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魔道の名門貴族に生まれたんだが俺だけ魔法使えない件について  作者: 大葉餃子大盛
第1章:緋と抱擁と
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7.戦いの後にはお店へ


森でのオークとの戦闘を終えて、一同は帰路につく。


傭兵たちは「まだまだ稼ぐぞ!」という事で、幾人かのパーティが森に残っている。

これはオークの大量発生に伴う副次的効果によるものである。

オーク達が森で暴れまわると、森に住まう弱いモンスターはどうするか?

徒党を組んでオークに立ち向かう者どもが出てくる。こいつらを狙うのは下策だ。

とっくにオークにずたずたにされて、素材としても使えず、肉も食い散らかされている場合がほとんどだからだ。


狙い目なのは、我先に逃げ出したモンスターの巣穴だ。ゴブリンなどの人型は宝を溜め込んでいる場合があり、あるいは初心者パーティでも殺せるような、モンスターの子供が巣穴に残っている場合がある。

勿論我が子を抱えて逃げるモンスターもいるが、タイミング悪く親が外に出ていたり、或いはあまり考えたくは無いが、モンスターが我が子を見捨てて逃げる場合もある。


より野生に近いモンスターは、その分仲間意識や共同精神が強く根付いていることがほとんどだが、オークという強者を前にして、あっさりとその仲間意識を捨ててしまえるものも、またモンスターの中には存在する。

こういった点は、対して人間と変わらないのかもしれない。



こんな下らない、取留めの無い事を考えながら、馬車に揺られて町へと戻る。

隣では、エリアスがすやすやと寝入っている。魔力切れ、という訳でも無く、戦闘疲れ、という事でも無いのだろう。ただ単純に馬車の振動が気持ちよくて、つい寝入ってしまった、という所なのだろう。

肝っ玉が据わっているというか、すっかりこの戦闘後の雰囲気に慣れてしまっている。


戦闘に慣れ切ってしまった事を、次期ドーランド当主としては喜ぶべきなのだろうが、一方でどうしてもエリアスに頼りきってしまう現状を打開せねば、という意識もある。


「お疲れ様でした。マージ様。大事にならなくて良かったです。後ほど騎士団の方から感謝状が届けられるそうですよ。…マージ様?」


エリアスを膝枕しながら、伊織さんがふと何かを話しかける。


「---っ、あぁ、何だっけ?」


「--、あぁ、エリアスの寝顔を見つめていらしたのですね。」


優し気な声で、エリアスの頭を撫でながら伊織さんが続ける。


「そう、だな。その通りだ。エリアスの寝るとこなんて見慣れてるのに、つい見ちゃうっていうか、目が行ってしまうんだよな。」


「分かりますよ。この無垢さには心洗われるのが当然ですからね。」


「だよなぁ」

って何言ってんだろう、俺たちは。

エリアスにつられて緩くなっているのだろうか、本当は討伐戦後に考えることなんていくらでもあるのに。



「この後は、どうしますか?討伐記録の確認、騎士団との応対はまだ少し先になりますが。」



「そう、だな。ちょっと道具屋の方に顔出しときたいからな。二人は先に帰ってていいよ。そのほうが伊織さん、エリアスを独り占めできるだろ?」



「---!! えぇ、分かりました。折角なので、エリーの寝顔、堪能させてもらいますね。」



―ーーさて、町も見えてきた。

道具屋で何を買うか、算段でもつけておこう。



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