表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編集

怖い話

作者: ゆずは

 これは、僕が小学五年生の夏休み。友達と一緒に学校に忍び込んだ時の話だ。




 夏休み中盤。僕は教室に宿題のノートを忘れていた事を思い出した。これがなければ宿題が出来ない。取りに行きたいところだが、僕の小学校は夏休み期間入ってはいけないらしい。理由は知らないけど。そこで、夜中に忍び込むことにしたんだけど、一人じゃ怖いから友達のD君を誘って学校に行ったんだ。


 夜の学校は本当に怖い。この怖さを舐めていた僕は震えながらもD君に言った。


「夜の学校って結構怖いな」

「そうだね」


 D君は無口だ。だからいつも僕が一方的に話すのだが、今日は何故かD君が話を展開してきた。


「君は腕が大事かい?」


 唐突な質問に少し戸惑ったが、僕は即答した。


「当然だろ」

「それじゃジャンケンしよ。ジャンケンポン」


 いきなりの言われても僕は咄嗟にグーを出した。そして僕は戦慄した。何故なら彼の手がなかったからだ。


「っ!」


 僕はびっくりして飛び退いた。しかし、D君は笑いながらこう答えた。


「冗談だよ。裾に手を隠しただけ」


 そう言ってさっきまでなかった手を振る。正直超驚いた。こんな冗談をかましてくるやつだとは正直驚いた。


 そうこうしているうちに教室まで着いた。僕は教室に入って自分の机の中から一冊のノートを取り出す。


「良かった。あったよ」


 僕はそう言ってノートを掲げる。D君は夜の闇に隠れながらこう言った。


「良かったね。でも僕は良くない」

「え?」


 いきなりのそう言われた。夜の闇から顔を出した彼はゆっくりと僕に近づき、こう言った。


「だって僕は、君が大嫌いだから」


 その瞬間、僕の左頬に凄まじい一撃を食らった。殴られた。そう判断した時にはもう意識が遠のいていた。




「はっ!」


 勢い良く体を起こす。周囲を見るとここは僕の部屋。どうやら夢を見ていたみたいだ。跡が残るようない一撃を貰った頬も何もない。


「よかったー」


 一安心。すると、階段を物凄いスピードで駆け上がってくる音が聞こえた。そして扉が勢い良く開いた。母さんだ。母さんは凄く青ざめた顔で衝撃的な事を言った。


「D君が交通事故で死んだって!」

「え!」


 あまりの驚きとショックで気を失いそうだった。


「なんでも昨日の夕方事故にあったそうで。跳ねられて右肩が吹っ飛んだって……」


 言葉が出なかった。なんせ友達が死んだのだ。


「警察の人も後で来るらしいから、気持ちは分かるけど、すぐ支度してね」


 そう言ってそわそわしながら母さんは部屋を出ていった。いきなり過ぎる。そんな時、ある物が僕の視界に止まった。それは一冊のノートだ。


 手に取る。それは驚く事に、学校に忘れた宿題のノートだった。


「え……」


 掠れた声が出る。僕は恐る恐るノートを開いた。今までの宿題の問題が書かれる中、白紙のページまで進み、そしてあるページに目が止まった。そのページには大きく赤い字でこう書かれたいた。



 死ね


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ