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不穏な影

日差しがさんさんと肌を焼く。

ダグは滝の様に流れる汗を手で拭いながら、手斧で目の前の木を切りつける。その一撃でダグんお胴ほどの太さの木は大きな音を立てて地面へと倒れていく。



(ふぅ、ようやくこれで7本目か。先はまだまだ長いね。 ……鎧を売って色々道具やら種子やら買い込んだけど、道具選びはもう少し吟味するべきだったな)



 切り倒したばかりの生木はそのままでは使用することは出来ない。数日はどこかで乾燥してからでないと縮んで割れてしまう。

そのためダグは倒した木を伸ばした腕程度大きさまで分割すると、雨が当たらないように家の屋根の下に並べていたのだった。そんなことをしていれば時間も大きく使う。朝から始めたこの作業も昼までやってあまり進捗が良いとは言えなかった。



「お父様ーっ!」



 そこにローブで黒い翼を隠したハーピアがダグの元へと駆けてくる。

人のいない場所を住処に選んだとはいえ、人がここに来ない保証もない。もし、現時点で魔モノのハーピアがここに住んでいることが大きく広まってしまえば、”良くないこと”が起きるのは容易に想像が出来た。そのため、熱い中ではあったがハーピアには翼を隠すようにダグはしっかりと言い含めていたのだった。



「おお、ハーピア。何か食べ物でも見つかったかい?」



「見てください! お魚です!」



 ハーピアは網の中に入れた数匹の魚を誇らしげに持ち上げながら、ダグに満面の笑みを見せる。

ダグはその網を受け取って魚を見ると、大きさはダグの手の平を2つ合わせた大きさの立派な魚であった。ダグは”どうやって魚を捕まえたんだろう?”と考えながらも、ハーピアの頭を優しく撫でながら褒める。



「おお、すごい立派だな。この小さな網で捕まえたのか?」



「いえ、お父様。これで捕まえました!」



 ハーピアがローブをたくし上げると羽の付いた小さな尾が顔を出す。

ダグはそこで尾を使って魚を捕まえたことを理解する。そして苦笑いを浮かべると、ナイフを出して魚を捌き始める。ダグは『こんなこと、どこで覚えたんだか』と思いながら、手を動かす。



「これで、よしと。ああ、火を点けるから適当に枯れ草とか集めといてくれ」



「はい!」



 ハーピアは枯れ草や枯れ枝を探しに姿を消す。

ダグは荷物から火を点けるための道具を準備し始める。その様子を怪しい影がそっと遠くから覗いていたのだった。




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