怖い話
これは、僕が小学五年生の夏休み。友達と一緒に学校に忍び込んだ時の話だ。
夏休み中盤。僕は教室に宿題のノートを忘れていた事を思い出した。これがなければ宿題が出来ない。取りに行きたいところだが、僕の小学校は夏休み期間入ってはいけないらしい。理由は知らないけど。そこで、夜中に忍び込むことにしたんだけど、一人じゃ怖いから友達のD君を誘って学校に行ったんだ。
夜の学校は本当に怖い。この怖さを舐めていた僕は震えながらもD君に言った。
「夜の学校って結構怖いな」
「そうだね」
D君は無口だ。だからいつも僕が一方的に話すのだが、今日は何故かD君が話を展開してきた。
「君は腕が大事かい?」
唐突な質問に少し戸惑ったが、僕は即答した。
「当然だろ」
「それじゃジャンケンしよ。ジャンケンポン」
いきなりの言われても僕は咄嗟にグーを出した。そして僕は戦慄した。何故なら彼の手がなかったからだ。
「っ!」
僕はびっくりして飛び退いた。しかし、D君は笑いながらこう答えた。
「冗談だよ。裾に手を隠しただけ」
そう言ってさっきまでなかった手を振る。正直超驚いた。こんな冗談をかましてくるやつだとは正直驚いた。
そうこうしているうちに教室まで着いた。僕は教室に入って自分の机の中から一冊のノートを取り出す。
「良かった。あったよ」
僕はそう言ってノートを掲げる。D君は夜の闇に隠れながらこう言った。
「良かったね。でも僕は良くない」
「え?」
いきなりのそう言われた。夜の闇から顔を出した彼はゆっくりと僕に近づき、こう言った。
「だって僕は、君が大嫌いだから」
その瞬間、僕の左頬に凄まじい一撃を食らった。殴られた。そう判断した時にはもう意識が遠のいていた。
「はっ!」
勢い良く体を起こす。周囲を見るとここは僕の部屋。どうやら夢を見ていたみたいだ。跡が残るようない一撃を貰った頬も何もない。
「よかったー」
一安心。すると、階段を物凄いスピードで駆け上がってくる音が聞こえた。そして扉が勢い良く開いた。母さんだ。母さんは凄く青ざめた顔で衝撃的な事を言った。
「D君が交通事故で死んだって!」
「え!」
あまりの驚きとショックで気を失いそうだった。
「なんでも昨日の夕方事故にあったそうで。跳ねられて右肩が吹っ飛んだって……」
言葉が出なかった。なんせ友達が死んだのだ。
「警察の人も後で来るらしいから、気持ちは分かるけど、すぐ支度してね」
そう言ってそわそわしながら母さんは部屋を出ていった。いきなり過ぎる。そんな時、ある物が僕の視界に止まった。それは一冊のノートだ。
手に取る。それは驚く事に、学校に忘れた宿題のノートだった。
「え……」
掠れた声が出る。僕は恐る恐るノートを開いた。今までの宿題の問題が書かれる中、白紙のページまで進み、そしてあるページに目が止まった。そのページには大きく赤い字でこう書かれたいた。
死ね