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魔道の名門貴族に生まれたんだが俺だけ魔法使えない件について  作者: 大葉餃子大盛
第1章:緋と抱擁と
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2.未練と納得

魔法とは一体いつ生じた現象なのだろう。


魔導(キセキ)とは、一体どれだけ世界の理を塗り替えたのだろう。



もう世界にはそれを説明出来る人間などいないが、

一つだけ誰もが分かっている事がある。


人は、魔法無しには生きられないのだと。





火の魔法は、戦争で圧倒的な破壊を生み出し、敵兵士に絶望を、味方兵士に希望を届ける。


水の魔法は、汚濁を荒々しく洗い流し、世界の清浄化に貢献する。


風の魔法は、大気の淀みを吹き飛ばし、人々の生活に必要なエネルギーを循環させる。


土の魔法は、人々の躯を癒し、あらゆる怪我を立ちどころに癒す。






”名門 ”と呼ばれる4家にはこの国を平定する義務がある。


本家でも、分家でも、あるいは市井から魔法使いの原石を探し出し、この国に繁栄と平和をもたらし続けるという、義務が。





=================================



「本日の講義はこれまでです。レポートを明日までに纏めておくように。解散!」


王立魔法学院・アカデミーの今日が終わる。


市場での買い物に向かうもの、鍛錬場に向かうもの、家事の為に帰宅するもの、いずれにせよ生徒達は教室から姿を消しはじめる。



「おーい、マージ。今日も行くよね?」


ふと目を上げると見知った顔が覗いてくる。


肩の長さで揃えた茶髪に、優し気な目元が特徴の親友、ルディだ。


「おう。ちょっと待ってろ。」


直ぐに準備を整え、二人で揃って鍛錬場へ向かう。


もはや習慣となったいつもの日課だ。


「・・・」


いつもと違い、ルディが気遣うような、慰めるような視線を向けてくる。




「分かってた、事だからな。」


何でもない事のように、自分を納得させきったと、もう未練は無いと、ルディに伝える。



「10歳ちょうどの誕生日で魔法を発現させたものは歴史上で38人かぁ・・・」


「まぁ物語のように都合よくはいかないってことなんだろうなぁ」


「使用人のエリアスちゃんにはもう話が通ってるんだよね?」


「あぁ。あいつは体は弱いが、魔法の腕はピカ一。マーランド家はあいつのものってことになるんだろうな。」


「立場上は君が当主じゃないか。」


「立場上は、なぁ・・・」


そう、立場上は、なのだ。


どれだけの敵を屠る無双の剣も、

どれだけの骨を砕く拳も、

どれだけの戦力差を覆す知略も、


決して ”魔法 ”の2文字に敵うことなどありはしないのだから。

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