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「オーホッホッホッ!!」


「そうして笑いながら釜を混ぜていると、まるで呪術師のようですなあ」


「今日はその減らず口、許して差し上げますわ」


「お嬢様の寛大さは、海も恥じ入るほどです」


笑いが!!止まりませんわ!!!

結局、教会がわたくしを阻止することはできませんでした。

何しろ彼らには、まだ借金があったから。

爺の言った通り、お金の誘惑とはとてつもないものなのですね。

騎士モリーが内部事情を暴露され申し訳なさそうな顔で提示した報酬に、修道士長を名乗る老女は渋々ながら納得しましたわ。

わたくしにはよくわからないけれど、騎士団が出してきた条件はかなりよかったようです。

こうしてわたくしは、晴れて教会の錬金術師となったのです。

偽名は適当に、ヘルモントといたしました。

なかなか可愛い感じで、納得しておりますわ。


錬金術は趣味ではなく仕事になり、見習い修道士としては過分な広い部屋に自室が変更されました。

大量に錬成するには、それなりに広い場所を必要としますからね。

素材を集めたり分類したりするために、助手も数人仕入れましたわ。

リリーと、引退して仕事もなく街でのんびり過ごしていた爺。

爺の方はさほど役には立ちませんが、リリーはかなりのやる気があり、幼いながらによく働いていますわね。

その分、同年代の友達とは少し縁遠くなってしまっていますが。

でも錬金術師とは、真理を探求する者。

ちょっとくらい孤高な方が、俗世に邪魔されずのびのびとやれますわ。

ま、リリーが錬金術師になるかはわかりませんけれど。

ただこの子の熱心さを見ると、いい師匠さえいればそこそこに仕上がる気もいたしますわね。

近頃は、慣れた素材なら私が指示しなくとも、きれいに選別をしてくれますし。

こういう目端が利くところ、結構錬金術師向きの素質だと思いますわ。


「ニコラさん、他にすることはない?」


「薬草を切って頂戴、大きさはわかるわね」


「はいっ」


用事を言いつけられたのに、リリーは嬉しそうに作業へ取り掛かる。

彼女の手には、小さな包丁。

怪我をするといけないから、わたくしが特別に錬成してあげたものです。

それを使って、慎重に素材を切っていきます。

この小さな助手を見ていると、自分が子供だった頃を思い出しますわね。

おじい様がご存命だった時、わたくしも同じようにまとわり付いておりました。

両親はいい顔をしなかったけれど、彼らのしかめっ面よりも錬金術の方が面白かったわ。

王太子殿下との婚約が決まってからは、そう気ままにすることもできなくなってしまったけれど。

それでも毎日の厳しい教育をできるだけ完璧に行って、可処分時間を増やすことに注力しました。

離れにあるおじい様の研究室に走って行く時の、高揚した気分は今でも思い出せます。

おじい様自身はわたくしが錬金術にのめり込むことにはあまり賛成ではなかった様子でしたが、そんなことは関係ありませんでした。

結局、わたくしのしつこさに根負けしたおじい様から、手ほどきを受けたのもの懐かしい。


「そういえば、素材の残りが心許ないわね。この調合が終わったら採取に行きましょうか」


最近とうとう、わたくしの外出禁止が解除されました。

外では仮面をつけて髪を隠すフードをかぶる不審者丸出しのスタイルを強いられておりますが、これはまあ妥協して差し上げますわ。

一般庶民には、わたくしの美しさは目の毒かもしれませんし。


「おや、今日はどちらに行くので?」


「日も高いことだし、近くの森まで行きますわ。何か珍しい素材も欲しいわ」


今までの採取地は、あくまで街の範囲内。

近くの森というのは、そこから少し歩いたところにあります。

出てくるのは小さな魔物ばかりなので、老人とか弱いわたくしと子供でもなんとかなりますわ。


外出の話が出て顔を明るくするリリーを視界の端に納めながら、わたくしは採取の準備を始めました。

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