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夢見る狂人-2

「ぶ、武力……?」



 ハーピアは信じられないような物を見る目でダグを見つめる。

ダグはそんな驚いた愛娘のハーピアを尻目に口を開く。



「……そう。魔モノの兵軍団。これがもうひとつの俺の目標だ。これは護身的な意味合いではあるんだが」



――俺を謀略に嵌めたのは弟のニコ・レオヴォルドだと直感的に分かるんだ。

俺に罪を着せ、王位継承権を消滅させ、軍を奪った。アイツは今や第1王位継承権を持っていて次期国王だ。そこまで策を弄する男がこのまま黙って俺を野放しにするとは考えられないんだ。今はまだ父である国王陛下が居るから表だって動けないだけで、父が崩御してニコが玉座に座れば必ず禍根を断とうと考えるだろう。何かもっともらしい大義名分をつけて俺を完全に抹消しに来るはずだ。



 かといって俺を慕ってくれていた精鋭たちを呼び寄せれば、謀反の意志ありと見なされてすぐさま鎮圧部隊が送られるだろう。

……そしたら国を真っ二つに割る内乱が起きることになってしまう。そんな人死にだすようなことはしたくない。だからこそ、ニコが軍以前に”人”としてすら見ていない魔モノたちの力を借りるのが最善策なんだ。ニコも俺が謀反の気がないと見れば、大部隊を動かすこともない。暗殺のために必ず選りすぐりの少人数で襲いに来るはず。そのニコが手引きした暗殺の証拠を持って王宮に進軍して、俺を慕ってくれる将兵たちに呼びかければニコを武力の面から止めることが出来るはずだ。



――あとな。これが一番の理由なんだけどな。ハーピア、俺はお前が1人で生きていける世の中を作りたいんだ」



「……え?」



「ピピンとここに来るまでに、いくつもの街や村を通ったはずだ。その時、必ず翼を隠していて魔モノってことは隠し抜いたはずだ」



「……はい。『ハーピアお嬢様の身体に傷1つでもつけてしまったら、このピピン、ダグ様に合わせる顔がございません』って言ってました」



「魔モノが街中を歩いていたら大パニックになるからな。魔モノの被害に遭った人たちがハーピアに襲いかかるかもしれない。俺はそんな世の中を変えたいんだ。お前1人が待ちの中を歩いていても後ろ指を指されない、そんな世の中を、な」



「お父様……」



「そのためには俺たちは『夢見る狂人』い見られなきゃならないんだ。1日でも多くの時を稼ぐために。 ……ほら、早く朝ご飯を食べて家の修理を始めるぞ?」 



 ダグはハーピアの頭を優しく撫でると、朝ご飯の干し肉にかぶり付くのであった。

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