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無能力者が世界征服を試みるようです   作者: PPP
ガーディア共和国編
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08話 新たな仲間を求めて

 ガーディア共和国のギルドマスター、アッガイは非常に困っていた。

 理由は冥界の森から帰還した冒険者三名からの報告内容であった。


「で、進化した魔物は戦闘員でなくてもC。

 戦闘員に関してはほぼすべてがBクラスの強さだと?」


「ああ、間違いない」


 ライアンが即答する。

 冗談じゃない。

 危険度Bの魔物が大量発生。

 そんなことが町の者たちに知れればパニックが起こるだろう。

 そもそもBクラスの魔物は一体でも確認されればギルドが総力を挙げて撃退するレベルの脅威なのだ。

 しかし複数確認されたとなれば話は別。

 下手に手を出せば町が一つ消えることもあり得る。


 しかし問題は次の発言であった。


「そしてレオンと呼ばれる獣人とミルと呼ばれるスライムは少なくとも、Aクラスに達していると思われます。

 我々自身Aクラスの魔物を直接見たことがなかったので正確な判断はできませんが、他の者とは別次元の強さを感じました。」


「Aクラスッ!?」


 驚きのあまりむせてしまった。


「……マジ?」


「ええ……」


 嘘だと言ってほしい。

 Aクラスが2体、ここ数百年そんな事例は記録されていない。

 もうこの国は終わりかもしれない。

 今すぐにでも逃げ出したい。


「しかし、それ以上の存在が1人いました。」


「は!?」


 Aクラスを超える存在がいる?

 しかも今1人と言ったな?


「人間なのか……?」


「はい。アッガイさんは【武神】の噂を聞いたことがありますか?」


「ああ、いろんな所で道場破りやってる子供の話だろ?」


「さっきのAクラスを超える存在こそ、武神であり、魔物たちの盟主でもあるソラと言う少年なのです。」


「なっ!?」


 完全に予想外だった。

 魔物のボスが人間だということもそうだが、武神がそこまでの強さだったとは思いもしなかった。

 しかし相手のボスが人間だということは少しは話が通じる相手だということだ。

 ライアンたちもこうして無事だし、助けてもらったりもしたらしいしな。


 少し考えて口を開いた。


「そのソラと言う少年と一度会ってみたい。

 アポイントを取ってきてくれるか?」


「また行くのか!?

 帰ってきてまだ一日だぞ!?」


「そうですよ!

 ちょっとくらい休日をください!」


「うーむ、仕方ない。

 一週間休みをやろう。」


「やったぜ!!」


 今回は以前のように急ぎでもない。

 これだけの情報を持って帰ってきてくれた報酬ということにしておこう。


 こうしてライアンたちは一週間の休息をとったあと、再び魔人都市ソレールに戻るのであった。

  

       ・

       ・

       ・


「ってことがあったんだ」


「なるほど」


 ソラはライアンたちから戻ってきた経緯を聞いた。


「じゃあそのアッガイさんに会えば良いんだよね。」


「ああ、それなら俺たちはそいつを連れに戻るが__」


「いや、ちょっと待って。」


 戻ろうとするライアンたちを引き留めた。


「ん?どうした?」


「いや、僕が会いに行くってことはできるかな?」


「ああ、そっちのほうが手間は掛からなくて助かるが、どういう考えだ?」


「いやね……」



 レオンとの決戦から1ヶ月が経ち、ソレールの開発は進んでいた。

 まず人口が1200人くらいまで増えた。

 この町の噂を聞きつけた森の魔物たちが仲間に加えてほしいとやってきたので、向かい入れたのだ。

 中には僕に挑み新たな長になろうと企む者もいたが、戦闘員のゴブリンに返り討ちにあっていた。


 それに伴い領土も拡張していっている。

 最初の目的であったレオンの集落との併合まではもう少しかかりそうだが、拡張作業は確実に進んでいる。


 しかし、ここにきて問題発生。


 まず一つ。

 衣服や装備を作れるものがいない。


 素材は大量にあるのに、専門の技術を持つものがいないため今だ住民の服や装備は、魔獣の毛皮を縫って作った原始人もびっくりの物だった。


 その他の問題も技術者不足がほとんどだ。

 武器にしろ、建築にしろ、料理にしろ、薬にしてもだ。


 賢者の書でレシピはわかっているのに、加工に必要なスキル、アビリティを取得していないため素材が有り余っていた。

 この森の素材をフル活用することができれば、さらに良い町ができると思うのだが、技術力が足りない事態に陥ってしまっている。


 そんなタイミングでこの話が飛び込んできた。

 人の町に行けば素材に飢えた職人たちが見つかるかもしれない。

 このチャンスを生かさないわけにはいかない。

 だから、向こうに行けるよう頼んだのだ。


「しかし大丈夫なのかよ?

 ボスのお前が留守にしても。」


「大丈夫だよ、レオンがいれば。

 この森にレオンに勝てる魔物なんていないからね。」


「いやそれはそうだろうけど、お前はやることはないのか?」


「一つあるけど、そっちもしばらくは大丈夫そうだから。」


 実際どの作業も選出した代表者の指示のもとに行っているので、僕一人抜けても作業が止まるなんてことはない。


 実際僕やレオン、ミルはやることがない日が出ることもあった。

 ミルは薬の調合班の指揮を執っていたが、それも今では必要なくなっているようだった。

 なので【体内加工】を使って建材加工のほうに手を回してもらっている。


 レオンは調査隊と討伐隊の編成を行い、森の魔物たちの調査や、食材調達をしてもらっている。


 僕はレオンたちから引き継いだ農家を進めたり、町の開発にかかわっていた。

 そしてそれに加え、武術道場を開いた。

 師範はもちろん僕。

 武闘派の魔物に限らず、希望者に武器の使い方や体の使い方を教えていた。

 様々な流派を組み合わせ、最適化した新技なども開発し、独自の流派となりつつあった。


[後にこの流派は大陸全土に広まり【武神流】と呼ばれるようになる]


 しかし道場もひと段落したので手が空いていたのだ。


「という訳だから、大丈夫。」


「そういうことなら了解だ。

 いつ出発する?」


「一応皆にも報告したいから明日でいいかな?」


「了解だ。こっちもデカくなった町の見物がしたかったから丁度いいぜ。」


 ということでライアンたちは一晩止まっていくことに。


 そしてその日の夜、皆に町へ行くことを話すと__


「なんだソラ、人の町に行くのか。

 少し寂しいではないか……」


 レオンがしょんぼりしている。

 案外繊細な奴なんだな。


「まあこの町は俺に任せておけ。

 この町の発展のため、存分に探してこい!」


「ありがとう、しばらく任せるよ。」


 レオンには少し悪いが任せることにする。


「ソラ様、私もついて行って良いですか?」


 ミルがそう言いだした。


「作業のほうは大丈夫なのか?」


「はい! 最近は暇でしかたありません!」


「そんな誇らしげに言わなくても……」


「それに私には亜空間倉庫のアビリティがあります。

 これを使えば保存してある高級素材を餌に職人たちを__」


「よしミル、同行を許可する。」


「やったー!」


 少し汚いがミルの案はかなり有効そうだ。

 レオンはさらに寂しそうになってしまったが許せ、これも町の発展のためだ。


 こうして僕はミルを引き連れライアンたちの案内のもと、冒険者の国、ガーディア共和国へと向かう。

 新たな仲間を探しに__

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