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魔道の名門貴族に生まれたんだが俺だけ魔法使えない件について  作者: 大葉餃子大盛
第1章:緋と抱擁と
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3.深度5

修練場。


遥か東の「ヤシマ」なる島国の建築様式を模したとされる建物だ。


この国では珍しい木材で組まれ、「カワラ」なる石を屋根に並べた不思議な建物。


ここが俺たちの日課を務める場所、というわけだ。



修練場内には、既に身を正して我が家の使用人、伊織さんが待機している。


「今日はエリアスの様子はどうだった?」


「エリーは今日も体調が悪いらしく・・・」


「そうか。後で様子を見にいかないとな。エリアスがいないとなると今日は深度7からは…」


「無理、ってことになっちゃうね。」


「申し訳ありません、マージ様。私の腕では深度5が限界で…」


沈んだ伊織さんを横目に、


「いや、深度5なら十分かな。今日は打ち合いメインってことにするか。」


「そうなるね。」




修練場内の「タタミ」なる比較的柔らかな床材の上でルディと向かい合う。



「深度5なら目付き、骨折、金的ありまでだな。」


「うーん。そうだけども金的だけ無しにしない?」


「大丈夫だってんのに。」


伊織さんが窘めるような目を向けてくる。


「マージ様。私からも無しの方向でお願いします。」


「2人がそういうなら無しでいくかなぁ」



ルディの目を見つめる。


優し気な目元に、闘気を漲らせているのが分かる。



「一本目・・・」


「はじめ!!!」


伊織さんの声を受けて、まず俺の左突きから打ち合いが始まる。


ルディは間一髪で左に倒れ込み突きを躱し、流れのままに右ミドルを放つ。


膝を上げガード、再度の左、ただし今度はフィンガー・ジャブで目突き狙い。


大きくバックステップで距離を取られ、こちらは再突撃を行い技を交換しあう。



ダメージ以上に体制を崩すことを目的とした低空鉤付き。


近距離での打ち合いの最中の猿臂。からの脇腹狙い。


躰に異常を残すこと間違い無しの腎臓ブロー。



何の容赦も無く、なんの遠慮も無く、ルディの躰を打ち、また打たれ続ける。


相手を倒す事にただただ全力を傾ける。


そして・・・


ルディの決めの一撃、右ブローが放たれる。

ぎりぎりで躱し、巻き込み、腕十字に持っていき・・・


()ッ!!!」



「一本!! それまで!!」



伊織さんから終了の合図が入る。



と、同時に伊織さんの手に溢れる光が満ち、俺たちの身体に光が届く。



「星よ。その雄大なる力を我らの元に。滔々と流るる龍脈の癒しをここに。」



土魔法の真価、癒しの力が俺たちの身体を治療する。

痣が消え、痛みが消え、ルディの折れた腕が数分前の健全な状態へと復元されていく。



「ルディ、いけるか?」



「全然、剣技の修練より何倍もましだよ。」



「だ、そうだ。次お願いします。伊織さん。」



「分かりました。 では二本目・・・」



何度も修練をやっている俺達は知っているのだ。


実戦においては容赦の無さが勝敗に直結することを。


如何に技を研ぎ澄まし、思考を高速化させることが重要なのかを。



そして何よりも・・・







「はじめ!!!」







そんなことは、”魔法 ”の前では何一つ影響を与えられないのだということを。


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