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遙かなる望郷の地へ-73◆「友軍前進3」

■ジョフ大公国/ジョフ平原


「起床、起床っ」


 まだ暗い中、コーランド北遣軍の野営地は俄に動き始めた。粛々と出発準備が成されていく。天幕が畳まれ、馬の背にくくりつけられる。甲冑と武器が点検され、いざという時の不備がないように万全の注意が払われる。


 出発準備が整った所で、ルージ・デ・ラ・ポルタは司令官であるトリアノン・レスコーの所に赴いた。トリアノンは、野営地背後の低い丘の上に、数名の幕僚と共に立っていた。


「司令官。全軍、出発準備完了です」

「判りました。輜重は予定通り、後方ゴルナ方面に後退させること。兵には、三日分の糧食を持たせましたね?」

「ご指示の通りに」


 穏やかな中に、毅然とした響きを秘めるトリアノンの指示が、ルージと幕僚達の胸に染み込んでいく。変わらぬその冷静な判断で、常に戦いを勝ち抜いてきたトリアノンに、全員は絶対の信頼を置いていた。


「長い三日間になると思います。言うまでも有りませんが、気を抜かないようにお願いします」


 念の為に、と言うトリアノンの言葉に、全員が厳粛に頷いた。

 公都へ攻め込む敵軍を包囲する左の腕になる彼らには、失敗は許されない。


「それでは、皆さん。行きましょうか」


 愛馬“サイレント・ラン”の馬首を東に向けたトリアノンの後に、コーランド重騎兵第二連隊五百騎が粛々と続く。トランペットが勇壮なコーランド国歌を演奏する中、小隊毎に縦隊を組んだ軍は並足で進撃を開始した。

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