなら集中力が落ちるのは必然。これで最後だと言わんばかりに花をすくいに行ったマーシャさんはとうとうその勢いをミスり…
「あら~?ちょっと熱くなりすぎたわ~。」
「…私も、ここまでのようです。」
マーシャさんのポイは破れていた。そして私もこの時一個をすくって器に入れたところでポイが破れ、ゲームは終了した。
そしてお互いの計測結果は…私たちが16個。ニコラちゃん達が14個。で私とフェルンさんの勝ち。なんとか勝てましたね~。ちなみに内訳としては最初に破れたニコラちゃんが4個。次のフェルンさんが6個。そして私とマーシャさんは同率10個。完全にフェルンさんのおかげで勝てましたねこれは。でもマーシャさん意外と取って無かったんですね?それとも私の後半の追い上げがすごかったのか…まぁ、仮にマーシャさんの手心だったとしてもそれはそれでいいんですけどね。
というかゲームが終わった時はびっくりしましたよ。私たちの周りに人だかりができていたので。なんでも私とマーシャさんの早取りがスゴ技だったから一人、また一人と足を止める人が増えていったそうな。すくった花は店主のおっちゃんに返却することでまた再利用するらしいです。景品としては取った数に応じた店主お手製の記念バッジがもらえました。祭りの思い出として飾っておこう。
「フーちゃん良かったわね~?リンちゃんのおかげで一杯、私に奢らせることが出来て~。」
「…なんか言い方にとげを感じるわよ、マーちゃん。まぁ、言いたいことは分かるけど。でも勝ちは勝ちだわ。」
「もちろん今のなしなんて言うつもりはないわよ~。私が奢るのは一杯だけだしね~。逆にフーちゃんは私に5杯は奢らないとなんだし~。ま~、店が混む前に~席を確保にしに行くとしますか~。」
そういえば今更ですけどお互いの事をフーちゃん、マーちゃんと呼び合っていますねぇ。最近はめっきりそんな風に呼ばなくなったってフェルンさん言ってたのに。お祭りだからかな?
「そんなわけだからリンちゃん、私達もう行くわね?今回はありがとう。それと…今度の夕食の約束も忘れないでねー。」
「私がリンちゃんの家に遊びに行く約束も、ね~?」
「もちろんです。」
フェルンさんとマーシャさんは雑踏の中へと姿を消していきました。…ところでなぜかニコラちゃんがこっちをじっと見ているんですけどなぜですかね?
「……ふーーん。リンちゃんはモテモテだねー?」
「何が?」
「フェルンさんとはごはん食べに行くんでしょー?それにマーシャさんはリンちゃんの家に遊びに行くみたいだしー?」
「…嫉妬?」
「違いますけどー?」
そうっぽい。でも嫉妬はちょっと冗談交じりだったんだけどぉ?
「でも考えてみてよニコラちゃん。その二つ、どっちもニコラちゃんは普段やってない?」
「…ご飯食べに行ってはないけど…確かにリンちゃんとごはん食べてるね。遊びに行っても…いるね。……じゃあいっか!それじゃあそろそろ戻ろっか!行こ!」
そういえば結局リーデたちと合流できなかったな。あの子たちは何してるんでしょ?




