遙かなる望郷の地へ-77◆「公国軍進撃11」
■ジョフ大公国/ジョフ平原
「騎乗っ!」
ジョフ大公国軍各連隊の将兵達は、一斉に己の馬にまたがった。人馬共に重そうな甲冑を身に帯びる親衛騎士隊と装甲騎兵連隊の兵達。比較的軽装備ながら、短弓持参の軽騎兵達。何れの表情も、堅く引き締まっている。
「軽騎兵第四連隊、出撃準備完了っ!」
「装甲騎兵連隊、出撃準備が整いました」
「親衛騎士隊LAG、何時でも大丈夫です」
各連隊の長であるマイラム、フレム、アルノが自分の隊の前に立ってグランに報告する。
「大戦士様。将兵に一言御願い致します」
フレムが重々しく言うと、全部隊は静まりかえってグランの言葉を待った。
グランは己が巨大な愛馬、黒王に跨ると、黙ってフレムの言葉に頷く。
「諸君、いよいよ此れより決戦の地に赴く。我らが敗れることは公都防衛の失敗も意味し、お互いに守るべきものを失うことを意味する。私も含め、諸君らも同じ志を持つものとして力の全てを私に貸して欲しい。
我々が置かれている立場は刻一刻と変化している、リェスの軽騎兵第一連隊を襲った巨人族も近くを移動中と察せられる。 勢力的には間違いなく相手方が数段上手であろう、しかし我々はその中で勝利を得なければ成らない!
我らに味方するべきものは、遠く離れた戦域に有っても目的を同じにする戦友の連帯及び信頼感であり地の利、時の利も必ずや味方するであろう。
後は諸君らの奮戦を期待するや切である!」
グランは直属の部隊を見渡して一気に話した。
一息ついたところでフレムに向かって下知を下す。
「続きは戦闘直前に行う、行軍を開始せよ!!」