遙かなる望郷の地へ-72◆「公国軍進撃9」
■ジョフ大公国/ジョフ平原
グランは最後の野戦会議を終え、自分の為に用意された天幕に入った。冒険者として、長年に渡り幾度と無く夜営を行ったが、個人の天幕の中に納まる夜は今回が初めてだった。贅沢になったものだな、とグランは苦笑した。
簡易ベットに横になり天井を眺めながら、非常に重い瞼と格闘しつつ、今日一日の出来事を思い返してみる。
“本当に長い一日だったな・・・”
グランが好むとも好まざるとも、自分の存在が個人だけの問題で無くなったことを痛感した一日であった。
そして、この重圧にレアラン姫は終生耐えていかなければ成らないことに、グランは少なからぬ心痛を覚えるのだった。
“それなのに俺は厄介なことを口に出したしな”
そうは思いながらも、グランには後悔の念は無かった。この決戦が勝利で終われば、自分が冒した失言を償う機会が来ると思うからである。
「そうだ!」
思わず一旦飛び起きると、跪き自らの主神に祈りの言葉を呟くと最後に3つの事を祈願をした。
『明日の戦いの勝利、公都の民の安全、姫の無事』
“みんな生き残ってくれ!
レアラン、頼むから無茶はしないでくれよ!!”
最後にレアランの事を想って強く念じる。
他の諸問題も残っていることは確かだが、グランはそれを頭の引き出しに一旦仕舞うと、野戦ベットに横になった。
あっという間に、天幕内の静寂は大イビキに取って代わった・・・。