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魔道の名門貴族に生まれたんだが俺だけ魔法使えない件について  作者: 大葉餃子大盛
第1章:緋と抱擁と
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5.討伐依頼




「お帰りさないませ、マージ様。」


「あぁ、ただいま、エリアス。」



使用人用の一室、エリアスの部屋に入るとベッドで身体を起こすエリアスを発見。


長く透き通るような金髪、青水晶を映したような瞳。

やや肌色が白く、身体が弱いのが心配材料だが男に困ることはないであろう美貌の持ち主だ。



そして男に困る以上に、彼女は本質的に ”生きる ”事に困ることが無い。

世界に愛されているとしか考えられない程の魔道の才を持つからだ。



「申し訳ありません。本日も体調が優れず・・・」


「気にすることは無いさ。伊織さんも付いているし、問題なく稽古はやれたから。」



本心から申し訳無さそうな表情が伺える。十分な使用人業を果たせないのが心苦しい、とでも考えているような・・・



だが、本質的には彼女がいなければドーランド家はおしまいなのだ。

少なくとも俺が魔法の才を持つ女性と結婚し、魔法使いを子に持つまでは、、、



彼女には絶対的なドーランド家の柱となって貰わなければならない。



しかし、そんなことを伝えてしまえば、間違いなく重荷で潰れてしまうであろうことは簡単に想像がつく。


モンスターを殺す事に躊躇しない精神性を獲得した彼女も、本質的には読書好きでのんびり暮らしたいだけの繊細な女の子なのだから。



「アカデミーの講義でこんな魔法の話が・・・」


「今日読んでいた本にこのような故事が出てきまして・・・」


取留めの無い話を続け、本題に切り出す。



「エリアス、またギルドからの依頼だ。東の森でオークの繁殖が確認された。だから・・・」


「討伐依頼、ですね。分かりました。今回のパーティ構成は、、、」



「俺に、エリアス、それから伊織さん。シアンの奴は今は遠征というか外出中でいないからな。」



「3人構成ですね。分かりました。お二人にはいつも助けられて感謝しております。なので私も務めを果たさせて頂きます。」



決意に満ちた表情。戦う事への緊張も忌避感も無く、あるのは唯々ドーランド家に、俺に仕える使命感。



「あぁ、こっちもいつも頼ってばかりで悪いけど、よろしく頼む。」



本心から、エリアスへの信頼、期待を言葉に載せる。


それからまた取留めの無い話を続けてエリアスの部屋を出る。
















(お二人、か・・・)


嫌な考えが鎌首を擡げる。考えても益にならないのに生まれてしまう想像、妄想。無駄、塵、芥、埃にしかならない思考のノイズ、澱み。


やめよう、、、

エリアスも言っていた。俺に出来る務めを果たそう。

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